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「臨場」とは?建設業における現場臨場の意味と
遠隔臨場との違いをわかりやすく解説

建設業の書類や仕様書で目にする「臨場(りんじょう)」という言葉。なんとなく「立ち会い」のような意味だと理解していても、正確な定義まで説明できる方は意外と多くありません。実はこの言葉は、公共工事の品質を担保するうえで欠かせない、明確な意味を持つ専門用語です。

この記事の要点は次の3点です。

  • 建設業の「臨場」とは、監督職員などが現場に赴き、段階確認・材料確認・立会という確認行為を行うことを指します
  • 「遠隔臨場」は、カメラの映像と音声を使い、離れた場所からこれらの確認を行う手段で、国土交通省が推進しています
  • 遠隔臨場はすべての確認を置き換えるものではなく、適用範囲を発注者と協議して見極めます
「臨場」とは?建設業における現場臨場の意味と遠隔臨場との違いをわかりやすく解説

「臨場」とは?言葉の意味と建設業での使われ方

「臨場」とは、一般的には「その場に実際に居合わせること」を意味する言葉です。報道などで「事件現場に臨場する」といった使われ方をするのを聞いたことがあるかもしれません。

建設業における「臨場」も、この基本的な意味は共通しています。ただし建設現場では、単にその場にいることを指すのではなく、より限定された意味で使われます。具体的には、発注者側の監督職員などが工事現場に赴き、工事の内容が契約図書(設計図書や仕様書)どおりに施工されているかを、その場で直接確認する行為を指します。

つまり建設業の「臨場」は、「現場に行って、目で見て、確認・立ち会いをする」という一連の行為を含んだ専門用語です。ここを押さえておくと、後述する「遠隔臨場」の意味もすんなり理解できます。

臨場が必要な3つの確認行為(段階確認・材料確認・立会)

では、監督職員は現場で具体的に何を確認するのでしょうか。国土交通省の「建設現場における遠隔臨場に関する実施要領」では、臨場を必要とする作業として、大きく次の3つが挙げられています(※1)。

  • 1. 段階確認

    施工の各段階で、出来形(できあがった構造物の形状・寸法)や使用材料などが設計図書どおりかを確認する行為です。工事が進むと後から見えなくなってしまう部分も多いため、その段階でしか確認できない項目を、適切なタイミングで確かめます。

  • 2. 材料確認

    工事に使う材料が、規格や品質の基準を満たしているかを確認します。JISマークの有無やミルシート(鋼材の品質証明書)との照合、現物の寸法・数量の確認などが含まれます。

  • 3. 立会

    契約図書に示された項目について、監督職員がその場に臨み、内容が契約図書と適合しているかを確かめる行為を指します。

このように、建設業の「臨場」は、これら段階確認・材料確認・立会といった品質管理上の確認行為とセットで理解する必要があります。単なる「現場訪問」ではなく、契約の適正な履行を担保するための重要なプロセスです。

なぜ臨場は建設業で重要なのか?

臨場が重視されるのは、建設物の品質と安全に直結するからです。設計図書どおりに施工されているか、規定の材料が使われているかを第三者である発注者が確認することで、完成後には見えなくなる部分も含めて品質を担保できます。特に構造物の内部や地中に埋まる部分など、後から掘り返して確認するのが困難な箇所は、施工のその段階で確認しておかなければなりません。臨場は、こうした「今しか確認できない品質」を記録として残す役割も果たしています。

また臨場は、契約の適正な履行を証明する意味も持ちます。公共工事では、発注者と受注者が契約図書に基づいて工事を進めますが、その内容どおりに施工されたことを客観的に確認・記録することが求められます。臨場による確認と記録は、後の検査や引き渡しの場面でも重要な根拠となります。

一方で、従来の臨場(現場臨場)には課題もあります。監督職員が現場まで移動する時間、施工側が確認を待つ手待ち時間、確認結果をまとめる書類作成の手間などです。現場が遠方に点在していれば移動の負担はさらに大きくなり、早朝や時間外の勤務が発生することも少なくありません。一人の監督職員が複数の現場を担当している場合、移動だけで一日の大半が費やされてしまうこともあります。

建設業界が人手不足や働き方改革(時間外労働の上限規制)といった課題に直面するなか、この「臨場にかかる時間と手間をどう減らすか」が大きなテーマとなりました。品質確認の水準は保ちながら、移動や待機の負担を軽減する。その解決策として登場したのが、次に解説する「遠隔臨場」です。

遠隔臨場とは?現場臨場との違いをわかりやすく解説

「遠隔臨場(遠隔立会とも呼ばれます)」とは、動画撮影用のカメラ(ウェアラブルカメラ等)で取得した映像と音声を、Web会議システムなどを介して離れた場所に配信し、そこから段階確認・材料確認・立会を行うことをいいます(※1)。監督職員が現場に行かなくても、事務所などから現場の状況をリアルタイムで確認できる仕組みです。

ここで大切なのは、遠隔臨場は「臨場をなくすもの」ではないという点です。国土交通省の要領でも、遠隔臨場は現場臨場を妨げるものではなく、これまでスケジュール等の理由で現場に行けない場合に机上確認としていたものを、カメラを用いてより現場臨場に近い形で臨場するもの、と位置づけられています。あくまで「臨場の代替手段」であり、現場臨場を補完・効率化するものと理解するのが正確です。

現場臨場と遠隔臨場の違いを整理すると、次のようになります。

比較項目 現場臨場 遠隔臨場
確認方法 監督職員が現場に赴いて直接確認 カメラ映像・音声を通じて遠隔で確認
移動時間 現場までの往復が必要 移動が不要になり、時間を削減できる
待機・手待ち時間 発生しやすい 削減しやすい
記録 書類・写真が中心 映像・音声で記録・共有しやすい
適用範囲 ほぼすべての確認項目に対応 映像・音声で判断できる項目が対象(一部は現場臨場が必要)

なお、すべての確認が遠隔臨場に置き換えられるわけではありません。国土交通省の要領でも、汎用的なカメラやWeb会議システムで実施可能な確認項目と、特殊な機器や現場臨場が必要になる確認項目が区別されています(※1)。例えば土質・岩質の判断や打音検査など、映像・音声だけでは判断が難しい項目は、現場臨場が求められます。遠隔臨場を検討する際は、この適用範囲を発注者と協議して見極めます。

国土交通省が遠隔臨場を推進する背景

遠隔臨場は、国土交通省が主導して普及を進めてきた取り組みです。直轄土木工事では従来、段階確認・材料確認・立会を監督職員が現場に出向いて行っていましたが、2020年度から、生産性向上や非接触・リモート化に向けてWeb通信を使った遠隔臨場の試行が始まりました(※2)。

その試行件数は、2020年度に全国で760件、2021年度には約1,800件へと拡大し、現場への移動時間や立会に伴う受注者の待ち時間の短縮といった効果が確認されました。この結果を踏まえ、2022年度からは本格実施へと移行しています(※2)。この技術は、内閣府の官民研究開発投資拡大プログラム(PRISM)の一環で開発・検討されたものでもあります。

現在では、各地方整備局や自治体、公的機関がそれぞれの実施要領を整備しており、公共工事における標準的な品質管理手法の一つとして定着しつつあります。実施にあたっては、発注者と受注者が適用する工種・確認項目を協議のうえ決めること、費用は技術管理費に積み上げ計上することなどが定められています(※1)。

遠隔臨場のメリットと注意すべき課題は?

遠隔臨場を導入するメリットは、次のように整理できます。

  • 移動時間と手待ち時間を削減できる(担当現場が多いほど効果が大きい)
  • 危険を伴う箇所への立ち入り回数を減らし、確認作業のリスクを下げられる
  • 確認の様子を映像・音声で記録でき、書類だけでは残しにくい現場の状況を保存できる

一方で、導入前に確認しておきたい課題もあります。

  • 通信環境:山間部やトンネル坑内、地下、建物内部など電波が届きにくい現場では映像が途切れる恐れがある
  • 適用範囲:土質・岩質の判断や打音検査など、映像・音声だけでは判断できず現場臨場が必要な項目がある
  • 運用面の準備:撮影される作業員のプライバシーへの配慮や、機器操作に不慣れな担当者への教育が必要

国土交通省の要領でも、通信環境が整わない現場は遠隔臨場の対象としないことがある、と示されています(※1)。すべてを遠隔化しようとするのではなく、遠隔臨場に適した工種・確認項目を見極めることが導入の前提になります。

遠隔臨場を効果的に進めるためのポイント

遠隔臨場を導入すれば移動時間は確かに削減できます。ただし、「カメラで現場を映す」だけでは、実は効率化は道半ばです。というのも、確認の前後に発生する書類のやり取りや承認のプロセスが、従来どおり残ってしまうことがあるからです。

例えば、確認した数値をメールでやり取りし、書類を印刷し、押印して送り返す。こうした一連の事務作業が残っていると、移動時間は減っても全体の手間はあまり変わりません。遠隔臨場の効果を最大化するには、映像による確認と、書類の共有・承認までを一体で電子化することが鍵になります。発注者と受注者が同じ帳票を同時に見ながら、その場で数値を確認し、承認まで完結できれば、遠隔臨場のメリットは大きく広がります。

eYACHOは遠隔臨場(遠隔立会)をどう支えるのか

こうした「確認から書類・承認までを一体で進める」ニーズに応えられるツールの一つが、施工管理アプリ「eYACHO」です。

eYACHOは、株式会社MetaMoJiが株式会社大林組と共同開発し、2015年から提供を開始した施工管理アプリです。紙の野帳と同じ手書き感覚で記録できることが特徴で、MM総研「建設業の施工管理支援アプリの利用動向調査(2025年12月)」では、ゼネコンでの利用シェアNo.1(19%)、スマートデバイスでの利用シェアNo.1(21%)を獲得しています(※3)。導入企業は900社以上、利用ユーザーは80,000以上にのぼります(※4)。

eYACHOは、手書き入力・テキスト入力・図面・帳票・写真の管理を、iOS・iPadOS・Windows・Androidのデバイス上でまとめて扱えます。テキスト入力には「建設mazec」(手書き入力システム)を備え、専門用語を含む文字入力にも対応しています。このeYACHOにおいて、遠隔臨場を支える中心的な役割を担うのが、リアルタイム共有のための「Share機能」です。

Share機能を使うと、同じ図面や帳票に複数の担当者が同時に書き込むことができます。事務所にいる発注者と現場の受注者が、同じ紙面を見ながら数値を確認し、記入し、その場で承認まで進められるため、遠隔での確認と書類処理をリアルタイムに完結させることが可能です。

実際の導入事例を見てみましょう。東日本高速道路(NEXCO東日本)では、Share機能の活用とウェアラブルカメラの併用により、全立会150〜160回の約半分を遠隔化し、500時間以上かかっていた移動時間が240時間に短縮されています(※5)。この事例で効果を生んだのは、映像による確認に加えて、受発注者間で書類をシェアし、数値をカメラで確認してeYACHO上で双方からチェックし、その場で承認まで完結できたこと、つまりShare機能を活用して一連のフローをリアルタイムに完結させた点にあります。

また、遠隔での映像・音声共有は、発注者による確認だけでなく、維持管理の日常業務にも広がっています。阪神高速技術では、ビデオ通話機能「GEMBA Talk」とウェアラブルカメラを併用し、リモート朝礼や遠隔検査、若手育成に活用しています。上司が移動せずに複数の現場をフォローできるため、移動に伴うタイムロスの削減と人材育成の両面で効果が出ています(※6)。

このようにeYACHOは、遠隔臨場という「行為」そのものを置き換えるのではなく、映像確認から書類共有・承認までを一体で進めることで、遠隔臨場を効果的に支えるツールとして活用されています。

まとめ

「臨場」とは、建設業では監督職員などが工事現場に赴き、段階確認・材料確認・立会といった確認行為を通じて、施工が契約図書どおりに行われているかを確かめることを指します。単なる「立ち会い」ではなく、品質を担保するための重要なプロセスです。

そして「遠隔臨場」は、カメラの映像と音声をWeb会議システムなどで共有し、離れた場所からこれらの確認を行う手段です。臨場をなくすのではなく、現場臨場に近い形で臨場を代替・効率化するもので、国土交通省の推進により公共工事で定着が進んでいます。ただし、すべての確認が遠隔化できるわけではなく、適用範囲は発注者と協議して見極めます。

遠隔臨場の効果を最大化するには、映像による確認だけでなく、書類の共有や承認までを一体で電子化することがポイントになります。施工管理アプリ「eYACHO」のShare機能やビデオ通話機能「GEMBA Talk」は、こうした遠隔臨場を支える手段として、実際の建設現場で活用されています。

eYACHOは30日間の無料トライアルを提供しています。遠隔臨場に伴う映像確認と書類共有を自社の現場でどこまで効率化できるか、まずは実際の運用に近い形でお試しください。導入に関するご相談は、公式サイトのお問い合わせ窓口で受け付けています。

よくある質問

  • Q. 臨場と立会はどう違いますか?

    A. 臨場は、監督職員などが現場に赴いて確認を行うこと全般を指す広い概念です。立会は、その臨場のなかで行う確認行為の一つで、契約図書に示された項目について監督職員がその場に臨み、内容が契約図書と適合しているかを確かめることを指します。臨場には、立会のほか段階確認・材料確認も含まれます。

  • Q. 遠隔臨場はすべての確認に使えますか?

    A. すべての確認には使えません。国土交通省の要領では、汎用的なカメラやWeb会議システムで実施可能な確認項目と、特殊な機器や現場臨場が必要になる確認項目が区別されています(※1)。土質・岩質の判断や打音検査など、映像・音声だけでは判断が難しい項目は現場臨場が必要です。適用範囲は発注者と協議して決めます。

  • Q. eYACHOは無料で試せますか?

    A. 30日間の無料トライアルを提供しています。ベーシック版相当の機能が対象です。遠隔臨場に活用できるShare機能などを、実際の運用に近い形でお試しいただけます。

出典一覧

※1 国土交通省 大臣官房技術調査課「建設現場における遠隔臨場に関する実施要領(案)(令和5年3月)」 https://www.mlit.go.jp/tec/content/001594449.pdf
※2 国土交通省「建設現場における『遠隔臨場』を本格的に実施します ~実施要領(案)の策定と事例集を発刊~」 https://www.mlit.go.jp/report/press/kanbo08_hh_000881.html
※3 株式会社MM総研「施工管理支援アプリは働き方改革関連法の適用後も導入が進み、建設業全体の利用率は4割強に上昇(建設業の施工管理支援アプリの利用動向調査 2025年12月)」 https://www.m2ri.jp/release/detail.html?id=710
※4 eYACHO公式サイト「施工管理アプリ eYACHO」 https://product.metamoji.com/gemba/eyacho/
※5 eYACHO導入事例「東日本高速道路株式会社」 https://product.metamoji.com/gemba/eyacho/user/e-nexco.html
※6 eYACHO導入事例「阪神高速技術株式会社」 https://product.metamoji.com/gemba/eyacho/user/hkg.html
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【監修】eYACHO編集部

施工管理アプリ「eYACHO」は、タブレット1つで現場の記録・共有・管理を可能にし、施工管理から安全管理まで幅広い業務をサポートします。
本コラムでは、建設業界の課題解決やDX推進に役立つ情報や最新動向をお伝えします。

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