中小企業に向けた国のDX施策の概要
【第1回】全体のDX支援体系はどうなっているのか?

DX支援施策の概要

国が中小企業向けのDX推進のために行っている施策は幅広いが、全体の体系を理解しておくと支援を受けやすい。
中小企業がDXを進めようとすると、資源が不足していて進められないことがある。それは金銭的な資源、人的な資源、そして知識資源である。国の施策はこの不足する資源を支援することによって推進を図っている。
DXの本質は如何にして企業価値を向上させるかにあるが、デジタルをベースにすることが求められる。デジタル環境を導入するには、金も人も技術知識も必要になる。これらの障壁で止まってしまったら何も進まない。しかし、それらには支援策が用意されている。
DXに必須なのは、経営のトップが自社をどう変化させて企業価値を作っていくかについてビジョンを持ち、ビジネスのモデルを描くことである。まず経営トップがその必要性を理解し、自らビジョンを描ければ大きな障壁はない。最大の障壁は経営トップの意志にあるのだ。
経営トップのDXに取り組む姿勢が固まったら、改めて支援体系を見てみよう。
デジタル化は大きく構えることはない。身の回りの出来ることから始めて、徐々に環境を整備すればよい。

デジタル化支援策の柱はIT導入補助金である。毎年様々な補助金の募集要網が開示されるので、2025年の内容を確認して申請すれば良い。業務の効率化やDX推進のための資金を最大450万円、補助率1/2~4/5で補助してもらえる。申請は登録されたIT導入支援事業者のサポートを受けながら、申請すれば良い。

日本語のプロセスを示す図。言語の構成要素と学習の流れが明確に示されています。

今年とは通常枠の他に、複数社連携IT導入後、インボイス枠(インボイス対応類型、電子取引類型)、セキュリティ対策推進枠が用意されている。
また、中小企業基盤整備機構(中小機構)が運営する「デジwith」という情報ポータルサイトがあり、中小企業のデジタル化・IT化をサポートする情報が集約されている。
URL:https://digiwith.smrj.go.jp/

「デジwith」というタイトルの日本語インフォグラフィックは、テキストセクションと3つの主要なポイントを示す円形の図表を使用して、ITソリューションとデジタルトランスフォーメーションを説明しています。

デジタル・ガバナンスコードについて

デジタル・ガバナンスコードにも歴史がある。2018年に「2025年の崖」で警鐘を鳴らしたDXレポートが発表されたのが9月、12月にはDXを推進することを目的として「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)」を公表した。これがデジタル・ガバナンスコードの原点である。

DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するための体制と仕組みを、ステップとプロセスにラベルを付けて2つの主要なセクションに分けた日本語のフローチャートです。

引用:経済産業省「DXガイドラインの内容」

その後、改定を繰り返し名称もデジタル・ガバナンスコードになって現在は2024年9月に公表されたバージョン3である。

デジタルガバナンス・コードの全体像。「DX経営に求められる3つの視点・5つの柱」の画像

そもそもデジタル・ガバナンスコードは、経営者が企業価値を向上させるために実践すべき事柄を取りまとめたものであり、一貫して経営ビジョンとビジネスモデルの策定を最重要視し経営トップの経営戦略やコミットメントを求めている。経営者の起動なくして、ボトムアップのDXなど安易な考えはあり得ない。
中堅・中小企業向けにデジタル・ガバナンスコードを適用しやすいように、別途「実践の手引き2.1」が用意されている。至れり尽くせりの戦略支援がある。

DX支援ガイダンスとは?

経済産業省は中堅・中小企業がDX実践に取り組むために、支援の仕組みを用意している。ガイダンスは支援機関に対する参考書のような位置付けである。
支援機関とは中小企業が頼りやすい身近な存在として、地域の金融機関やITベンダー、地域のコンサルタントなどを挙げている。
中小企業がまだDXをよく理解していないこともあり、業務効率化やコスト削減にとどまっていることから、独力でDXを進めるには困難が伴っているのでデジタル化に着手するとともにDXを進めていく伴走者が必要である。その伴走者が支援機関である。
DXを進めるにあたって行き詰っていたら、地域の支援機関を探して支援を求める方が効率よくDXを実現できるだろう。

DX認定制度について

DX認定制度とはデジタル・ガバナンスコードに対応できていることを申請によって経済産業省が認定し、取得することができる。

DX認定のバナー

認定が受けられるとDX-Readyレベルの企業であることが認められ、ロゴマークを会社のホームページや名刺などに掲載することが出来る。
DXを進める状態が整っていることを示すDX認定は、情報やデジタルツールの利活用に長けたZ世代に訴求し、リクルーティングにも大きな影響を及ぼしている。
認定の申請はIPA(独立行政法人 情報処理推進機構)が行っているので、問い合わせてみるのが良い。DX支援ガイダンスにある支援機関は、認定取得についても支援してくれる。

DX認定制度の流れ

DXセレクションについて

DXセレクションは中堅・中小企業を対象としたDX実践会社の表彰制度である。大手企業にも同様に制度があり「DX銘柄」として毎年表彰がある。

  • デジタル・ガバナンスコードに沿った取り組みであること
  • DXによって成果が出ている中堅・中小企業であること
  • 自薦および他薦によってエントリーする
  • DX認定を受けていることが望ましい(いずれ必須となる可能性がある)
  • 毎年審査によりグランプリ、準グランプリ、優良企業が選ばれる

DXセレクションで認定された会社は、取引先ばかりではなくあらゆるステークホルダーから評価され、会社としてのステイタスが上がることは間違いない。
国のDX支援策は幅広く行われているので、まず始めにデジタル・ガバナンスコードに沿ったビジョンや戦略を立て、一歩一歩デジタル化を進めながら、DX認定を受け、DXセレクションに挑戦してもらいたい。

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