【第6回】DX支援ガイダンスの活用
中小企業のDXを支援する仕組み
日本の全企業数の99.7%は中小企業が占めている。中小企業の活動無くして大手企業のサプライチェーンも成り立たない。中小企業のDXを促進して経済を活性化することが、日本の経済活性に直結することは必然である。
このような観点から国は中小企業に対して様々な支援策を講じている。コラムの③シリーズでは「国のDX支援で会社が変わる、社員が変わる」をテーマに国の支援策について解説してきた。最終稿はDX支援ガイダンスについて解説しよう。
経済産業省では2023年11月より「支援機関を通じた中堅・中小企業等のDX支援の在り方に関する検討会」を立ち上げ、中堅・中小企業等に対するDX支援の在り方について、全国各地域において実際にDX支援に取り組む様々な支援機関のヒアリングも含め、全10回にわたって議論を重ね、この議論を取りまとめる形で、2024年3月に支援機関が中堅・中小企業等に対してDX支援を実施する際に考慮すべき事項について解説した、「DX支援ガイダンス」を新たに策定した。
DX支援におけるキーワードは「伴走」である。支援機関がDXを推進しようとする中堅・中小企業に寄り添って、伴走することによって成功へと導くものである。
DX支援ガイダンス -デジタル化から始める中堅・中小企業等の伴走支援 アプローチ-(本編)
DX支援ガイダンス -デジタル化から始める中堅・中小企業等の伴走支援 アプローチ-(概要版)
DX支援ガイダンス -デジタル化から始める中堅・中小企業等の伴走支援 アプローチ-(サマリー)
自立が理想だが、支援を受ければ到達が早い
本来、企業のDXは経営者が企業価値向上を目的として、デジタルを活用した経営改革を行うことであるから、経営者自身がその思いをビジョンとして掲げてコミットし、戦略を立てて推進していくものである。個社で自立的に推進出来ることが理想であるが、多くの中小企業では資金力不足、人材不足、スキル不足によって思うようには進まない。ビジョンや戦略までが出来ても、実践力がなければ成果を期待できない。資金については各種補助金や税制による金銭的支援など様々な国の施策があるが、デジタル人材の不足やスキル・知識の不足は個社社内だけでは賄えないことが多い。
中小企業がDXに取り組むに当たっての課題(複数回答)
そこで、不足部分について支援機関から支援を受けて伴走してもらうと、DXの到達が早いことは言うまでもない。
DX支援ガイダンスでは、支援機関についてもまだ課題があり。それらを踏まえて支援機関に対しても改善を促している。
伴走者の活用
DX推進を支援してくれる伴走者とはどのような組織や機関なのだろうか?これについては2025年3月に「DX支援ガイダンス別冊」として事例集が公表されている。
支援機関の代表的なものは、以下のような機関である。
- ➀ 地域の金融機関
- ➁ 地域のITベンダー
- ➂ コンサルタント
- ➃ SaaSサービスの事業者
- ➄ 大手ITベンダー
- ➅ 公益財団法人
- ➆ 地方公共団体
- ➇ 商工会議所
- ➈ 税理士法人などの士業
- ➉ 地域のDX推進ラボ
地域によって、熱心な地方銀行などが支援機関になっていて財務情報などを踏まえて適切な伴走を行なって相互に利益を生む事例も出ている。
DXの活動は一朝一夕で出来るものではない。継続性が求められる。そこで伴走に必要性が出てくる。デジタルに疎い会社は、伴走機関の指導によってデジタルに慣れ、その可能性を体感していくことによって徐々に定着することができる。
DX支援機関は、DX支援のコミットメントを表明し、組織体制作りに協力し、伴走しながらDX人材の育成にも支援協力をする。
支援を受けた中小企業は、DX推進のロードマップを描き、デジタルガバナンス・コードに準拠してKGI・KPIを定め経営者主導のもとで実践していく。当面の目標を「DX認定」に置けば、組織が目標に向かって動き出せる。
デジタル化が進むことによって、組織の透明化も進み情報共有やコミュニケーションが良くなる。社員が利便性を体感すれば、作業の効率化を進める工夫も出てくる。動輪が動き出せば、重い組織も動き出す。
国の施策を十分に活用し、会社も社員も変革してもらいたい。