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建設業の品質管理体制とISO9001|
デジタルツールで準拠の仕組みを効率構築

品質管理体制とは、品質を安定して確保するために、組織としての役割・手順・記録の仕組みを定め、運用・改善していく体制のことです。建設業では、工事の品質を継続的に確保するうえで、この品質管理体制の整備が重要になっています。その体制づくりの土台としてよく参照されるのが、品質マネジメントシステム(QMS)の国際規格であるISO9001です。近年は、記録や検査帳票の管理にデジタルツールを取り入れ、体制の運用そのものを効率化する動きも広がっています。

この記事の結論は次のとおりです。

  • 品質管理体制の構築は、ISO9001が示す品質マネジメントシステム(QMS)の考え方を土台にすると、体系立てて進めやすくなります。
  • ISO9001の要求事項のうち「文書化した情報(記録・帳票)」の管理は、紙運用では負担が大きくなりやすく、デジタルツールの効果が出やすい領域です。
  • 建設業では、検査記録・是正指示・立会(遠隔臨場)といった現場の品質管理業務を、手書きのまま電子化して一元管理する運用が広がっています。
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建設業における品質管理体制とは

品質管理体制とは、製品やサービスの品質を安定して確保するために、組織としての役割・手順・記録の仕組みを定め、それを運用・改善していく体制のことです。担当者個人の経験や勘だけに頼るのではなく、誰が担当しても一定の品質を再現できる状態を目指す点に特徴があります。

建設業では、工事ごとに現場・工程・協力会社が変わり、扱う書類も多岐にわたります。出来形の確認、材料の検査、施工プロセスの記録、是正の指示など、品質にかかわる情報が現場に分散しやすい環境です。しかも、これらの記録は工事の完了後も一定期間保管し、必要に応じて参照できる状態にしておく必要があります。こうした情報を体系的に記録・共有・保管する体制がないと、確認の抜けや伝達の行き違いが起こりやすくなります。品質管理体制の整備は、こうした課題を組織的に抑えるための取り組みといえます。

品質管理体制を考えるうえでは、品質管理と品質保証の関係も整理しておくと分かりやすくなります。品質管理は、決めた基準どおりに施工・検査を行い、品質を作り込む活動です。品質保証は、その品質が確保されていることを記録などによって示し、発注者や顧客の信頼に応える活動です。両者は表裏の関係にあり、いずれも記録が残っていることを前提としています。担当者が代わっても品質を再現できる状態を保つには、手順と記録の仕組みを組織として定めておく必要があります。

品質管理体制を体系立てて構築する際に、多くの企業が枠組みとして参照するのがISO9001です。次章では、ISO9001の基礎を整理します。

ISO9001とは|品質マネジメントシステムの国際規格

ISO9001は、品質マネジメントシステム(QMS)に関する国際規格です。顧客に提供する製品・サービスの品質を継続的に向上させていくことを目的としています(※1)。現在有効なのは2015年版で、その序文には、規格のねらいと品質マネジメントの原則などの基本事項が示されています(※2)。業種や規模を問わず、あらゆる組織が活用できる規格として広く普及しています(※1)。

ISO9001の土台には、品質マネジメントの7原則があります。ISO9000の序文では、顧客重視、リーダーシップ、人々の積極的参加、プロセスアプローチ、改善、客観的事実に基づく意思決定、関係性管理の7つが示されています(※2)。顧客重視は顧客の要求を満たすことを起点に置く考え方、リーダーシップは経営者が方針を定めて牽引する姿勢、人々の積極的参加は全員が役割を担って仕組みを運用する状態を指します。プロセスアプローチは業務を入力と出力を持つプロセスの連なりとして管理する考え方で、改善は継続的により良くしていく姿勢、客観的事実に基づく意思決定はデータや記録に基づいて判断すること、関係性管理は供給者などの利害関係者との関係を適切に保つことを意味します。これらは要求事項の中に組み込まれており、要求事項に沿って仕組みを構築していくことで、7原則に基づいた運用につながる考え方になっています(※2)。

ISO9001の要求事項は、大きく箇条4から箇条10で構成されます。組織の状況(箇条4)、リーダーシップ(箇条5)、計画(箇条6)、支援(箇条7)、運用(箇条8)、パフォーマンス評価(箇条9)、改善(箇条10)という流れです。この構成は、計画・実行・確認・改善を回すPDCAサイクルの考え方と対応しており、決めた仕組みを運用し、評価し、改善していくことが求められます(※1)。

なお、ISO9001の認証取得は法律上の義務ではありません。認証を取得するかどうかにかかわらず、ISO9001が示す品質マネジメントシステムの考え方は、品質管理体制を体系立てて構築・改善するための枠組みとして活用できます。認証取得を目指す場合も、まず自社の業務プロセスと記録の仕組みを整えることが出発点となります。

ISO9001が求める「文書化した情報」と記録運用の実務

ISO9001の要求事項の中で、日々の実務に直結しやすいのが「文書化した情報」の管理です。手順書や品質記録など、品質マネジメントシステムを運用するうえで必要な情報を適切に管理することが求められます。文書化した情報には紙媒体だけでなく電子媒体も含まれており、電子データについては機密性・完全性・可用性の観点からどのように管理しているかが問われる場合があります(※2)。建設業に置き換えると、検査記録、施工プロセスの記録、是正の記録などが該当します。

あわせて、要求事項では、製品・サービスが要求どおりであることを確認し、要求を満たさない場合(不適合)に、その原因を除去する是正処置を行うことが求められます(※1)。内部監査や第三者による審査は、こうした不適合を発見し、是正処置によって仕組みを改善していくための機会と位置づけられます(※1)。これらはいずれも、記録を残し、必要なときに参照できる状態にしておくことが前提になります。建設現場に当てはめると、検査で不具合が見つかった際に、その内容を記録し、是正の指示と対応の結果まで残す一連の流れが、この要求に対応する実務といえます。

ここで課題になりやすいのが、記録運用を紙で行う場合の負担です。紙の帳票は保管場所が分散しやすく、後から特定の記録を探し出すのに時間を要することがあります。現場で紙に記入した内容を事務所でパソコンに再入力する運用も少なくなく、二重入力の手間や転記ミスが生じる要因の一つとなっています。記録量が増えるほど、こうした負担は大きくなりやすいといえます。デジタルツールは、この記録運用の部分で効果が出やすい手段です。

デジタルツールが品質管理体制の構築・運用を支える理由

デジタルツールを品質管理体制に取り入れることで、記録運用の負担を抑えやすくなります。主な効果として、次の点が挙げられます。

  • 記録を現場でその場完結させ、事務所での再入力(二重入力)を解消しやすくなります。転記に伴うミスの低減にもつながります。
  • クラウド上で記録を一元管理でき、必要な帳票を探し出す時間を短縮しやすくなります。複数の担当者が同じ情報を参照しながら作業を進められます。
  • 立会や検査の一部を、遠隔臨場によって遠隔で実施しやすくなります。移動時間の削減や確認書類の簡素化につながります。
  • 誰が、いつ、どの記録を作成・変更したかがデータとして残り、記録の追跡性(トレーサビリティ)を確保しやすくなります。内部監査での確認にも役立ちます。

このうち立会の効率化にかかわるのが遠隔臨場です。遠隔臨場(遠隔立会とも呼ばれます)とは、ウェアラブルカメラ等で取得した映像・音声をWeb会議システムを介して離れた場所へ配信し、発注者が段階確認・材料確認・立会を遠隔で実施する取り組みです(※3)。国土交通省は実施要領(案)でこの仕組みを定めており、目的として、確認に伴う手待ち時間の削減や確認書類の簡素化、現場臨場の削減による時間の有効活用を挙げています(※3)。品質確認の効率化に活用できる手段の一つといえます。

一方で、デジタルツールを導入しても、現場で使い続けられなければ記録が形式的なものになり、実効性が下がることがあります。品質管理体制のデジタル化では、規格対応のためだけでなく、現場が無理なく運用できる仕組みを設計することが、形骸化を抑えるうえで重要な要素となっています。導入の初期には、対象とする帳票を絞り、現場の声を聞きながら運用ルールを調整していく進め方が現実的です。

ISO9001の次期改訂(2026年発行予定)とデジタル・AI活用の方向性

ISO9001は、次期改訂が進んでいます。改訂版はISO9001:2026として2026年秋(9月)に発行される予定で、2025年8月には国際規格案(DIS)が公開されました(※4)。現行の2015年版から約10年ぶりの改訂であり、発行後には移行のための3年程度の期間が設けられる見込みとされています(※4)。この記事の時点(2026年7月)では2015年版が有効です。

今回の改訂は、デジタル化・AI・ビッグデータの普及といったビジネス環境の変化への対応を背景の一つとしています(※4)。品質マネジメントの領域でも、記録の電子化やデータの活用が前提になりつつあり、こうした流れは、品質管理体制のデジタル化を検討する動機となります。

改訂への対応は、現行のシステムを見直す機会にもなります。現在ISO9001を運用している組織にとっては、記録運用や内部監査の進め方を点検し、デジタルツールで効率化できる部分を洗い出すことが、スムーズな移行の準備につながると考えられます。まだ認証を取得していない組織にとっても、2015年版に基づく体制構築は引き続き有効とされています(※4)。

施工管理アプリ「eYACHO」で品質管理の記録運用を効率化する

記録運用のデジタル化を支える具体的なツールの一つが、施工管理アプリ「eYACHO」です。

eYACHOは、株式会社MetaMoJiが大林組と共同開発し、2015年から提供している施工管理アプリです。紙の野帳と同じ手書き感覚で記録できることが特徴で、MM総研「建設業の施工管理支援アプリの利用動向調査(2025年12月)」では、ゼネコンでの利用シェアNo.1(19%)、スマートデバイスでの利用シェアNo.1(21%)を獲得しています(※5)(※6)。

現場ではパソコンを使いにくい場面が多く、紙に記入した内容を事務所でパソコンに入力し直す運用も少なくありません。eYACHOでは、スマートフォンやタブレットで手書きのまま記録を作成し、その場で電子データとして扱えるため、事務所での再入力を抑えられます。印刷済みの帳票やExcelの帳票を取り込んでテンプレート化し、写真貼り付け枠や入力欄を設定して、検査帳票を現場で作成することができます。作成した記録は、複数ページをまとめてPDFに出力することができ、元請や発注者への提出にも利用できます。通信が不安定な場所でも入力を行い、電波が届く場所で同期する使い方にも対応しています。なお、ノートは自動で同期されますが、Shareノートとしての書き込みは、手動で「シェアレイヤーに移す」ことで同期されます。

同じ項目を繰り返し入力する手間を抑える仕組みとして、スマートテンプレートがあります。一度入力した工事名や日付などの共通項目を、関連する帳票に転記することができます。建設用語の入力には、建設mazec(手書き入力システム)を利用できます。

計測作業の記録では、eYACHOのスタンダード版以上・iOS版で利用できるBLuE連携により、対応する計測機器の測定値をBluetooth経由で帳票に取り込むことができます。値を読み取って書き写す作業が不要になり、転記に伴うミスの低減につながります。測定と記録を一人で進めやすくなる点も、記録作業の効率化につながります。

複数人での記録運用には、Share機能が有効です。同じノートや帳票、図面に複数の担当者が同時に書き込め、現場と事務所が同じ紙面を見ながら作業を進められます。書き込みは、誰が何を書いたかをリアルタイムに反映します。大林組(建築)の現場では、Share機能の活用による複数人での帳票入力によって、以前は1〜2時間かかっていた朝礼準備が10〜20分に短縮した事例が紹介されています(※7)。同じ現場では、安全パトロールの際に、キープランを見ながら指摘箇所に写真を貼り付け、是正の内容を現場でそのまま記録する運用も行われています(※7)。

立会・検査の効率化では、eYACHOを遠隔臨場に活用できます。東日本高速道路株式会社では、ウェアラブルカメラとeYACHO(Share機能)を用いた遠隔臨場により、立会前後の待機や移動を含めてトータルで500時間以上かかっていた移動時間を240時間に削減した事例があります(立会150〜160回の約半分を遠隔化)(※8)。この事例では、検測結果の記入から双方での確認、その場での承認までをeYACHO上で扱っています(※8)。eYACHOでは、承認の申請・確認を行うことができ、記録を残したまま一連のやり取りを進められます。

安全管理の面では、安全AIソリューションを利用できます。これは、MetaMoJiが2019年から独立行政法人 労働安全衛生総合研究所および株式会社大林組と共同で研究を進め、研究から得られた労働災害対策の知識を「リスク予測知識データベース」として体系化したものです(※9)。21種類の安全関連法令と31種類の通達・ガイドラインをもとに、過去の災害事例・マニュアル・法令などを参照し、作業内容や現場の状況に応じたリスクと対策をAIが提案します(※9)。AIが参照情報を自動で選択する自動モードと、作業員自身が災害事例・マニュアル・法令を選択して生成するインタラクティブモードの2つのモードがあります(※9)。安全AIソリューションはスタンダード版以上が対象で、無料トライアルでは利用できません。

記録をクラウドで扱ううえでは、情報セキュリティも品質管理体制の一部といえます。MetaMoJiは、情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格ISO/IEC 27001(ISMS)の認証を、クラウドサービス運用業務を対象範囲として取得しており(※10)、プライバシーマークも取得しています(※11)。なお、これらは情報セキュリティ・個人情報保護に関する認証であり、品質マネジメントの規格であるISO9001とは目的が異なります。

導入にあたっては、eYACHOは30日間の無料トライアルを提供しています(ベーシック版相当の機能が対象です)。BLuE連携や安全AIソリューションはトライアルの対象外です。用途に応じたプランが用意され、協力会社向けの限定ユーザー版もあります。限定ユーザー版は単独では購入できず、ベーシック版・スタンダード版・プレミアム版のいずれかを導入している企業が購入できます。

まとめ

建設業の品質管理体制は、ISO9001が示す品質マネジメントシステム(QMS)の考え方を土台にすると、役割・手順・記録の仕組みを体系立てて整えやすくなります。特に、ISO9001が求める「文書化した情報」の管理は、紙運用では保管や検索、二重入力の負担が生じやすく、デジタルツールの効果が出やすい領域です。検査記録や是正指示、立会(遠隔臨場)といった現場の品質管理業務を、手書きのまま電子化して一元管理する運用は、品質管理体制の構築と維持を支える手段の一つです。ISO9001の次期改訂もデジタル化を背景としており、記録運用の見直しは今後の対応の準備にもつながります。品質管理体制のデジタル化を検討する際は、施工管理アプリ「eYACHO」の活用もあわせてご検討ください。


eYACHOは30日間の無料トライアルを提供しています(ベーシック版相当の機能が対象です)。検査記録や品質管理帳票の作成を自社の現場でどこまで効率化できるか、まずは実際の運用に近い形でお試しください。導入に関するご相談は、公式サイトのお問い合わせ窓口( https://product.metamoji.com/gemba/message/ )で受け付けています。


よくある質問

  • Q. 品質管理体制の構築に、ISO9001の認証取得は必須ですか?

    A. 法律上の義務ではありません。認証を取得するかどうかにかかわらず、ISO9001が示す品質マネジメントシステムの考え方は、役割・手順・記録の仕組みを体系立てて整えるための枠組みとして活用できます(※1)。

  • Q. ISO9001は次の改訂でどう変わりますか?

    A. 改訂版はISO9001:2026として2026年秋(9月)に発行される予定で、2025年8月に国際規格案(DIS)が公開されています。デジタル化・AI・ビッグデータの普及への対応が背景の一つとされ、発行後には3年程度の移行期間が設けられる見込みです(※4)。この記事の時点では2015年版が有効です。

  • Q. eYACHOは無料で試せますか?

    A. 30日間の無料トライアルを提供しています。ベーシック版相当の機能が対象で、BLuE連携・安全AIソリューションはトライアルの対象外です。

出典一覧

※1 一般財団法人日本品質保証機構(JQA)「ISOの基礎知識」 https://www.jqa.jp/service_list/management/management_system/
※2 一般財団法人日本品質保証機構(JQA)「情報誌 ISO NETWORK Vol.27」 https://www.jqa.jp/service_list/management/iso_info/iso_network/vol27/page3.html
※3 国土交通省 大臣官房技術調査課「建設現場における遠隔臨場に関する実施要領(案)(2023年3月)」 https://www.mlit.go.jp/tec/content/001594449.pdf
※4 テュフズードジャパン株式会社「まもなく最新版が公開:ISO 9001 改訂 2026」 https://www.tuvsud.com/ja-jp/resource-centre/stories/jp-revision-of-iso-9001
※5 株式会社MM総研「施工管理支援アプリは働き方改革関連法の適用後も導入が進み、建設業全体の利用率は4割強に上昇(建設業の施工管理支援アプリの利用動向調査 2025年12月)」 https://www.m2ri.jp/release/detail.html?id=710
※6 株式会社MetaMoJi「MetaMoJiの『eYACHO』がゼネコンで利用される施工管理アプリNo.1に」 https://metamoji.com/jp/news/20260325/
※7 株式会社MetaMoJi「eYACHO導入事例|株式会社大林組(建築)」 https://product.metamoji.com/gemba/eyacho/user/obayasigumi_kentiku.html
※8 株式会社MetaMoJi「eYACHO導入事例|東日本高速道路株式会社」 https://product.metamoji.com/gemba/eyacho/user/e-nexco.html
※9 株式会社MetaMoJi「現場のリスクと対策をAIが予測・サポート|安全AIソリューション」 https://product.metamoji.com/gemba/eyacho/topic/ai_solution.html
※10 株式会社MetaMoJi「MetaMoJiが『ISO/IEC 27001(ISMS)』認証を取得」 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000187.000004007.html
※11 株式会社MetaMoJi「MetaMoJi、『プライバシーマーク』認定を取得」 https://metamoji.com/jp/news/20260224/
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【監修】eYACHO編集部

施工管理アプリ「eYACHO」は、タブレット1つで現場の記録・共有・管理を可能にし、施工管理から安全管理まで幅広い業務をサポートします。
本コラムでは、建設業界の課題解決やDX推進に役立つ情報や最新動向をお伝えします。

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