海外の建設業界でDXが進んだ背景には、担い手不足と生産性向上への要請があります。OECDは、人口の高齢化により多くの加盟国で労働力不足が深刻化すると指摘しており(※1)、屋外・重労働が多い建設業では、退職する熟練技能者を若手が補いにくいという課題が生じています。従来の労働集約的な手法では生産性の向上に限界があることも、DXを後押ししています。
この課題は日本も同じです。国土交通省は2016年度からICT施工などを進める「i-Construction」に取り組み、2024年4月には「i-Construction
2.0」を策定しました。2040年度までに建設現場の省人化を少なくとも3割、すなわち生産性を1.5倍に向上させることを目指しています(※2)。
背景にあるのは働き手の減少です。国土交通省の資料では、生産年齢人口は2020年度の約7,509万人から2040年度には約6,213万人へと、約2割減少すると見込まれています(※3)。人を集めれば解決するという前提が成り立ちにくくなっています。
高齢化と技能継承も課題です。建設業は就業者に占める55歳以上の割合が全産業平均より高い水準で、若手の入職は緩やかにとどまっています(※3)。ベテランの大量退職が近づくなか、長年培われた技術やノウハウをどう次世代へ引き継ぐかが問われています。
加えて、2024年4月からは建設業にも時間外労働の上限規制が適用されました。いわゆる「2024年問題」です。時間外労働の上限は原則として月45時間・年360時間となり、残業を減らしながら同じ量の仕事をこなすには、現場業務そのものを効率化するデジタル技術が欠かせません(※4)。
日本は追い上げの局面にあります。国土交通省によれば、ICT施工による作業時間の短縮効果をもとにした直轄事業の生産性向上比率は2015年度比で21%に達しています(※3)。i-Construction
2.0では、「施工のオートメーション化」「データ連携のオートメーション化」「施工管理のオートメーション化」の3つを柱に掲げており(※2)、これは海外で進む自動化・遠隔監督の潮流とも重なります。目指す方向は海外と大きく変わりません。違いは、日本の現場条件に合わせてどう実装するかにあります。