eYACHOの導入によって
現場目線に立ったDXを推進し、
作業の効率化やペーパーレス化を達成

株式会社田中組 様
株式会社田中組は、120年以上にわたって北海道内を中心に建築土木工事を行ってきた地場ゼネコンです。田中組が実践しているeYACHOを活用したDX推進の取り組みについて、同社で土木技術部技術支援課係長とDX推進室プロジェクトリーダーを兼任する髙橋佑介氏、土木部で現場管理を担当する坂下風舞氏にお話を伺いました。
進まなかったiPadの利用を
eYACHOで活性化

田中組では、建設DX推進室を立ち上げた2022年に全社員に1人1台、iPadを配布しました。しかし、現場の職員たちはiPadの使い方がよくわからず、1年が経過した後もケースから出したことがないという職員が多い状況でした。

髙橋氏「iPadを活用してもらうためには、現場でどのように使えば便利なのかを具体的に伝える必要があったのです。
現場目線に立ったDX推進の重要性を痛感しました」
現場のニーズに即したDX推進のために、eYACHOの導入を決定。各種書類の印刷・郵送・承認・ファイリングなどの手間を省くことができる点、社内独自の様式を取り込むことができる点、同時編集が可能な共有機能、現場の業務に対応する多種多様なフォームがあることなどが、導入を決めた主な理由です。
eYACHOの導入フロー
eYACHOの導入に際してはiPad導入時の反省を踏まえ、当初から全社展開するのではなく、2つの現場で試験的に導入し、運用する書類も安全パトロール点検表だけに絞りました。安全パトロール点検表から始めた理由は、従来の紙の書類の作成から押印、郵送、ファイリングという流れが非常に時間がかかり、書類がなかなか完結しないという課題があったからです。
試験導入する現場は、DX推進に前向きで活用が期待できるメンバーが多く、電子化が進んでいる発注官庁を持つ現場を慎重に検討して選定しました。
髙橋氏「導入から3~4か月ほどは現場での運用状況の経過観察を行った上で、実際の業務に使えるか、効率化に繋がるかといった点について、綿密なヒアリングを実施しました。ヒアリングで効果を確認できたので、導入調査アンケートを行った結果、現場職員の6割以上から「すぐ使いたい」という回答があり、土木部全体での導入を決定。試験導入時にeYACHOを使った職員が現場を移動した際に、他の職員に使い方を教えるようになり、現場主導での活用が促進されていきました。さらに個々の職員がeYACHOの便利な使い方を模索し始めたため、eYACHOの定着を確信し、継続利用を決定しました」
現場のニーズに即したサポートと施策
eYACHOをスムーズに導入してDX推進に繋げるために必要不可欠だったのが、現場のニーズに対応するサポートです。
髙橋氏「eYACHOの公式マニュアルはとてもわかりやすいのですが、マニュアルを調べるよりも、周囲の人に聞くケースが圧倒的に多いと感じました」
坂下氏「
実際、現場で質問や相談を受けることはよくあります。年配のスタッフから電話で質問された時には、同じ画面を開いて説明します。まずは、その人がやりやすいように使ってもらい、徐々にeYACHOの機能を理解できるように配慮しています。若い職員の中には、操作方法を覚えてすぐに周囲に説明する側になる人も少なくありません」
髙橋氏「実際の作業に即したマニュアルも必要だと感じ、LINE WORKSの掲示板を活用して独自の動画マニュアルを公開しました」
同時に、社員の意識改革のための施策も実施しています。
髙橋氏「ペーパーレスの推進を目的とした、TNKポイントというポイント制度を設けました。この制度では、現場での印刷枚数が前年度の全体平均を下回った分を電子マネーに変換できるポイントとして付与しています。社員のモチベーション向上のために、各現場の毎月の印刷枚数ランキングも発表しました」
eYACHOの業務での活用方法を動画などで学ぶ田中組アカデミーという独自の教育プラットフォームも運用しています。このアカデミーを利用することで、職員個々のペースで業務に必要な知識を予習・復習でき、LINE WORKSの掲示板と組み合わせたサポート体制を整備しています。
eYACHOの活用方法
安全パトロール点検表からスタートしたeYACHOの活用は、現在、測量作業や図面の共有、施工計画書のチェック、会議や打ち合わせの資料共有といった多種多様な業務に広がっています。
坂下氏「当日の作業内容や作業人数などを書く日報の作成やPDFにした図面の現場での確認、写真管理、KY(危険予知)用紙の作成・共有などにeYACHOを活用しています。タブレットやスマートフォンを現場に持参して、空き時間を使ってシェアノートの確認や入力を行っています」

坂下氏はeYACHOのテンプレートを用いて、現場でより使いやすい帳票にするカスタマイズにも力を注いでいます。

坂下氏「私がカスタマイズした例のひとつは、現場の温度の入力方法です。数値を毎回入力する手間を省くために、矢印をクリック・タップだけで入力できるようにし、自動的に温度の記号が表示されるようにしました。 カスタマイズする際には、職員の世代を問わず使いやすいものにすることを重視しています」

現在、土木部でのeYACHOの使用率は100パーセントで、現場職員だけでなく内勤職員も利用中です。現場の職員からは年代を問わず「業務を大幅に効率化できた」という好意的な声が寄せられています。eYACHOが現場に深く根付き、生産性向上に貢献していることがわかります。eYACHOの定着によって、iPadも現場業務に欠かせない必需品になりました。
髙橋氏「ペーパーレス化が促進され、ひとつの現場の月間の平均印刷枚数が約2,000枚から1,000枚以下になり、1,000枚以上の削減を実現しています。コストも年間で数百万円ほど削減され、ファイリングなどにかかっていた手間や時間も大幅に削減できました。現在、残業時間の変化なども集計中ですが、最低でも1人当たり月20時間程度の作業時間削減はできているという感触を持っています」
坂下氏「eYACHOを使うことで、作業現場で手が空いた時に日報などを書くことができるので、事務所に戻ってからの作業がかなり減りました。また、いつでも現場できれいな状態の書類を確認できる点も、ペーパーレスの魅力だと思います」
DX推進の将来展望
田中組では今後も「DXは現場から」という視点を重視しながら、さらなる業務効率化やペーパーレス化を実現したいと考えています。現在は土木部がメインとなっているeYACHOの活用を、社内全体に広げる動きも進行中です。さらに、データ活用の強化についても具体的な検討を行っています。
髙橋氏「電子化されたデータは蓄積されていますが、データ活用に関してはまだ十分ではありません。今後は様々なツールを導入して、データドリブンな意思決定ができる環境を構築したいですね。例えば、ひとつの工事に必要な人員数や期間、費用などは、現場代理人の感覚的なノウハウによって判断されてきました。eYACHOに蓄積されたデータを抽出できれば、そうしたノウハウを継承した意思決定が可能になります。将来的には、eYACHOに蓄積されたデータを他のシステムと連携させ、データのナレッジ化を実現したいと考えています」
【お話を伺った田中組のみなさん】
左:株式会社田中組 土木技術部
技術支援課 係長 兼 DX推進室プロジェクトリーダー
髙橋 佑介氏
右:株式会社田中組 土木部
坂下 風舞氏