2025年度の選定会社からの学び

2025年度はグランプリ1社、準グランプリ3社、優良事例11社の計15社が選定されている。今回はグランプリを受賞された建設業の株式会社後藤組と準グランプリを受賞された特殊塗装業の株式会社ヒバラコーポレーションを取り上げてみたい。

DXセレクション2024選定事業者一覧

グランプリを受賞された株式会社後藤組は、米沢市に本社を置く建設業である。創業100周年を迎える歴史ある会社で、従業員150人の中小建設業であるが、下請け事業ではなく元請けで施工を請け負う会社である。事業は土木、建築ばかりでなく住宅関連の新築、不動産売買、リフォームなどを手掛けており、地域No.1の建設業と言える。

沿革にはエピソードがあり、現社長が経営代表に就いた時は学生だったそうだ。父親である先代が体調を崩し、海外留学中だった現社長が急遽呼び戻されて社長に就任することを託されたそうだ。経営を学ぶ間もなく就任したことから、経営塾に学び指導を受けてきたが、5〜6年前にDXの重要性を示唆されて、DXに取り組み出した。

DXに取り組む際にデジタルを理解している人材も社内に見当たらず、誰をリーダーにするか悩んだ末に、以前より採用していた社員の思考特性と行動特性で個人をプロファイリングする手法であるエマジェネティックスによって分析し、最も適任と思われる人材を見出しリーダーに据えたところ、見事にその役割を果たしてくれることになったと言う。

社員の特性をプロファイリングする手法には他にもストレングスファインダーという手法があり、中小企業で採用している会社も少なくない。限られた人材の特性を活かすことが出来る手法である。

後藤組のDXの基本戦略は「全員DX」であり、Google WorkspaceやKintoneなどのノーコードツールを活用した内製を基本にしている。様々な業務アプリを開発して日常業務の効率化や品質向上を進め、労働時間の短縮も実現した。労働環境の改善は離職率の低減に繋がり、若手社員が生き生きと働ける環境が出来たと言う。

苦労人の社長が経営塾の示唆によりDXの必要性に気づいたことはとても大きなきっかけになっている。さらに、リーダー人材を発掘し、全員DXで取り組んだことが成果に繋がっている。

継続的に人材育成やデジタルスキルアップにも取り組んでいて、若手社員が即戦力に出来ていることも強みである。協力業者も巻き込んだプロセス改革が効率化に貢献している。 後藤組の「DX戦略2025」は中小企業にとって参考になるコンテンツである。

https://www.gto-con.co.jp/system/corporate/wp-content/themes/BURN/common/pdf/dx/dx-strategy2025.pdf


株式会社後藤組(建設業)取り組み概要
DX実現に向けたプロセス

準グランプリ受賞した株式会社ヒバラコーポレーションは、茨城県東海村にある工業塗装会社である。

工業塗装とは、様々な製造業から塗装の仕事を請負う専門の会社である。自社工場で塗装まで行う企業もあるが、多くの会社、特に中堅・中小企業は塗装を外注する。その受け皿会社の一つがヒバラコーポレーションである。

ヒバラコーポレーションはグローバルニッチトップ企業を目指してDXに取り組んでいる。その中核となるシステムは「設備監視システム」である。後付けで出来るセンサーやカメラなどから設備運転状況のデータを収集し、ダッシュボードに表示することによって設備運転の異常や故障の予知を図り、稼働率の向上を実現している。

AIやロボットを駆使して、塗装の自動化やプロセス管理の取り組んでおり、自社DXのノウハウをDXソリューションとして組み立て、HIPAXという生産管理統合システムを外販して顧客の工場に導入、遠隔操作でコンサルティングを行うとともに技術伝承や技術者の育成にも取り組んでいる。

特筆すべきは経営トップのデジタルに対する理解とDX戦略への強い思いである。それを生産管理システムとして組み立て、他社へも外販するDXソリューションビジネスとして新規事業化していることであろう。


株式会社ヒバラコーポレーション(製造業)
DX実現に向けたプロセス
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