導入事例(中学校)
白鷗大学足利中学校[栃木県]
生徒全員が偏りなく学習に参加し、先生は生徒一人ひとりときめ細かくつながりを持てる
白鷗大学足利中学校は、栃木県の南西部、日本最古の学校として知られる足利学校の史跡が残る足利市にあります。同校では2022年(令和4年)から全学年でiPadとApple Pencil、MetaMoJi ClassRoomを使い始めました。
卒業制作としてMetaMoJi ClassRoomで「仮囲いアート」を描く
本記事の取材を実施した2023年(令和5年)秋には、現校舎の隣で新校舎の建設工事が進められていました。新校舎での学びは2024年(令和6年)4月に始まります。工事現場に設置されている仮囲いには、カラフルなイラストのパネルが6枚。このパネルは、2023年(令和5年)3月に卒業した生徒たちの卒業制作です。
この卒業制作について、白鷗大学足利中学校でICT教育を担当する星野進教諭はこう振り返ります。「当時の3年生が約7人ずつ、6班に分かれ、班ごとにテーマを決めた上で、MetaMoJi ClassRoomの白紙のページに絵を描きました。拡大縮小ができて描きやすく、絵が苦手な生徒も話し合いながら楽しく描いていた様子です。基本的には総合学習の時間に制作しましたが、ちょっとした空き時間に描く生徒もいましたし、受験などでその日に不在の生徒も自分の都合の良いタイミングで参加できました」。
このようにして描いたイラストをプリントしてパネルにし、建設会社の協力を得て仮囲いに設置したとのことです。
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新校舎建設現場の「仮囲いアート」は、卒業生がMetaMoJi ClassRoomで制作。
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6班に分かれて、班ごとにテーマを決めてMetaMoJi ClassRoomで作成した。
グループ学習ページを使って生徒がアイデアを出し合う
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グループ学習ページに、班ごとに「動物の印象を表す言葉」を書き出す。
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大型モニタに各班のページを映して発表。
前述の仮囲いアートでも、また日頃の授業でも活用されているのが、MetaMoJi ClassRoomのグループ学習ページです。グループ学習ページは、協働学習に適しています。
先生は紙のプリントや模造紙に相当するページをPDFなどで1つだけ用意し、これをMetaMoJi ClassRoom上でグループ学習ページに設定すれば、各班に1枚ずつ紙を配ったのと同じ状態になります。同じ班のメンバーが1枚の紙に同時に書き込むことができ、他の班の紙には書き込めません。
MetaMoJi ClassRoomのグループ学習ページは一般に、班ごとで話し合い、アイデアを出したりレポートをまとめたりする協働学習の際に多く使われます。
1年生の国語の授業では、「印象を表すさまざまな言葉」の学習をしていました。先生は、用意したワークシートをグループ学習ページに設定します。生徒は班に分かれ、「動物の印象を表す言葉」や「印象を表す言葉を使った短文」を班のメンバーで話し合いながら1つのページに書き込んでいきます。ユニークな短文を考えて、楽しそうに盛り上がる班も見られました。
グループワーク終了後は、順番に各班のページを教室前方の大型モニタに映して、全員の前で発表します。
MetaMoJi ClassRoomの導入は協働学習の柔軟性がポイントだった
この授業を担当した国語科の宮谷晴子教諭は「グループ学習は、以前は準備が大変でしたが、MetaMoJi ClassRoomが導入されてからは実施のハードルが低くなりました。また、グループ学習ページを使うと、口頭ではなかなか意見を言えない生徒も書き込めるし、手書きが苦手な生徒は画面上のキーボードで入力できるので、全員が発言できます」と協働学習の成果を語ります。
同校のICT教育担当としてiPadとMetaMoJi ClassRoomの導入を推進した理科の宮田英史教諭は「学習支援アプリ選定のポイントは、協働学習がいかに柔軟にできるかということでした。複数のメンバーが1つのページに同時に書き込むことで分析や収集を実践し、それが新しい価値の創造へとつながるからです。少人数の班に分けて実施すれば、作業や考察が1人の生徒に偏ることは少なく、全員が参加できます」と、同校が目指す協働学習のあり方と、その実現を支援するためにMetaMoJi ClassRoomを導入した経緯を述べました。
学校の長年の宝物、「文学史かるた」をMetaMoJi ClassRoomで実施
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学校の長年の宝物、「文学史かるた」をMetaMoJi ClassRoomで実施。
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自分のペンの色を決めて札に丸を付けて、札を取り合う。
班ごとの話し合いのようなグループワークだけではありません。白鷗大学足利中学校では、MetaMoJi ClassRoomのグループ学習ページを使って「文学史かるた」を実施しています。
クラス内で4人ほどの班に分かれます。全員が自分のiPadで数十枚の取り札が並んだページを表示し、班内の他の人と重複しないように自分のペンの色を決めたら、かるた取りの開始です。取り札には、文学作品のタイトルとそれにちなんだ絵柄が描かれています。
先生が「国木田独歩の愛する林、秋から冬の美しさ。『武蔵野』」のように作品の特徴と作者名、作品名を含む読み札を読み上げ、生徒は取り札を見つけたら自分のiPadで札に丸をつけます。その丸の色で、班の誰が札を取ったかがわかるというわけです。
この「文学史かるた」は40年ほど前に同校の文芸部の生徒たちが作ったもので、それ以来、折に触れて実施されてきました。札は全部で140組あり、1年生から「文学史かるた」を始めて、3年生までに大学受験程度の範囲に相当する文学作品を記憶できるそうです。
いつでも手軽に、リモートでもかるたで学べる
紙のかるたのセットも学校にありますが、MetaMoJi ClassRoomを使っていることについて、この日、3年生の授業をかるたを実施した国語科の下位翔大教諭は「コロナ禍で生徒が登校できず、登校再開後も密を避ける必要があったため、紙のかるたを使えなくなりました。しかし『文学史かるた』は学校の伝統なので止めたくない。そこで、140枚の取り札をすべてスキャンしてMetaMoJi ClassRoomのページに並べ、リモートで実施できるようにしました。通常授業に戻った現在も、欠席している生徒が参加できるのでよかったと思います」と説明します。生徒は「紙のかるたを出したり片付けたりする手間がなく、すぐにできるのがよい」と語っていました。
思いのままに手書きできるノートで学ぶ
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生徒は各自ペンの種類や色を工夫しノートを作成している。
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グループワークの後は班ごとに発表を行う。
グループ学習ページだけでなく、生徒一人ひとりが自分のページに書き込む「個別学習ページ」を利用した協働学習も実践されています。
1年生の理科の授業では、以前に実施した実験の振り返りをしていました。実験の様子は生徒各自が個別学習ページに記録してあります。班ごとに分かれた生徒たちはiPadの画面で互いのノートを見せて話し合い、その後、各班がクラス全員の前で発表しました。
各自のノートはペンの種類や色がそれぞれに工夫されています。MetaMoJi ClassRoomについて生徒たちからは「手書きですらすら書ける」「ペンや色の種類が多いのがいい」「書いたものを後から移動できる」「ノートをとるときに手が汚れない」など、手書きに関する感想が多く聞かれました。また、グループワークや発表の際に他の人のノートを見て「おー、すごい」という声が上がるなど、発見も多いようです。
この授業を担当した宮田教諭は、「将来的に生徒が受ける入学試験は手書きですから、導入にあたっては手書きが自由にできることを重視しました。また、理科の教員としては、実験では色が意味を持つこともあるので、自由に色を使ってノートをとれることは重要です」と語ります。
夏休み中のコミュニケーションにも活用
日頃からiPadは生徒各自が持ち帰り、自宅での学習に使用しています。
同校では夏休みにすべての学年の生徒が、その日の学習や出来事を毎日、「実践記録」として記録しています。以前は紙に書いていましたが、これをMetaMoJi ClassRoomに置き換えました。
MetaMoJi ClassRoomなら実践記録を先生のiPadで閲覧できるため、夏休み中の生徒の様子がわかり、安否確認もできます。先生は生徒の記録にコメントを書き込んだり、数日間記録が更新されない場合に保護者に連絡をとるなどの対応ができるほか、全員に対して表示されるノートで連絡事項を伝えるなど、リモートでのコミュニケーションツールとしてもMetaMoJi ClassRoomが活用されています。
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夏休み中の「実践記録」にもMetaMoJi ClassRoomを活用。
授業や日頃の学習活動でも生徒とのやりとりがさらに効果的に
夏休みの実践記録以外にも、生徒とのやりとりに関する効果が生まれています。
国語科の下位教諭は生徒から預かった宿題の返却の例を挙げます。「以前は、複数のページがある宿題のノートを私がチェックするために預かると、チェックが終わって返却するまで生徒は他のぺージで学ぶことができませんでした。MetaMoJi ClassRoomではノートを共有できるため、私は無理のない時間にチェックでき、生徒はいつでもノートのページを使うことができます」。
星野教諭は、MetaMoJi ClassRoomと大型モニタにより授業中の板書が大幅に減ったことが大きなメリットだと言います。「板書の必要がなくなったので、その分の時間で生徒を観察し、机間巡視し、MetaMoJi ClassRoomのモニタリング画面で学習の進捗状況を確認できます。また、板書の代わりに生徒全員のノートに私が説明しながら書き込むこともできるので、生徒はそのノートを見て復習に役立てています」。宮田教諭も「生徒たちのノートを自分の手元で見られるので、表面的には表れない学習のつまずきを消すことができます」と指導やコミュニケーションの効果を述べていました。
社会科主任
タブレット適正運用委員
ICT教育担当
星野進教諭
国語科主任
タブレット適正運用委員
ICT教育担当
宮谷晴子教諭
理科主任
タブレット適正運用委員
ICT教育担当
宮田英史教諭
国語科教諭
校務学習システム担当
ICT教育担当
下位翔大教諭
- 白鷗大学足利中学校
- 所在地:栃木県足利市伊勢南町4-3
- URL:https://www.hakuoh-j.jp
<本取材は2023年9月に行われました。画面キャプチャ、機能、肩書は取材時の情報にもとづきます。>