DXセレクション選定会社に見るDXのポイント
経済産業省が中小企業を対象にDX推進において優秀な成果を収めた会社を表彰するDXセレクションを始めたのは2022年である。今年は5年目になるが、年々制度も充実し参加する会社のレベルも向上している。初年度は地域版IoT推進ラボの推薦企業が対象であったが、今年はDX認定企業か審査迄に取得予定の企業が対象になっている。
過去の選定企業から、建設業1社と製造業1社を対象としてDXを推進し成功させていくポイントを解説していきたい。
2022年度の選定会社からの学び
2022年度DXセレクションに選定された会社は16社である。この中からグランプリを受賞した製造業の株式会社山本金属製作所と建設業は唯一優良事例選定に選ばれた富山県の株式会社新日本コンサルタントを対象にDXで評価されたポイントを探ってみる。
2022年当時は、推薦期間を通じてエントリーする仕組みだったので、多くが地域のIoT推進ラボからの推薦を受けている。
ホームページからの発信から、どういうところが評価されているのかを探ってみたい。
各社のDXの取組みを知るには、まずトップメッセージを見て経営者がどのように考えているかを知ることが重要である。DXセレクションの評価でも組織としてのDXの実現能力が問われ、その記述式の評価項目は以下のようになっている。
- ➀ 経営ビジョン
- ➁ 経営戦略・DX戦略(データ活用等含む)
- ➂ 組織つくり
- ➃ デジタル人材の育成・確保
- ➄ ITシステム構築・利活用
- ➅ リスク認識とその対応方法(サイバーセキュリティ含む)
- ➆ 進捗・成果を適時・継続的に確認するための工夫、見直しの方法
まずは経営トップが経営ビジョンや経営戦略をしっかり立てていることが求められている。
株式会社山本金属製作所は大阪市平野区に本社を構える創業60年を超える歴史ある製造業で、総従業員数300名の典型的な日本の中小製造業である。切削などの受託加工やロボティックス、物理現象の計測サービスなどを提供している。
トップメッセージや経営理念からは企業価値向上のために最新テクノロジーを活用することや人材育成に力を入れていることが感じられる。組織図をみると、事業ユニットとは別にデジタル推進室が設けられている。
グランプリとして評価された一つは、DXのビジョンとして掲げている「Intelligence Factory
2030」があり、デジタルマーケティング、工場連携を目指すものつくり基幹システム、ロットや医療など新分野マーケット開拓、海外展開、高度加工エンジニア育成、ラーニングファクトリーという学習型生産現場の構築の6つのテーマを掲げて経営の変革に取り組んだことである。さらにDXをサポートする仕組みとしてLAS(Learning
Advanced Service)を構築して自社内で検証し、外部サービスの展開を進めている。
開示されているこれらの情報からわかることは、しっかりしたDXビジョンのもとで組織全体が活動し、人材育成に重きを置いていることが高く評価されたものと思われる。
建設業の株式会社新日本コンサルタントは、受賞の翌年、社名をNiX JAPAN株式会社に変更している。
URL:https://nix-japan.co.jp/
富山市に本社を置くNiX
JAPAN株式会社は従業員が300名ほどの建設会社で、橋梁、道路、河川、上下水道など国土インフラ事業を核として、自治体向けのソリューションサービスを展開している。
NiX
JAPAN株式会社のトップメッセージで目立つのは、未来の始まりは「X」としていて、社名変更の意図が説明されている。さらに社長ブログが公開されていて、トップからの発信力がとても高いことがわかる。
この会社はDX認定を受けており、事業の一環としてDXサービスも提供しているのでDX
に対する認識は高い。DX戦略についてもWebから公開していて、人材育成を含めてDX戦略は明確である。
この会社で高く評価できる点はトップのリーダーシップと発信力ではないだろうか。
経営ビジョンもDX戦略もしっかり構築されている。
経済産業省のレポートは以下のサイトから参照することができる。 https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/dx-selection2022.pdf