【第2回】デジタルも良し、アナログも良し

何でもデジタルは間違いだ

デジタル、デジタルと言われて久しい。あたかもデジタルでないと時代遅れのような雰囲気すらある。しかし、何でもデジタルが良いとは思えない。音楽を楽しむのもCDやMDの時代を経て、今ではほとんどデジタル配信になってスマホで聴くようになってしまった。反面レコードが密かなブームになっていて、アナログなレコードを楽しむオーディオマニアも少なくない。
一時デジタル書籍も流行ったが、相変わらず書籍は沢山発刊されているし、新聞や雑誌の類も多い。新聞もデジタル版より紙の方が一覧性が良く読みやすいことは、誰でも経験済みであろう。
環境面からも紙を減らすレスペーパーは必要だが、ペーパーレスで紙を全く無くすことは出来ない。病院ではカルテは電子カルテになり、保険証もマイナンバーカードになり、会計もキャッシュレスで支払えるようになり、デジタル化されているプロセスが増えた。しかし、処方箋は紙で出力されるし、検査に伴うリスク確認書は紙で提示されて手書きのサインを求められる。この紙で処理されているプロセスをデジタル化したら便利かと言えば、そんなことはない。却って複雑になり混乱するに違いない。
デジタルは多くの処理を簡素化したり、共有したりするのには頗る便利だ。しかし、全てをデジタル処理しようとしたら煩雑になるだけだ。デジタル向きとアナログ向きのプロセスをうまく組み合わせるのが最も便利で効率が良い。この組み合わせる知恵が求められている。

FAXはデジタルの敵なのか?

デジタル時代になって、FAXが槍玉に挙がることがよくある。かつてデジタル大臣が日本のIT後進国の象徴としてFAXを取り上げていた。FAXは最もアナログな通信手段でもある。しかし電話回線に繋ぐFAXは無くならない。
1847年にイギリスで発明されたFAXは170年の歴史がある。あたかも日本にだけに残っているように言われることがあるが、そんなことはない。まだ世界中で使われている。
FAXが最も使われているのはアメリカ、次いで日本、ドイツ、フランスだそうだ。情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)が2023年2月に米国の20歳から69歳までの1900人にアンケート調査した結果によると、70%の人が日常的にFAXを使っていることがわかったという。

DX支援ガイダンス
米国におけるFAXの利用状況(CIAJのアンケート調査から)
※画像をクリックすると拡大します。

日本より遥かに労働生産性が高いドイツでもFAXはよく使われている。FAXを使うことは生産性とは関係ないこともわかる。デジタルの流れの中で何となく邪魔者扱いされているFAXだが、無くならないのに理由があるのだ。

  • 何よりセキュリティが高い。FAXがサイバーアタックされたことはない。

  • 操作が簡単、テキストでも写真でも送れて見やすい。誰でも扱える。

  • 受信したものが紙で手元に残る。

  • 初期投資も維持費もコストが安い。

  • 相手に届いたことがわかる。

これらを上回るデジタルの代替が現れない限り、FAXは無くならないだろう。FAXはデジタルの敵でもなく、デジタル環境を阻害するものでもない。ただ便利な通信手段なのだ。

デジタルをうまく活用するのがデジタル時代

デジタルのメリットは沢山ある。何より情報の共有がしやすい。組織的な活用は業務の効率化や生産性の向上にも繋がる。従って労働力不足やコスト削減も可能となる。働き方を多様化することもできる。うまく使えれば便利この上ない。
一方では導入にコストが掛かることやセキュリティリスクが高く対策も容易でないなどデメリットもある。だからこそデジタルとアナログの良いところを組み合わせながら、デジタルを活用することが大切なのだ。デジタルの特徴を理解し、デジタルの良さを引き出す。それがデジタル時代に必要な知恵と言える。
常に物事の本質を考えたり捉えたりしていれば、何でもデジタルが間違いであることにも気付くし、FAXが悪ではなく便利なツールであることも理解できる。デジタルの良さを理解して、活用の場を考えれば良いことだ。紙をデータに変えた方が良い場合はデータに変えて活用すれば良い。WordやExcelやPowerPointはデジタル形式ではあるが、データではない。あくまでも紙イメージが伴っている個別のアプリケーションに過ぎない。補完的な活用には便利だが、依存し過ぎるとデジタルやデータの本質から外れてしまう。データはそれらに埋め込まれたコンテンツに存在する。

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