導入事例
コマニー株式会社 様
コマニーは、創業から60年以上にわたり、パーティション(間仕切り)のメーカーとして多様な空間づくりを支えてきた。「eYACHO」導入をけん引した営業企画推進課長の立林涼氏は、同社の業務の流れをこう説明する。
「当社の営業部隊は、営業担当と工務担当が協力して業務を進めています。営業担当がお客様の窓口となり、工務担当が受注案件を引き継ぎ、お客様との打ち合わせに基づいた仕様を決め、後工程の作図部隊に図面作成を依頼するという流れです」(立林氏)
立林 涼氏
コマニー株式会社 営業統括本部 営業戦略推進本部 営業管理部 営業企画推進課 課長
立林氏自身も、「eYACHO」導入前は現場で工務を担当していた経歴を持つ。2019年に施工推進課へ異動し、現在は営業企画推進課長として、現場経験を生かしたIT活用やDX推進を担当している。当時抱いていた課題感を立林氏はこう振り返った。
「紙の図面を使っていたときは、修正や仕様変更が発生すると図面に直接書き込んで持ち帰り、清書をした上で再提出する必要があり、業務効率化やペーパーレス化が進まない状態でした。また、手戻りが常態化することで情報の鮮度も落ちてしまうという課題がありました」(立林氏)
当時は建設業界でもデータの重要性が認識されつつあったが、立林氏も工務担当としての現場経験を通して、情報の分断やデータ管理の遅れを実感していたという。
「営業や作図、施工といった社内各部署間に加え、協力業者も含めて情報共有ができておらず、データの持ち方もバラバラでした。伝達ミスのリスクもありますし、せっかく得たナレッジも蓄積されないため、組織全体での改善につながらない状況でした」(立林氏)
施工推進課へと異動してきた立林氏は、こうした課題を解決するにはデジタルツールの活用が不可欠だとの考えから、改善に向けて動き出す。
営業や工務の業務効率化に向け、立林氏が最初に打ち出したのが、社員へのタブレットPCの支給だった。とはいえ、端末を有効に使いこなすには、図面や協力業者への指示書などを一元管理できる使い勝手の良いアプリケーションが必要となる。
「施工管理系のアプリケーションをいくつか試しましたが、書き心地の面で満足できるものが見つかりませんでした。それまでタブレットを使ってこなかった当社にとって、デジタルのスムーズな定着を図るには、紙の図面同様の書き心地は必須です。そんな悩みを抱いていたとき、MetaMoJiによるセミナーに参加する機会に恵まれました」(立林氏)
セミナーで実際に「eYACHO」を体験した立林氏は、直感的に誰でも使えるインターフェースや紙と同じように記入できる書き心地の良さに大きな感銘を受ける。さらに、使い勝手のみならず機能面でも手応えを感じたという。
「手書きのメモでは聞き間違いや書き間違いもありますし、癖のある字が読めないといったことも起こり得ますが、『eYACHO』は録音とメモを同期させる機能があるため、後から確認ができます。パーティションは色や材質などのバリエーションが多いので、正確性を担保できるのは伝達ミスの防止に有効だと感じました」(立林氏)
立林氏は上司に「eYACHO」の導入を提案し、試験運用をスタートさせた。同社は営業所を全国展開しているが、トライアルでは案件数の多い東京で10件ほどの少数ライセンスでスタートさせ、大阪や名古屋といった大拠点へと拡大させていったという。この試験運用での大きなポイントは、あえて業務フローに「eYACHO」を組み込まず、活用のルールも設けなかったこと。新しいツールの導入において、これはかなり特殊なやり方だ。
「上から押し付けるのではなく、各自が工夫しながら自由に使い、利便性を実感しながらボトムアップで広げてほしいという思いがあったからです。東京でのスモールスタートについても、挙手制でITやDXに興味のある社員にアカウントを付与し、そこから段階を踏んで拡大していきました」(立林氏)
立林氏は、試験運用を通して時間短縮の効果を改めて実感したという。現場から事務所に戻ってから行う業務の大半は、現場間の移動中にタブレットと「eYACHO」で済ませることができ、残業時間の削減にも寄与する。それまでデジタル活用が十分に進んでいなかった分だけ、デジタルによる恩恵も大きかった形だ。
試験運用期間から正式導入への移行に当たって、立林氏が心を砕いたのは社内浸透の推進だ。自らがMetaMoJiのセミナーで受けた感銘を社員に伝えるため、導入当初は頻繁に社内勉強会を開催し、その後は社内報を通して「eYACHO」の活用法を共有しているという。
「社内報では主に若手社員を登場させ、実際の使い方や工夫点を紹介してもらっています。社員同士が活用法を共有できるようにしたことで、ボトムアップでの定着促進がうまくいっていると感じています」(立林氏)
コマニーにおける実際の「eYACHO」の画面キャプチャー。まるで紙に書いているかのような書き心地で直接タブレット上に書くことができるほか、現地で撮影した画像を掲載し、分かりやすい作業指示書を作成することができる
正式導入後の「eYACHO」の具体的な活用法と効果については、同社の若手社員が実演を交えながらこう説明する。
「現場調査では、デジタル化した図面に変更や注意点を直接書き込めるだけでなく、現場で撮影した写真や関連資料を添付することで案件管理を効率化しています。データはチームフォルダーで営業担当と工務担当が共有できるため、情報の引き継ぎにおいても抜け漏れの防止につながっています」(森氏)
(左側)コマニー株式会社 営業統括本部 東京営業本部 東京第四営業所 東京第四工務課 大坂 佳也氏 (右側)同社 営業統括本部 東京営業本部 東京第一営業所 東京第一工務課 森 峻氏
後工程の作図部隊や実際に施工を行う協力業者には「eYACHO」のアカウントが付与されていないが、PDF ファイルをMicrosoft Teamsやスマートフォンで共有することで対応できているという。また、協力業者への作業指示書を作成する際も「eYACHO」の活用は有効だ。
「あらかじめ指示書の標準テンプレートを準備してあるので、誰が記入しても正確な指示ができるようになりました。デジタルに不慣れな協力業者の方々からも見やすいとの評価をいただいています」(折井氏)
(左側)コマニー株式会社 営業統括本部 東京営業本部 東京第五営業所 東京第五工務課 折井 亜衣氏 (右側) 同社 営業統括本部 東京営業本部 東京第四営業所 東京第四工務課 梅田 勇輝氏
定量的な労働時間削減効果については、見積もりや資料作成といった効率化のターゲットとなる業務を特定した上でシミュレーションを行い、営業担当も工務担当も20%の時間削減が見込めるとの結果が出たという。さらに、紙ベースの建設業界でDXを推進する姿勢を評価する若手社員の声もあり、期待以上の効果が生まれていると立林氏は語る。
導入当初の利用対象者を前提に、営業・工務担当者の業務プロセスを分析し、「eYACHO」導入による削減効果をシミュレーションした。一定条件下の試算では、対象業務全体で月間約1280時間相当の業務時間削減が見込まれる結果となっている
※削減時間のシミュレーションは導入当初の利用対象者数を前提に算出したものであり、現在のアカウント数とは異なります。
最後に、今後の「eYACHO」の活用について展望を聞いた。
「生産性向上や残業削減といった成功事例を共有することで、全社的な定着を進めていくことに加え、今後は他のシステムとの連携も模索したいと考えています。初期段階ではあえて業務フローには組み込まず、それによって現場が自発的に工夫できていることは大きな成果だと感じていますが、他システムとうまくつなげることができれば、『eYACHO』で作成したデータを将来的に再利用するなどの可能性も広がります。これを着実に進めていくのが、今後の私の役割だと考えています」(立林氏)