2023年度の選定会社からの学び

2023年度は20社がDXセレクションに選定されている。今回はグランプリを受賞した、ちょっとユニークな製造業の株式会社フジワラテクノアートと建設業で審査員特別賞を受賞した有限会社ゼムケンサービスの2社を取り上げてみたい。

DXセレクション2023終了事例一覧

株式会社フジワラテクノアートは、岡山県岡山市に本社や工場をもつ醸造機械のトップメーカである。洗米機、蒸米機、製麹機、吟醸甑など日本酒醸造や醤油製造など発酵食品のための生産機械を提供している。従業員数159名で創業93年目を迎える地域の老舗製造業である。

トップメッセージも開発ビジョン2050を掲げて、世界で微生物インダストリーを共創するという力強いものがあり、中小企業ながら長期を見据えた経営ビジョンを持っていて、Webからのムービーによるビジョンの発信159優れている。 DXの取り組みはアナログだった2019年から始まるが、4年後にはDXセレクショングランプリを受賞し、前年には日本DX大賞も受賞している。DXに取り組んだきっかけは開発ビジョン2050が関係していて、その実現のためにはDXが必要だと経営者が気づいたことにあった。それからはビジョンを構築し、デジタル人材を育成して内製で進めたことが結果を生んだと言える。データの可視化や活用が経営に必須であることを感じて、デジタル化推進計画や経営計画にDXを位置付けたことが大きなポイントになっている。

WebサイトのDXの取り組みを見ると、経営的な取り組みとしての位置付けが明確であり、ビジョンや実践の戦略がよく出来ていて、DX実現能力が高いことがわかる。

開発ビジョン2050
開発ビジョン2050
開発ビジョン2050

経済産業省のレポートを見ると、デジタル人材の育成が高く評価されているが、2018年には1人しかいなかったデジタル人材が、2023年には21人の資格取得者が生まれている。

株式会社フジワラテクノアート
わが社のDXのポイント

審査員特別賞を受賞した有限会社ゼムケンサービスは、北九州市に拠点を持つ建設業で際立った特徴を持っている。それが審査員特別賞に選ばれた一つの要素と思われる。
創業者の工務店の跡を継いだ現社長は、女性ならではの感性を活かして、女性建築デザインチームを立ち上げるなどコンセプトがユニークである。おそらくデザインの勉強のためと思われるが欧米への留学や研修も重ねてきた。社員8名のうち、6名が女性で4名が一級建築士という構成で、ブランディングやデザインに重きを置いている。建築や内装の設計・施工を行う傍ら、空間デザインのコンサルティングも行なっている。

WebサイトからはDX戦略や取り組みが発信されていないので詳細がわからない。しかし、経営トップ自らが日本技術士会で「小さな工務店におけるダイバーシティ経営の取組とDX戦略」をテーマに講演し、国土交通省でも「先進企業によるICT活用事例の発表」で講演をしている。

外部情報を探すと、北九州市のDXという冊子に紹介記事があった。その記事によると「建設的な意見で女性力を現場力に変える」という思いで2019年にけんちくけんせつ女学校を開校していることもわかる。女性の従業員を生かすためにワークシェアリング導入したりして働きやすい環境作りをしている。DXについては、統合業務パッケージ(ERP)を導入して業務を半減するとか、AIとARを活用して現場と事務所をネットワークで繋ぎ、経験の浅い若者でも作業に従事できるようなマネジメントツールの開発などを実践しているようである。

AIを使って誰もが簡単安全に作業する環境を整える
北九州市のDXより転載

これらの情報からわかるポイントは、経営トップの強い思いと実践力・行動力であろうと推測される。規模の小さい会社ではトップ次第で全てが変わる。

有限会社ゼムケンサービス

経済産業省のレポートのよると、以下のようにまとめられている。

わが社のDXのポイント

DXを大上段に構えることなく、身の丈に合わせて徐々にデジタル化を進めていったことがわかる。大学や行政など協力者の支援を受けながら、建設業のDXの必要性を浸透させ人材育成に重きを置いている。成果として一人当たりの売り上げを飛躍的に向上させている。

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