建設DX 段取り八分、仕事二分

【第3回】建設現場のデジタル化

大手建設業でも現場のデジタル化は遅れている

あらゆる産業でデジタル化は進んでいる。企業でのコンピュータ導入は1960年代から始まって試行錯誤を繰り返してきた。1970年代のメインフレーム、1980年代のパーソナルコンピュータ、1990年代のインターネット、2000年代のスマートフォンやクラウド、2010年代のビックデータやソーシャルメディア、そしてIoT、さらに2020年代は第3次AIブームと10年単位でテクノロジーの進化を見ると、進化の速さについていくのは容易ではない。デジタルテクノロジーを駆使するためのリテラシーは常に求められてきた。
しかし、デジタルリテラシーの平均値はなかなか向上しない。大手建設業は投資力を活かしてデジタル化を進めているが、現場のロボティックスも一部の適用でしかなく試行段階と言っていい。建設業の現場は専門工事会社やサブコンと呼ばれる設備系会社との共同運営体である。BIMも設計から現場の施工まで一貫して活用されるようなビジネスレベルにはまだまだ達していない。フロントローディングと呼ばれる施工計画全体の前倒しプロセスにもBIMは生かされていない。
現場の活動はQCDSEで総称される品質、コスト、工程、安全、環境の管理業務が日々行われながら施工が進んでいく。その管理には大量のドキュメントや写真などが作成され、情報共有のためのコミュニケーションイベントも毎日行われる。そのすべてのシーンでデジタル技術は活用されている。部分的にはAI(人工知能)の活用もされ始めている。
デジタル化は待っていても進まない。働き方を変革したいのか?生産性を上げたいのか?安全管理を強化したいのか?目的を明確にして行動を始めることである。中小企業が取り組むべきデジタイゼーションやデジタライゼーションは大きな投資をしなくても実施できる。情報共有とコミュニケーションのデジタル化ができるだけで、現場の業務を変革することができるのだ。

先進地方建設業の事例に学ぶ差別化

3つの課題に取り組むためには、経営トップの決心が必要である。前回のコラムで提案したようにDXというものを正しく理解し、手順を踏みながら進めていくことを経営トップが決心してコミットメント(公約・明言)することである。
経営視点で言えば、DXは企業価値向上のための投資である。企業価値は経済価値であり、効率的な事業プロセスのもとで利益向上のビジネスモデルを作り、企業文化を改革していくことである。投資だからこそ、経営トップの思いと決意が必要なのである。
スキル難、人材難は短時日では解決できない。外部からDX人材を調達できれば推進を早めることができるが、中小企業では資金力からみて難しい。やれることは社内でのDX人材育成だろう。DX人材については前回にも書いたが、デジタルに長けた人材ではない。デジタルを理解し、事業や経営へのインパクトを考えられる人材でなければならない。
人材育成に必要なのは「体験」である。ポテンシャルのある人材が様々な体験を積むことによって成長を促すことができる。デジタル体験も必要であるが、現場体験が事業や経営の理解の役に立つ。能力より少し高めのポジションで体験を積んでもらうと、効率的に能力開発をすることができる。
人材育成は長期的な視野のもと、今から始めなければならない。

資金を掛けずに業務のDXを進める方法

中小建設業でも優れた取り組みをしている会社がある。具体的な事例を知ることもデジタル時代で便利になった。最も便利なのがYouTubeの動画検索やAIで検索することである。
「建設業 DX」や「建設業 デジタル化」で検索しただけでも地方建設業が実践している事例が収集できる。これらを参考に自社のデジタル化やDXの計画を立ててみてはどうだろうか?
事例を参考にする上で注意すべき点は、ベンダーが宣伝のために作っているものも多いので、社員や経営者が自ら取り組んでいる事例を参考にすべきである。そこには苦労したことも語られている。


  • 平山建設株式会社(千葉県成田市)
    クラウドベースのコミュニケーションツールを導入し、書類や写真管理の効率化を図っている。社員教育にも注力し、小規模でも着実なDXを推進している。
    https://www.youtube.com/watch?v=6DVnrkAfd58&t=226s

  • 株式会社後藤組(山形県米沢市)
    現場進捗管理やデータ共有をクラウド技術で効率化。特に遠隔地の協力会社との情報交換が容易になり、生産性が向上している。
    https://www.youtube.com/watch?v=yVHpoknnQ5Q&t=716s

  • 河本工業株式会社(群馬県館林市)
    BIM(建築情報モデリング)を積極的に活用し、設計から施工までの情報共有を進めている。また、VR化による安全トレーニングも実施している。DX認定やi-Construction大賞も受けている。
    https://www.youtube.com/watch?v=L2Z4w7pONFY&t=13s

  • 郷土建設藤村組(新潟県上越市)
    ICTの内製化の重要性に気づいて、ドローンの導入や現場の効率化、施工管理業務の効率化、コミュニケーションの改善などを全員DXで取り組んでいる。
    https://www.youtube.com/watch?v=Wm9qX4CGYh0&t=133s

タブレットの活用で効率化と共有〜eYACHO

建設現場の作業を効率化するためにタブレットの活用が活発になっている。背景には、過重労働に成りがちな建設現場の労働時間に制限が適用された、いわゆる2024年労働問題がある。現場作業の効率化は必須となった。タブレットツールベンダーは好機とばかりに、しのぎを削っている。 現場施工管理業務のQCDSEをいかにペーパーレスで、かつ連携して処理できるかで管理業務の効率化が決まる。数あるソリューションの中で、大手建設業から地方の中小建設業やサブコンまで活用でき、既に600社、60,000ユーザーが活用しているMetaMoJi社のeYACHOを紹介したい。
https://product.metamoji.com/gemba/eyacho/


eYACHOのメインビジュアル

eYACHOは優れた日本語ワープロソフトである「一太郎」の開発経営者が、大手建設業の現場管理ノウハウを活かしながら開発した、文字通り電子野帳である。
現場作業の効率化の要はデジタルによるリアルタイム処理である。残業に成りがちな作業所に戻ってからの業務を極力減らし、現場巡回をしながら管理業務を進めていく。また、同時に情報を共有することによって関係者に周知しミスを回避する。

eYACHOの機能や特徴には以下のようなものがある。

  • スマート業務パッケージによって、大幅に書類作成業務が自動化できる。

  • ビデオ通話機能「GEMBA Talk」で即座にコミュニケーションが取れる。

  • ウェッブアイ社が提供するネットワーク工程管理ツール「工程’s」と連携できる。

  • 生成AI技術を活用した「安全AIソリューション」でリスク予測による危険予知と安全管理ができる。

  • 時間はかかるが付加価値のない単純作業をアウトソーシングできるサービスがある。

新しいデジタル環境を導入する場合は、実際に現場で試してみることが重要である。そのために無料のトライアルサービスが提供されている。実際に使ってみて効率化できる感触を得たら、少人数チームでの試行段階に入る。この段階での検証も重要である。
デジタル化は中途半端な取り組みが最も効率が悪い。本来の効果を期待できない。導入する場合は定着するまでの時間を覚悟して、一気に導入することをお勧めしたい。
どのようなソリューションサービスも、生かすのは常にユーザーであることを忘れてはならない。

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