建設現場のペーパーレス化とは、図面や日報、安全書類といった現場の書類をデジタルに置き換え、現場で作業を完結できる状態をつくる取り組みです。「紙を減らす」こと自体が目的ではありません。とはいえ、ツールを導入しても現場で使われずに終わる、という声も少なくありません。書類の棚卸しからツール選び、現場への定着までを、5つのステップに分けて解説します。あわせて、建設現場ならではの「PCが使えない」という前提を踏まえた進め方も整理します。
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建設現場のペーパーレス化を成功させる5ステップ|
ツール選びから定着まで
建設業でペーパーレス化が求められる背景と、現場で進みにくい理由
まず、なぜ今ペーパーレス化なのかを押さえておきましょう。背景には、複数の流れがあります。
はじめに挙げられるのが、いわゆる2024年問題です。2024年4月から、建設業にも時間外労働の上限規制が適用されました。36協定を結んでいる場合でも、時間外労働は原則として月45時間・年360時間が上限となり、違反には罰則も定められています(※1)。これまで建設業は上限規制の適用が5年間猶予されていましたが、その猶予期間が終わりました。限られた時間で工事を進めるには、現場の事務作業を減らす取り組みが避けにくくなっています。
人手不足と高齢化も見過ごせません。就業者数の減少が続き、ベテランの退職による技術継承も課題になっています。限られた人数で現場を回すうえで、書類作成のような付随業務をどれだけ軽くできるかは、無視できないテーマです。
法令面の変化もあります。電子帳簿保存法の改正により、2024年1月からは、メールなどでやり取りした電子取引データを、原則として電子データのまま保存することが必要になりました(※2)。注文書・請求書・見積書などをデータで受け取る場面が多い建設業でも、書類の扱い方を見直すきっかけになっています。
一方で、建設現場のペーパーレス化には進みにくい事情もあります。理由の1つは、現場ではPCを持ち込んで作業しにくいことです。屋外や高所、狭い場所での作業が多く、紙の野帳に手書きするという文化が根づいてきました。また、多くの協力会社が出入りするため、関係者全員に同じ運用を浸透させにくいという難しさもあります。こうした事情から、紙に書いた内容を事務所でPCに打ち直すといった二度手間が、そのまま残っている現場も少なくありません。
ペーパーレス化を実現するアプリの導入自体は徐々に進んでいます。MM総研の調査(2025年12月)によると、施工管理アプリを利用している建設業のエンドユーザーは42%、施工管理業務が多いゼネコンに絞ると60%に達しています(※3)。数字の上では普及が進む一方で、現場が使いこなすまでには一定の時間がかかる、という段階にあるといえます。
建設現場でペーパーレス化できる主な書類と、優先順位の考え方
進め方を考える前に、どの書類がデジタル化しやすいかを整理しておくと、着手しやすくなります。建設現場でペーパーレス化の対象になりやすい書類には、次のようなものがあります。
- 日報・作業報告書などの日々の記録
- KYシート・作業指示書といった安全関連の書類
- チェックリスト・点検表
- 図面・施工図
- 工事写真・写真台帳
- 検査帳票・出来形管理の記録
- 打合せ議事録
すべてを一度にデジタル化しようとすると、現場の負担が大きくなりがちです。優先順位をつけるときは、「使用頻度が高い」「作成に時間がかかる」「事務所への持ち帰りが発生している」という観点で見ると絞り込みやすくなります。たとえば日報や写真台帳は、毎日発生し、事務所での打ち直しや整理に時間がかかりやすいため、効果を実感しやすい候補になります。
書類をデジタルに置き換えると、いくつかの利点が期待できます。紙のように保管スペースを取らず、過去の資料を探す時間を短縮しやすくなります。紛失や汚損のリスクを下げられるほか、現場と事務所で同じ情報を共有しやすくなる点もメリットです。ただし、これらの効果は運用の仕方によって差が出るため、導入すれば自動的に得られるものではない、という前提で計画を立てると現実的です。
建設業のペーパーレス化を成功させる5ステップ
順番に進めることで、導入後に「使われないツール」になってしまうリスクを減らしやすくなります。
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ステップ1:現状の紙業務を棚卸しし、目的を決める
最初に行いたいのは、現場で今どんな紙がやり取りされているかの棚卸しです。どの書類が、どの工程で作られ、誰が確認し、どこに保管されているのかを洗い出します。あわせて、単なるデジタル化ではなく、重複した確認作業や不要な承認プロセスがないかも見直すと、効果が高まりやすくなります。
着手前に「何のためにペーパーレス化するのか」を決めておきます。持ち帰り残業を減らしたいのか、図面共有のミスを防ぎたいのか、写真整理を楽にしたいのか。目的が曖昧なまま進めると、導入後に現場から反発を受けやすくなります。削減したい時間やコストを数値の目安に置いておくと、経営層や現場責任者の合意も得やすくなります。
棚卸しの段階では、現場で実際に作業する人の意見を聞いておくことも欠かせません。協力会社を含めた関係者が、どの程度デジタルツールに慣れているかを把握しておくと、導入時の負担を見積もりやすくなります。現場の実態に合わない計画を先に固めてしまうと、後から運用がうまく回らなくなることがあるため、この段階で現場の声を反映しておくと、その後のステップが進めやすくなります。
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ステップ2:効果が出やすい書類からスモールスタートする
いきなり全業務・全社に広げるのではなく、効果が出やすく、導入のハードルが低い書類から始める方法が現実的です。日報や写真整理など、日々発生して負担の大きい業務は、最初の対象として選ばれることが多い領域です。
1〜2の現場で試験的に運用し、そこで得た気づきをもとに運用ルールやテンプレートを整えていきます。小さく始めることで、うまくいかなかったときの影響を抑えられ、成功体験を積み重ねやすくなります。
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ステップ3:現場で使えるツールを選ぶ
対象と目的が定まったら、ツールを選びます。ここで重視したいのは、多機能かどうかよりも「現場で実際に使う人が使えるか」です。現場ではPCが使いにくいため、スマートフォンやタブレットで完結できること、手書きに対応していることが、定着を大きく左右します。選定の具体的な観点は、後の章で詳しく整理します。
このステップでは、複数のツールを比較し、無料トライアルなどを使って実際の現場で試すことをおすすめします。カタログ上の機能ではなく、現場責任者や若手が触ってみたときの使い勝手を確認することが重要です。
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ステップ4:トライアルで検証し、現場の声を反映する
試験導入では、現場から挙がる「使いにくい」「ここが分かりづらい」といった声を丁寧に拾います。入力の手間を減らす、項目を絞る、テンプレートを調整するなど、現場の負担を軽くする方向で運用を見直していきます。
ツールは導入して終わりではなく、現場が使いこなせるようになるまでが運用です。操作説明会を開いたり、マニュアルを分かりやすくしたりと、サポート面を整えることも、この段階で検討しておきたいポイントです。
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ステップ5:運用ルールを整え、全社・協力会社へ広げる
試験導入で手応えが得られたら、運用ルールを標準化し、対象の現場や部門を広げていきます。誰が運用しても同じ品質を保てるよう、テンプレートや命名ルールをそろえておくと、展開がスムーズになりやすくなります。
建設現場では協力会社の存在も大きいため、協力会社を含めてどう展開するかも計画しておきます。全社に一斉展開するよりも、成功した現場のやり方を次の現場へ引き継いでいく形のほうが、無理なく浸透しやすい傾向があります。
ペーパーレス化の効果を左右する「ツール選び」のポイント
ステップ3で触れたツール選びは、ペーパーレス化の成否を大きく分ける工程です。建設現場で確認しておきたい観点は、次のように整理できます。
- 現場で使うスマートフォン・タブレットで、入力から提出まで完結できるか
- 紙の野帳に慣れた作業員でも扱いやすい手書き入力に対応しているか
- 電波が届きにくい場所でもオフラインで入力でき、通信の回復後に同期できるか
- 会社で使ってきた既存のExcelや紙の帳票を、そのままテンプレート化できるか
- 協力会社へ低コストで展開でき、権限を絞って必要な書類だけ配布できるか
いずれも、現場ではPCを広げにくいという前提から導かれる観点です。その場で入力し提出まで進められること、紙の野帳と近い感覚で手書きできることは、現場への定着を大きく左右します。トンネル坑内や山間部、建物内部などでは電波が届きにくいため、オフライン対応も屋外・インフラ系の現場では効果を発揮します。会社ごとの帳票をそのまま持ち込めると、業務フローを大きく変えずに移行でき、定着が早まりやすくなります。
公共工事を扱う場合は、確認事項が増えます。工事写真に使う電子小黒板が改ざん検知に対応しているか、発注者が求める電子納品の形式に沿って出力できるかは、案件によっては必須の要件になります。発注者ごとに電子納品の要領が異なることもあるため、受注予定の案件の要件を先に確認しておくと安心です。
セキュリティ面も見落とせません。データの保管場所や暗号化、端末を管理する仕組みへの対応、第三者認証の取得状況などは、特に大手企業の情報システム部門の審査で問われやすい項目です。求められる水準は会社や案件によって異なるため、候補となるツールの仕様を早めに取り寄せて突き合わせておくとよいでしょう。
これらの観点は、カタログを見比べるだけでは判断しきれない部分が多く残ります。無料トライアルを使い、実際の現場に近い条件で、現場責任者や若手も含めて試してから決めると、選定の失敗を防ぎやすくなります。
建設現場のペーパーレス化を支える選択肢としての「eYACHO」
ここまで整理してきた観点を満たす選択肢の1つが、施工管理アプリ「eYACHO」です。以下はeYACHOに固有の内容です。
eYACHOは、株式会社MetaMoJiが大林組と共同開発し、2015年に提供を開始した施工管理アプリです。iOS・iPadOS・Windows・Androidに対応しています(※4)。MM総研の調査(2025年12月)では、ゼネコンでの利用シェア(19%)と、スマートデバイスでの利用シェア(21%)の両方でNo.1となっています(※3)。
eYACHOにおける手書き対応の中心は、建設mazec(手書き入力システム)です。建築・土木・設備などの現場で使う専門用語を収録しており、手書きした文字をデジタルの文字に変換できます。キーボード操作が苦手な人でも、紙の野帳に近い感覚で入力しやすい設計です。
帳票については、eYACHOでは会社で使っている既存のExcel・PDF・紙の帳票を取り込んでテンプレート化できます。見た目をそのままにデジタル帳票へ置き換えられるため、業務のやり方を大きく変えずに移行しやすくなっています。入力した値を他の帳票へ転記することもでき、同じ項目を繰り返し書く手間を減らせます。
現場で発生しやすい書類への対応も用意されています。工事写真については、eYACHOのスタンダード版以上で使える工事写真自動整理機能を搭載したアプリとして、撮影した写真を工事写真帳にまとめる作業を効率化できます。安全書類については、eYACHOの安全AIソリューションが、過去の災害事例やマニュアル、法令などをもとに、作業内容や現場の状況に応じたリスクと対策をAIが提案し、KY活動を支援します。安全AIソリューションはスタンダード版以上が対象で、無料トライアル(ベーシック版相当)では利用できません。また、eYACHOのスマートテンプレートを使うと、日報に入力した内容を週報や月報へ集約でき、締めの作業を軽くしやすくなります。
リアルタイムの共有には、Share機能が使えます。同じノートや図面、帳票に複数の人が同時に書き込め、書き込んだ内容がリアルタイムに反映されます。現場と事務所が同じ紙面を見ながら作業でき、朝礼や打合せ、図面の指示出しなどに活用できます。遠隔地とのやり取りには、ビデオ通話機能のGEMBA Talkがあり、書類共有と組み合わせることで、遠隔臨場(遠隔立会とも呼ばれます)でも活用できます。
現場の通信環境への備えとしては、eYACHOはオフラインでも入力でき、通信が回復したときに同期できます。ノートとしては自動で同期されますが、Shareノートとしての書き込みは、手動で「シェアレイヤーに移す」ことで同期されます。加えてau Starlink Direct連携により、空が見える場所であれば、これまで電波が届きにくかった場所でも利用しやすくなっています。
実際の効果は、導入企業の事例からも見えてきます。共通するのは、いずれも「紙の書類や移動をなくし、現場で完結させる」という方向性です。大林組の建築現場では、Share機能の活用により、朝礼準備が1〜2時間から10〜20分へ短縮した事例が紹介されています(※5)。東日本高速道路(NEXCO東日本)では、ウェアラブルカメラとeYACHO(Share機能)を活用した遠隔臨場により、立会のための移動時間を500時間以上から240時間へ削減した事例が紹介されています(※6)。あわせて、書類のやり取りから承認までがペーパーレスかつリアルタイムにeYACHO上で完結したとされています。
料金は、初期導入費が330,000円(初年度のみ・税込)で、ベーシック版が月額3,520円/人(年額31,680円/人・税込)からです。最小5ライセンスから導入でき、30日間の無料トライアルを利用できます(ベーシック版相当の機能が対象です)。協力会社への展開には、限定ユーザー版(月額1,320円/人・税込)があります。これはベーシック版・スタンダード版・プレミアム版を導入している企業が購入して配布するもので、限定ユーザー版のみを単独で購入することはできません(※7)。
ペーパーレス化を定着させ、効果を測るために
導入したツールを一過性の取り組みで終わらせないために、効果を測りながら運用を続けます。効果測定では、用紙代・印刷費といったコストだけでなく、日報や安全書類の作成にかかる時間、現場と事務所の往復回数などを、導入前後で比べてみるとよいでしょう。数値で可視化できると、経営層への説明もしやすくなります。
あわせて、現場から挙がる改善要望に対応し続ける体制を整えておくと、運用が形骸化しにくくなります。うまくいっている現場のやり方をほかの現場へ共有し、ツールのアップデートに合わせてマニュアルを見直すといった地道な取り組みが、定着につながっていきます。四半期ごとなど、定期的に振り返りの機会を設けるのも有効です。
社内への広げ方としては、使いこなせるようになった担当者が、完了した現場から次の現場へ移っていく流れをつくると、無理なく浸透しやすくなります。ITに前向きな社員を最初の現場のキーパーソンに置き、その成功体験を横へ広げていくイメージです。協力会社を巻き込む場合は、権限を制限して必要な書類だけを扱えるようにするなど、相手の負担を抑える工夫があると、参加してもらいやすくなります。導入を支援するサービスや講習を提供している提供会社も多いため、社内の推進体制と組み合わせて活用すると、定着を後押ししやすくなります。
まとめ
建設業のペーパーレス化は、書類の棚卸しで現状を把握し、効果が出やすい書類からスモールスタートし、現場で使えるツールを選び、トライアルで検証し、運用を広げるという5ステップで進めると、無理なく取り組みやすくなります。ツール選びでは、現場でPCが使えないという前提を踏まえ、スマートフォン・タブレットで完結できるか、手書きや既存帳票に対応しているかを確認することが、定着の分かれ目になります。まずは自社の紙業務を棚卸しし、小さく試すところから始めてみてはいかがでしょうか。
eYACHOは30日間の無料トライアルを提供しています。日報や安全書類のペーパーレス化を自社の現場でどこまで実現できるか、まずは実際の運用に近い形でお試しください。導入に関するご相談は、公式サイトのお問い合わせ窓口で受け付けています。
よくある質問
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Q. 建設現場のペーパーレス化は何から始めればよいですか?
A. まず現場で使っている紙の書類を棚卸しし、使用頻度が高く作成に時間がかかる書類から始める方法が現実的です。日報や写真台帳など、毎日発生して事務所への持ち帰りが起きやすい書類は、効果を実感しやすい候補になります。
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Q. eYACHOは無料で試せますか?
A. 30日間の無料トライアルを提供しています。ベーシック版相当の機能が対象で、BLuE連携や安全AIソリューションはトライアルの対象外です。
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Q. 電波が届かない現場でも使えますか?
A. eYACHOはオフラインでも入力でき、通信が回復したときに同期できます。ノートは自動で同期されますが、Shareノートとしての書き込みは、手動で「シェアレイヤーに移す」ことで同期されます。空が見える場所であれば、au Starlink Direct連携により、電波が届きにくい場所でも利用しやすくなっています。
出典一覧
※2 国税庁「電子帳簿等保存制度特設サイト」 https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/tokusetsu/index.htm
※3 株式会社MM総研「建設業の施工管理支援アプリの利用動向調査(2025年12月)」 https://www.m2ri.jp/release/detail.html?id=710
※4 株式会社MetaMoJi「施工管理アプリeYACHO」公式サイト https://product.metamoji.com/gemba/eyacho/
※5 株式会社MetaMoJi「eYACHO導入事例|株式会社大林組(建築)」 https://product.metamoji.com/gemba/eyacho/user/obayasigumi_kentiku.html
※6 株式会社MetaMoJi「eYACHO導入事例|東日本高速道路株式会社」 https://product.metamoji.com/gemba/eyacho/user/e-nexco.html
※7 株式会社MetaMoJi「施工管理アプリeYACHO購入情報」 https://product.metamoji.com/gemba/eyacho/purchase.html