現場の会議や立会のために、事務所と現場を何度も往復していませんか。現場会議のオンライン化は、移動時間と交通費を減らす有効な手段です。ただし、効果が出る会社と出ない会社があります。
本稿では、建設現場の一次事例と国の制度を踏まえ、移動削減の本質をお伝えします。とくに「移動時間だけ」を見ていては効果が頭打ちになる理由と、その場で意思決定まで完結させるための具体策を、現場の声をもとに解説します。
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現場の会議や立会のために、事務所と現場を何度も往復していませんか。現場会議のオンライン化は、移動時間と交通費を減らす有効な手段です。ただし、効果が出る会社と出ない会社があります。
本稿では、建設現場の一次事例と国の制度を踏まえ、移動削減の本質をお伝えします。とくに「移動時間だけ」を見ていては効果が頭打ちになる理由と、その場で意思決定まで完結させるための具体策を、現場の声をもとに解説します。
結論から言えば、移動の多さが残業とコストを押し上げているからです。会議や立会のたびに往復が発生すると、移動時間そのものに加え、早朝出発や時間外の帰社が積み上がります。
背景には建設業の時間外労働の上限規制があります。2024年4月から、建設業でも時間外労働は原則として月45時間・年360時間が上限となりました(※1)。「現場が終わってから事務所で書類」という働き方を見直す必要が強まっています。
加えて、国土交通省は公共工事で遠隔臨場を推進しています。遠隔臨場とは、ウェアラブルカメラ等の映像と音声を使い、遠隔地からWeb会議システム等を介して段階確認・材料確認・立会を行うことです(※2)。会議だけでなく、現場確認のプロセス自体をオンライン化する土台が整いつつあります。
ここが多くの記事で語られない独自の視点です。会議をオンライン化すると、移動時間以外の隠れたコストもまとめて消えます。
実際の現場の声を見てみましょう。東日本高速道路の事例では、全立会150〜160回のうち約半分を遠隔で実施しました。その結果、従来の立会なら500時間以上かかっていた移動時間を240時間に削減しています。
注目すべきは、担当者が「移動時間だけが変わるのではない」と語っている点です。事務所から現場への移動、複数現場間の移動、立会前後の待機時間、早朝・業務時間外勤務などが不要になったとされています。500時間から240時間という削減は、1日8時間労働の約1ヶ月分に相当します。
つまりオンライン化の効果は、次の要素の合計として現れます。
交通費というと運賃や燃料費だけを思い浮かべがちです。しかし本当に大きいのは、移動に付随する時間と人件費です。ここを合わせて見ると、移動削減の価値が大きく変わります。
たとえば朝9時台の立会に向かうには早出の出勤が必要になります。逆に16時以降の立会では、事務所に戻るのが定時を過ぎることになります。前述の事例でも、遠隔立会によって朝夕の超過勤務を軽減する効果が期待できると語られています。1回の往復をなくすことが、移動時間だけでなく早朝・時間外勤務の圧縮につながるのです。
さらに、削減できた時間は事務所での内業に充てられます。現場の進捗に応じて立会の依頼に臨機応変に対応できるようになった、という効果も報告されています。移動削減は「時間を取り戻す」だけでなく、業務全体の柔軟性を高める施策でもあります。
オンライン会議を導入したのに往復が減らない、という相談は少なくありません。原因は、会議の映像を流すだけで終わっているからです。
移動を本当にゼロにするには、その場で意思決定まで完結させる必要があります。完結に必要な条件は、次の3つに整理できます。
この3条件がそろうと、会議のあとに「書類を印刷して送り返す」「後日もう一度現場へ行って確認する」といった往復が発生しません。前述の東日本高速道路の事例でも、書類の印刷が不要になり、受発注者間で書類を共有し、その場で承認まで完結する点が最大のメリットだと語られています。
会議のオンライン化を検討する際は、「映す」だけでなく「同じ資料を見て、書き込み、承認まで終える」ところまで設計してください。ここまで踏み込むと、移動削減の効果が一段と大きくなります。
逆に言えば、承認が完結しない会議は「確認のためにもう一度現場へ行く」往復を生みます。映像で確認した数値をその場で帳票に記入し、双方でチェックし、承認まで終わらせる。この一連の流れがオンライン上で完結することが、二度目の移動を防ぐ決め手になります。
会議のオンライン化を考えるとき、対象を社内の定例会議に限定しがちです。しかし国の遠隔臨場制度を踏まえると、対象範囲はもっと広く取れます。
国土交通省の実施要領では、段階確認・材料確認・立会が遠隔臨場の対象とされています(※2)。発注者にとっては「現場臨場の削減による効率的な時間の活用」、受注者にとっては「段階確認に伴う手待ち時間の削減」が狙いとされています(※2)。令和6年には工事検査に関する実施要領も整理され、書類検査を含む運用が示されています(※3)。
したがって、オンライン化の棚卸しでは次のような会議・確認を候補に挙げられます。
すべてを一度にオンライン化する必要はありません。ただし、制度上オンライン化が認められている確認業務まで視野に入れると、削減できる移動の総量は大きく変わります。なお、通信環境が整わない現場や、映像確認では不十分な工種は対象外とし、受発注者間で協議して適用を判断することが前提です(※2)。
実際の運用では、まず社内の朝礼や定例会議など、関係者が限られる会議からオンライン化を始めるケースが多く見られます。日々の朝礼や検査をリモート化することで、毎日発生していた小さな移動の積み重ねを減らせるためです。慣れてきた段階で、受発注者間の確認業務へと対象を広げていくと、無理なく定着させられます。
移動削減を実現するには、ツール導入の前に運用を設計することが重要です。現場で定着させるための進め方を整理します。
第一に、会議と確認業務を棚卸しします。「誰が」「どこへ」「何のために」移動しているかを書き出し、オンライン化できるものとできないものを分けます。映像と資料共有で足りる確認は、オンライン化の有力候補です。
第二に、小さく始めます。いきなり全社展開せず、移動の多い1〜2現場で試行し、運用ルールを整えてから広げます。最初から細かいルールで縛らず、現場の意見を聞きながら運用を決めるほうが定着しやすい、という現場の声もあります。
第三に、通信が不安定な現場への備えを決めます。トンネルや山間部では電波が届きにくいため、オフラインでも記録でき、復帰時に同期できる仕組みや、衛星通信の活用を検討します。受発注者間の事前協議で、オンライン化の対象範囲を合意しておくことも欠かせません。
第四に、効果を数値で記録します。移動回数、移動時間、早朝・時間外勤務の時間を導入前後で比較すると、社内への説明や横展開がしやすくなります。たとえば「立会の半分を遠隔化したら移動時間が何時間減ったか」を1現場で示せれば、次の現場への展開判断が速くなります。
最後に、受注者・協力会社を巻き込みます。遠隔化はオンラインに不慣れな相手には抵抗が生まれがちですが、実際に使うとすぐに慣れるという声が多くあります。最初から完璧なルールを作り込むのではなく、相互理解を重ねながら運用を固めていくほうが、現場に根づきやすくなります。
最後に、移動削減の効果を左右するツール選びの視点を整理します。汎用のWeb会議システムでも会議はできますが、現場の移動削減に直結するかは別の観点で見る必要があります。
ポイントは、PCが使えない現場でも使えるかどうかです。現場の担当者がタブレットやスマートフォン1台で参加でき、その場で図面や帳票に書き込めると、確認のために事務所へ戻る往復が消えます。
たとえば施工管理アプリ「eYACHO」には、同じノートや図面に複数人が同時に書き込めるShare機能と、現場特化のビデオ通話機能GEMBA Talkが組み込まれています。GEMBA Talkは、通話しながら同じ図面・帳票・写真を見て、その場で書き込みや確認ができる機能です。現場側はタブレット1台で参加でき、汎用Web会議の追加ライセンスを用意しなくても運用できる点が特徴です。
阪神高速技術の事例では、まず書類をペーパーレス化し、次の段階で朝礼・検査・人材育成にGEMBA Talkを使ったリモート化を進めています。事業所員が現場に行かずに遠隔で検査を行えるようにしたことで、移動という時間のロスがなくなり、複数の検査をまとめて入れるなど効率的な時間配分ができるようになったとされています。録画機能を使えば、確認の記録を後から検査記録として活用することもできます。
ツールを選ぶ際は、次の観点で比較してください。
これらを満たすほど、移動だけでなく早朝・時間外勤務まで含めた削減効果が大きくなります。
現場会議のオンライン化は、移動時間と交通費の削減に直結します。ただし効果を最大化する鍵は、「会議を映す」ことではなく「その場で意思決定まで完結させる」ことです。
東日本高速道路の事例では、遠隔立会によって移動時間を500時間から240時間へと削減しました。これは移動時間だけでなく、待機時間や早朝・時間外勤務まで減らした結果であり、2024年問題への対策にもつながります。
まずは自社の会議と確認業務を棚卸しし、移動の多い現場から小さく始めてみてください。同じ資料を見て、書き込み、承認まで完結できる仕組みを選ぶことが、現場会議のオンライン化と移動削減を成功させる近道です。
現場と事務所をつなぐビデオ通話GEMBA Talkを含む施工管理アプリ「eYACHO」は、30日間の無料トライアルでお試しいただけます。導入事例や製品資料もご用意していますので、移動削減の具体的な進め方は公式サイトからお気軽にご相談ください。