公開日:

「竣工」とは?竣工検査から引き渡しまでの流れと
手続きを完全ガイド

家づくりや建物の取得が進むと、「竣工」という言葉を目にする機会が増えます。ただ、「竣工」「完成」「引き渡し」の違いや、竣工から引き渡しまでにどのような検査・手続きがあるのかは、分かりにくいと感じる方も少なくありません。

この記事の結論は、次の 3 点です。

  • 竣工とは工事が完了した状態を指す言葉で、所有権が移る「引き渡し」とはタイミングが異なります。
  • 竣工から引き渡しまでには、施工会社の自主検査、建築基準法に基づく完了検査、施主が立ち会う竣工検査(施主検査)があり、それぞれ実施者と目的が異なります。
  • 引き渡し時には検査済証・竣工図書・保証書などの書類を受け取り、引き渡し後の登記や保証対応に備えて保管します。
「竣工」とは?竣工検査から引き渡しまでの流れと手続きを完全ガイド

竣工とは?完成・完工・落成など関連用語との違い

竣工(しゅんこう)とは、建築工事や土木工事が完了した状態を指す言葉です。建築主・設計者・施工会社など、建物づくりに関わった関係者にとって、工事が終わったことを示す節目となります。読み方は「しゅんこう」で、対義語は工事を開始することを意味する「着工」です。

竣工と似た言葉に「完成」「完工」「竣成」「竣功」「落成」があります。いずれも工事が終わった状態を表しますが、使われる場面や対象に違いがあります。次の表に、それぞれの意味と使われ方の傾向を整理します。

用語 読み方 意味・使われ方の傾向
竣工 しゅんこう 建築工事・土木工事が完了した状態。工事の完了そのものに焦点を当てた言葉として使われます。
完成 かんせい 完全に出来上がった状態。工事に限らず、幅広い物事に使われる言葉です。
完工 かんこう 工事が完了した状態。竣工とほぼ同じ意味で、道路やダムなどの土木工事でも広く使われます。
竣成 しゅんせい 工事の完了を表す言葉で、マンションなど大規模な建築物に使われる傾向があります。
竣功 しゅんこう 工事の完了を表す言葉で、神社仏閣の完成に使われることが多いとされています。
落成 らくせい 建物が完成したことを広くお披露目する意味合いが強く、公共施設・学校・社屋などで使われる傾向があります。落成を祝う式典が「落成式」です。

用語の使い分けに明確な決まりはありませんが、戸建て住宅の建築では「竣工」と表記されることが多くなっています。大規模な建築物では「竣成」、公共建築物では「落成」が使われる傾向があります。

なお、工事が完了した日を「竣工日」と呼びます。竣工日は、建物が完成した時期を示す基準となる日付で、竣工図や竣工写真などにも記録されます。中古物件の取引では、竣工日をもとにした築年数が資産価値の判断材料になることもあるため、竣工日がいつなのかを書類で確認しておくと、後の取引やメンテナンスの計画に役立ちます。建物の完成を祝う式典として「竣工式」が行われることもありますが、戸建て住宅では竣工式を行わないことが多くなっています。

竣工と引き渡しの違い|竣工後に所有権が移る

竣工と引き渡しは、近いタイミングで行われるため混同されがちですが、意味するものが異なります。竣工は「工事が完了した状態」を指すのに対し、引き渡しは「完成した建物を施主(発注者)に渡し、所有権が移ること」を指します。

流れとしては、工事が完了して竣工を迎えたあと、後述する各種検査を経てから引き渡しに進みます。竣工の時点では、まだ引き渡しに必要な検査や書類の準備が終わっていない場合があります。そのため、竣工=すぐに住み始められる、というわけではない点に注意が必要です。

引き渡しが完了すると、施主は鍵と各種書類を受け取り、建物を使用できる状態になります。建物の登記(建物表題登記など)でも、工事完了と引き渡しを証明する書類が必要になります。竣工と引き渡しは連続した工程ではありますが、「工事の完了」と「所有権の移転」という別々の意味を持つことを押さえておきましょう。

竣工から引き渡しまでの流れ|3つの検査と手続き

竣工してから引き渡しに至るまでには、性質の異なる複数の検査が行われます。会社や物件によって呼び方や順序に差はありますが、多くの場合、「自主検査(社内検査)」「完了検査」「竣工検査(施主検査)」を経て引き渡しへと進みます。ここでは、それぞれの検査と手続きを順に見ていきます。

  • 1. 自主検査(社内検査)

    自主検査(社内検査)は、施工会社が自ら行う検査です。施主に建物を確認してもらう前に、社内の担当者が設計図書や仕様書どおりに施工されているか、不具合がないかをチェックし、補修すべき箇所を先に是正することを目的としています。この段階で見つかった不具合は、次の工程に進む前に手直しを行います。

  • 2. 完了検査(建築基準法に基づく法定検査)

    完了検査は、建築基準法第 7 条に基づく法定の検査です。確認申請が必要なすべての建築物が対象で、建物が建築基準関係規定に適合しているかを、建築主事等または指定確認検査機関が確認します。建築主は、工事が完了した日から 4 日以内に完了検査を申請する義務があり、申請を受けた検査実施者は、受理した日から 7 日以内に検査を行うことが定められています(※1)。

    完了検査に合格すると、建物が建築基準関係規定に適合していることを証する「検査済証」が交付されます(※1)。検査済証は、建物の適法性を公的に示す書類であり、将来の売却・増改築の際にも必要になることがあります。なお、完了検査を受けずに建物を使用することは、原則として認められていません。

  • 3. 竣工検査(施主検査・立会い検査)

    竣工検査は、建物が設計図書や契約内容どおりに完成しているかを確認する検査です。施工会社や監理者が中心となり、仕上がりや設備の動作状況、不具合の有無を確認します。ここに施主が立ち会って確認する場合、「施主検査」と呼ばれます。竣工検査が「工事完了後の検査」という時期を指すのに対し、施主検査は「施主が行う検査」という実施者を指す言葉で、実務では両者が同じタイミングで行われることも増えています。

    施主が竣工検査(施主検査)で確認したい主なポイントには、次のようなものがあります。実際の利用者の目線で、生活に支障がないかを確認していきます。

    • 内装・外装の傷、汚れ、へこみの有無
    • 建具(ドア・窓・収納)の開閉、鍵のかかり具合
    • 設備(給湯・換気・コンセント・照明・水回り)の動作状況
    • 図面・仕様書どおりに施工されているか
    • 床や壁の傾き、きしみ、隙間の有無

    竣工検査で発見された不具合や未施工箇所は、是正工事を行い、問題が解消されたことを確認してから引き渡しへ進みます。竣工検査での確認漏れは、引き渡し後のトラブルや追加対応につながることがあるため、指摘事項の記録方法や是正期限、確認のルールを事前に統一しておくことが、スムーズな進行につながります。気になった箇所は、その場で写真を撮り、位置とあわせて記録しておくと、是正の依頼や確認がしやすくなります。

引き渡し

各検査を終え、是正も完了すると、引き渡しに進みます。引き渡し当日は、建物の最終確認、鍵の受け渡し、後述する各種書類の受け取りを行います。住宅ローンを利用する場合は、金融機関での融資実行・残金決済や、登記手続きが引き渡しと同じ日に行われることもあります。

施主側でも、引き渡しまでに進めておくことがあります。住宅ローンの契約や火災保険の加入手続き、引っ越しの手配やライフラインの開通予約、賃貸住まいの場合は退去日の連絡などです。引き渡し日と入居日には一定の間隔を設けることが多く、これらの準備を逆算して進めておくと、引き渡し後の生活の立ち上げがスムーズになります。引き渡し日は関係者の都合を調整して決まるため、早めに施工会社と相談しておくとよいでしょう。

完了検査と竣工検査(施主検査)の違い

「完了検査」と「竣工検査(施主検査)」は名称が似ているため混同されやすいのですが、目的・実施者・タイミングが異なります。この違いを理解しておくと、竣工から引き渡しまでの流れが把握しやすくなります。次の表で整理します。

項目 完了検査 竣工検査(施主検査)
目的 建築基準関係規定に適合しているかを確認する法定検査 設計図書・契約内容どおりに完成しているか、不具合がないかを確認する品質確認
根拠 建築基準法第 7 条(義務) 法律上の義務ではなく、契約・実務に基づく確認
実施者 建築主事等または指定確認検査機関 施工会社・監理者・施主
主なタイミング 工事完了後、引き渡し前 工事完了後、引き渡し前(施主が立ち会う)
検査後 合格すると検査済証が交付される 指摘事項があれば是正してから引き渡しへ

完了検査は「法律に適合しているか」を行政・指定確認検査機関がチェックする検査であり、竣工検査(施主検査)は「契約や図面どおりに仕上がっているか」を施工会社・監理者・施主が確認する検査です。両者は目的が異なるため、どちらか一方で代替できるものではなく、それぞれを確実に済ませてから引き渡しに進みます。

こうした立会いを伴う検査では、立会者の移動や待機に時間を要することがあります。近年は、この負担を軽減する手段として遠隔での立会いが広がっています。国土交通省は、建設現場における遠隔臨場に関する実施要領を 2022 年に定めています。遠隔臨場(遠隔立会とも呼ばれます)とは、ウェアラブルカメラ等で撮影した映像と音声を Web 会議システム等を利用して「段階確認」「材料確認」「立会」を行うことと定義されています(※2)。公共工事を中心に始まった取り組みですが、立会いに関わる移動・待機を減らす手段として、民間の現場でも活用が進んでいます。

竣工・引き渡し時に受け取る書類と竣工図書

引き渡し時には、鍵とあわせて多くの書類を受け取ります。会社や物件によって内容に差はありますが、受け取る書類には次のようなものがあります。いずれも、引き渡し後の登記・保証対応・メンテナンスなどで使うため、まとめて保管します。

  • 工事完了引渡証明書(引き渡し日の記載があるもの)
  • 建築確認申請書(副本)・確認済証・中間検査合格証・検査済証
  • 竣工図・竣工図書(実際に施工された状態を反映した図面と、仕様書・計算書などを加えた書類)
  • 設備機器の取扱説明書・保証書
  • 各種保証書(防水・シロアリなど)・アフターサービス規準書
  • 住宅瑕疵担保責任保険の付保証明書
  • 住宅性能評価書(取得した場合)
  • 登記に必要な書類一式

このうち竣工図とは、設計段階の図面と異なり、施工中に生じた変更・修正を反映した、完成後の建物の状態を正確に示す図面です。隠ぺいされた配管・配線の経路が分かる設備図面などは、将来のメンテナンスやリフォームの際に重要な資料となります。竣工図に仕様書や計算書などを加えたものを、竣工図書と呼びます。

竣工図書や引き渡し書類は、建物表題登記の所有権証明でも用いられる確認済証・検査済証・工事完了引渡証明書を含み、引き渡し後の資産評価や保証対応でも使う機会があります。そのため、引き渡し時に不足がないかを確認し、散逸させずに保管します。

これらの書類は、引き渡しから 10 年、あるいはそれ以上の長期にわたって使う可能性があります。紙の書類は、まとめて保管するとともに、保管場所を家族で共有しておくと、必要なときに取り出しやすくなります。近年は、図面・書類を紙とあわせてデジタルでも保存し、検索して取り出せるようにする運用も少なくありません。紙とデジタルを併用しておくと、原本を保管しつつ、日常的な確認はデータで素早く行えるという使い分けがしやすくなります。工事中の施工写真も、トラブル発生時の記録として、あわせて保存しておくと安心です。

引き渡し後に確認したい保証とアフターサービス

引き渡しが済むと、建物の保証やアフターサービスの期間が始まります。新築住宅では、「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」により、請負人・売主は、構造耐力上主要な部分(基礎・柱・床など)と雨水の浸入を防止する部分(屋根・外壁・開口部の建具など)について、引き渡しから 10 年間の瑕疵担保責任を負うことが義務づけられています(※3)。この責任に反して注文者に不利となる特約は無効とされています。

一方で、設備や内装に関する部分は、この 10 年の対象外となることが多くなっています。設備機器などについては、施工会社やメーカーが定めるアフターサービス規準・保証書の内容を確認します。保証書には保証対象・期間・条件が記載されているため、引き渡し時に範囲を確認しておくと、万一の不具合の際に落ち着いて対応しやすくなります。

引き渡し後は、定期点検やメンテナンスの時期を書類とあわせて管理し、保証期間内に必要な対応を行えるようにします。特に築 10 年前後は、屋根・外壁の塗装やコーキングなどのメンテナンスを検討する時期とも重なるため、保証期間とあわせて計画しておくとよいでしょう。

施工管理アプリ「eYACHO」で竣工検査・引き渡し業務を効率化する

ここまで見てきたとおり、竣工から引き渡しまでには複数の検査と多くの書類が関わります。竣工検査の指摘事項や是正指示を紙や口頭だけでやり取りすると、認識のずれや是正漏れ、書類の作成・整理に時間がかかることがあります。こうした課題に対しては、現場で記録・共有・書類化までを完結できる施工管理アプリの活用が、効率化の手段として広がっています。

eYACHO は、株式会社 MetaMoJi が大林組と共同開発し、2015 年から提供している施工管理アプリです。紙の野帳と同じ手書き感覚で記録できることが特徴で、MM総研「建設業の施工管理支援アプリの利用動向調査(2025年12月)」では、ゼネコンでの利用シェア No.1(19%)、スマートデバイスでの利用シェア No.1(21%)を獲得しています(※4)。導入企業は 900 社、利用ユーザーは 80,000 にのぼります(※5)。

竣工検査では、指摘事項の記録と是正指示の共有が重要になります。eYACHO では、現場で撮影した写真にそのまま手書きで丸囲みや矢印、コメントを書き込み、是正の指示として共有することができます。口頭や紙だけでは認識のずれや是正漏れが起こることがありますが、写真に直接書き込むことで、どこを直すのかを明確に伝えやすくなります。

立会いを伴う検査の移動・待機の負担については、遠隔での立会いが有効な手段となります。eYACHO は、同じ図面・帳票・写真に複数人が同時に書き込める Share機能により、遠隔臨場を支えることができます。是正指示そのものの事例ではありませんが、立会いに関わる移動・待機を減らした事例として、東日本高速道路(NEXCO東日本)の取り組みがあります。東日本高速道路では、ウェアラブルカメラと eYACHO の Share機能を活用し、立会前後の待機や移動を含めてトータルで 500 時間以上かかっていた移動時間を 240 時間に削減し、全立会の約半数を遠隔化しました(※6)。

竣工図書や引き渡し書類の作成・管理でも、デジタル化が役立ちます。eYACHO では、既存の Excel 帳票や PDF 帳票を取り込んでテンプレート化し、入力した内容を PDF として出力することができます。作成したノートや帳票は、テキストやタグを対象に検索できるため、過去の記録を後から取り出しやすくなります。竣工から引き渡しまでの検査記録や書類を一元的に扱えるようにしておくことで、引き渡し後の保証対応やメンテナンスの際にも情報を活用しやすくなります。

まとめ

竣工とは、建築工事や土木工事が完了した状態を指す言葉であり、所有権が移る「引き渡し」とはタイミングが異なります。竣工から引き渡しまでには、施工会社の自主検査、建築基準法に基づく完了検査、施主が立ち会う竣工検査(施主検査)といった性質の異なる検査があり、それぞれ実施者と目的が異なります。引き渡し時には、検査済証や竣工図書、保証書などの書類を受け取り、引き渡し後の登記・保証対応・メンテナンスに備えて保管します。竣工とは何か、引き渡しまでの流れと手続きを正しく理解しておくことで、検査や書類のやり取りを落ち着いて進めやすくなります。

よくある質問

  • Q. 竣工と完成・引き渡しはどう違いますか?

    A. 竣工は工事が完了した状態を指す言葉です。完成は工事に限らず物事が完全に出来上がった状態を指す言葉で、竣工より広い意味で使われます。引き渡しは、完成した建物を施主に渡し、所有権が移ることを指します。竣工したあとに各種検査を経て、引き渡しへと進みます。

  • Q. 完了検査と竣工検査(施主検査)の違いは何ですか?

    A. 完了検査は、建築基準法第 7 条に基づく法定検査で、建築主事等または指定確認検査機関が、建物が建築基準関係規定に適合しているかを確認します。竣工検査(施主検査)は、設計図書や契約内容どおりに仕上がっているか、不具合がないかを、施工会社・監理者・施主が確認する検査です。目的・実施者が異なるため、両方を済ませてから引き渡しに進みます。

  • Q. 引き渡し時に受け取る書類にはどのようなものがありますか?

    A. 工事完了引渡証明書、確認済証・検査済証などの建築確認関連書類、竣工図・竣工図書、設備機器の取扱説明書・保証書、各種保証書、住宅瑕疵担保責任保険の付保証明書などがあります。会社や物件によって内容に差があるため、引き渡し時に不足がないかを確認し、まとめて保管します。


eYACHOは30日間の無料トライアルを提供しています。竣工検査での指摘事項の記録や引き渡し書類の作成を自社の現場でどこまで効率化できるか、まずは実際の運用に近い形でお試しください。導入に関するご相談は、公式サイトのお問い合わせ窓口で受け付けています。


出典一覧

※1 e-Gov 法令検索「建築基準法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000201
※2 国土交通省「建設現場における遠隔臨場に関する実施要領(案)」 https://www.mlit.go.jp/tec/content/001594449.pdf
※3 国土交通省「品確法に基づく瑕疵担保責任の特例の概要」 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/jutaku-kentiku.files/kashitanpocorner/dl_files/iinkai/kashitanpo2-3.pdf
※4 株式会社MM総研「建設業の施工管理支援アプリの利用動向調査(2025年12月)」 https://www.m2ri.jp/release/detail.html?id=710
※5 eYACHO 公式サイト https://product.metamoji.com/gemba/eyacho/
※6 eYACHO導入事例「東日本高速道路株式会社」 https://product.metamoji.com/gemba/eyacho/user/e-nexco.html
eYACHOのアイコン

【監修】eYACHO編集部

施工管理アプリ「eYACHO」は、タブレット1つで現場の記録・共有・管理を可能にし、施工管理から安全管理まで幅広い業務をサポートします。
本コラムでは、建設業界の課題解決やDX推進に役立つ情報や最新動向をお伝えします。

▲トップへ