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大規模プロジェクトのDX全社展開ガイド|
万博・インフラ工事に学ぶ全社定着の進め方

大規模プロジェクトのDX全社展開とは、数百人規模の関係者・複数のJV・多業種の協力会社が同時に動く現場に、デジタルツールを「全員が使い続ける状態」で定着させる取り組みです。単体の現場をデジタル化するのとは、難易度が大きく異なります。

大阪・関西万博の関連工事や高速道路などのインフラ工事を題材に、大規模プロジェクトでDXを全社展開する際の考え方と、具体的な進め方を整理します。あわせて、公開されている導入事例に沿って、大規模現場での実務の進め方を紹介します。

この記事の要点は、次のとおりです。

  • 全社展開の成否は、機能の高度さより「現場に定着させる設計」で決まります
  • 多JV・多業種の大規模現場では、リアルタイムの同時共有と遠隔臨場が効果的です
  • 通信が不安定でPCが使えない現場に耐える設計が前提になります
  • 「本社一斉」ではなく「現場から現場への伝播」で広げるのが現実的です
大規模プロジェクトのDX全社展開ガイド|万博・インフラ工事に学ぶ全社定着の進め方

大規模プロジェクトのDXが全社展開でつまずくのはなぜか?

DXの成功事例は数多く紹介されていますが、その多くは「ある現場でうまくいった」段階の話です。大規模プロジェクトで問われるのは、その先の「全社・全現場に広げても回るか」という点です。

大規模プロジェクトのDXが全社展開でつまずく背景には、共通した課題があります。

  • 現場ごとにITへの温度差が大きい: 意欲的な現場と消極的な現場が混在するため、本社が一律のルールを押し付けると、消極的な現場では形骸化します
  • 協力会社を含めた多人数への展開コスト: 元請だけが使えても、図面や指示を共有する相手である協力会社が使えなければ、情報は分断されたままになります
  • 現場ではPCが使えず、通信環境も安定しない: 屋外・広域という物理的な制約が、そのまま運用の制約になります

大規模プロジェクトのDX全社展開は、ツールの機能の高さよりも、ITが苦手なベテランや協力会社まで含めて無理なく使い続けられるかで成否が決まります。ここを外すと、高機能なツールを導入しても現場が動かず、費用対効果はそれほど高くなりません。

「本社一斉導入」と「現場からの伝播」はどちらが機能するか

全社展開というと、本社主導で全現場に一斉導入するイメージを持たれがちですが、大規模プロジェクトほど、この進め方はリスクが高くなります。ITに消極的な現場まで一度に巻き込むと、混乱と反発が同時に発生するためです。

現実的なのは、意欲のある1〜2現場でパイロット導入し、テンプレートや運用ルールを固めてから段階的に広げる進め方です。あるプロジェクトで使いこなした担当者が、完了後に次の現場へ移ることで、運用ノウハウが人とともに伝播していきます。全社展開は「一斉配布」ではなく「現場から現場への伝播」として設計するほうが、大規模な組織では定着しやすいといえます。

万博・インフラ工事で求められる大規模現場のDXとは?

大規模プロジェクトのDXニーズを具体的にイメージするために、大阪・関西万博とインフラ工事を例に見ていきます。

大阪・関西万博(2025年日本国際博覧会)は、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、2025年4月13日から10月13日までの184日間、大阪市の夢洲で開催されました(※1)。会期を通じた来場者は延べ約2,902万人にのぼり、関係者入場を除くと約2,558万人でした(※2)。158の国・地域と7つの国際機関が参加しており(※2)、会場整備やパビリオン建設は、複数の施工企業とJVが並行して進める大規模複合プロジェクトの典型といえます。

こうした現場では、次のようなDXニーズが同時に発生します。

  • 多数の協力会社が出入りするなかで、図面・指示をリアルタイムに共有したい
  • 広大な敷地を複数JVで分担するなかで、横串で進捗を把握したい
  • 発注者・設計者との臨場や工程会議を、移動せずに実施したい
  • 大人数・多業種が交錯する現場のリスクアセスメントを支援したい

紙とExcelと電話だけでは、これらを回しきれません。インフラ工事も同様です。高速道路や橋梁、トンネルといった現場は、屋外・広域で、通信が不安定な場所も多く、PCが使えない環境が前提になります。ここでは「事務所に戻らないと作業が終わらない」という構造そのものが、長時間労働と非効率の一因となっています。

背景にある建設業の2024年問題

大規模プロジェクトでDXが急がれる背景には、建設業の「2024年問題」があります。2024年4月から、建設業にも時間外労働の上限規制が適用され、時間外労働は原則として月45時間・年360時間以内に制限されました(※3)。

残業の多くは「現場が終わってから事務所で書類を作る」工程に集中しています。したがって、大規模プロジェクトのDXでは、現場で帳票を完結させ、事務所へ戻ってからの作業をなくすことが本質的な目標になります。全社展開の目的も、単なるペーパーレス化ではなく、この労働時間の構造改革に置くべきです。

大規模現場の課題を解決する施工管理アプリとは

前述の課題に対しては、施工管理アプリ(施工現場の記録・帳票・情報共有をデジタル化するツール)の活用が、一般的な解決策になります。手書きメモや写真、図面への書き込み、帳票作成、関係者との共有までを1つのアプリでまかなえるため、現場で業務を完結させ、事務所へ戻ってからの入力作業を減らせます。

大規模プロジェクトで全社展開を前提に施工管理アプリを選ぶ場合、確認したい観点は次のとおりです。

  • 現場での使いやすさ: ITに不慣れな作業者やベテランでも、抵抗なく入力できるか
  • 協力会社への展開しやすさ: 多数の協力会社に、低コストで配布・展開できるか
  • 通信が不安定な環境での動作: 屋外・トンネル・橋梁下部などでも作業が止まらないか
  • 既存帳票の活用: これまで使ってきたExcel帳票や紙の様式を、そのまま活かせるか

これらの観点は、単体の現場では見過ごされがちですが、多JV・多業種が交錯する大規模現場では、そのまま定着率と全社展開の成否に直結します。

eYACHOは、株式会社MetaMoJiが大林組と共同開発し、2015年から提供を開始した施工管理アプリです。紙の野帳と同じ手書き感覚で記録できることが特徴で、MM総研「建設業の施工管理支援アプリの利用動向調査(2025年12月)」では、ゼネコンでの利用シェアNo.1(19%)、スマートデバイスでの利用シェアNo.1(21%)を獲得しています(※4)。導入企業は900社以上、利用ユーザーは80,000以上にのぼります(※5)。ゼネコンという大規模プロジェクトの担い手層で選ばれている点が、eYACHOの特徴です。

対応OSはiOS・iPadOS・Windows・Androidで、いずれもオフラインでの入力に対応します。手書き文字はテキストとしてデジタルに変換でき、建設業の専門用語約4万語の辞書を内蔵した手書き入力システム「建設mazec」により、容易に変換・入力が行えます。

なぜ大規模現場で選ばれるのか

大規模プロジェクトのDX全社展開は「使い続けられるか」で決まります。eYACHOでは、この課題に対して次のように応えています。

  • 手書き中心の操作画面: キーボードを使わずに運用でき、紙の野帳と同じ感覚でペン入力ができるよう設計されています。ITに不慣れなベテランでも抵抗が小さくなります
  • 協力会社向けの限定ユーザー版: 年額13,200円/人(税込)で利用できます。ただし単独では購入できず、ベーシック版・スタンダード版・プレミアム版いずれかの導入企業が購入して協力会社に配布する形になります。元請がコストを負担して配布する運用が一般的で、多数の協力会社を巻き込む大規模現場に向いています
  • 通信が不安定な現場でも止まらない設計: ノート・帳票・図面の閲覧や手書き入力をオフラインで行え、電波が復帰した際に同期します。さらにau Starlink Directに対応しており、携帯電話の通信圏外でも、空が開けた場所であれば通信できる環境を構築できます。山間部やトンネル、橋梁下部といったインフラ現場に適しています。なお、au Starlink Directの対応機種を使用し、au Starlink Directがカバーしている圏外エリアで通信することが必要です。

全社展開を支えるeYACHOの活用ポイント

大規模プロジェクトのDX全社展開において、eYACHOでは次のような活用が効果的です。いずれも、多人数・多現場を前提とした機能です。

リアルタイムに同じ紙面を共有するShare機能

大規模現場では「誰が最新の情報を持っているか分からない」状態が、最大の非効率を生みます。eYACHOでは、Share(シェア)機能により、同じノート・図面・帳票に複数人が同時に書き込めます。現場監督・設計担当・協力会社が同じPDF図面に同時にペンで指示を入れ、誰が何を書いたかをリアルタイムに反映できるため、朝礼・工程会議・KY活動など複数人が関わる場面で効果を発揮します。なお、通常のノートは自動で同期されますが、Shareノートとしての書き込みは、手動で「シェアレイヤーに移す」ことで同期されます。

この効果は、公開されている導入事例からも確認できます。東日本高速道路株式会社(NEXCO東日本)では、遠隔臨場(遠隔立会とも呼ばれます)の試行工事において、ウェアラブルカメラとeYACHOのShare機能を組み合わせて活用しました。全立会150〜160回の約半分を遠隔化し、500時間以上かかっていた移動時間が240時間に短縮されています(※6)。多現場・広域のインフラ工事において、移動そのものを減らせることの意義は大きいといえます。

また、Share機能の活用により、大林組の建築現場では朝礼準備が1〜2時間から10〜20分へ短縮した事例が紹介されています(※7)。前日までに帳票を分担入力で仕上げ、当日はその内容を共有するだけで済むため、資料作成のための残業を減らせます。大規模現場ほど朝礼の関係者は増えるため、この短縮効果は全社に広げるほど積み上がります。

遠隔臨場を支えるビデオ通話機能「GEMBA Talk」

大規模プロジェクトでは、発注者・設計者・複数の現場が地理的に離れています。eYACHOでは、ビデオ通話機能「GEMBA Talk」と書類共有を統合し、シェアノートからワンクリックで通話を開始できます。同じ図面・帳票を見ながら映像と音声で状況を共有できるため、遠隔臨場や遠隔での工程会議でも活用できます。現場側はタブレット1台で参加できるので、PCが使えない現場にも展開しやすい点が、全社展開の観点で重要です。

多業種が交錯する現場の安全を支える安全AIソリューション

大人数・多業種が同時に作業する大規模現場は、リスクの見落としが起きやすい環境です。eYACHOの安全AIソリューションは、KY活動(危険予知活動)でのリスクの見落としを支援する仕組みです。MetaMoJiが独立行政法人 労働安全衛生総合研究所および株式会社大林組と共同で研究を進め、研究から得られた労働災害対策の知識を「リスク予測知識データベース」として体系化したものです。

仕組みとしては、21種類の安全関連法令と、31種類の通達・ガイドラインをもとに、過去の災害事例・マニュアル・法令などから、AIが作業内容や現場状況に応じたリスクと対策を提案します。AIが参照情報を自動で選択する自動モードと、作業者自身が災害事例・マニュアル・法令を選択して生成するインタラクティブモードの2つのモードを備えています。なお、安全AIソリューションはスタンダード版以上が対象で、無料トライアルでは利用できません。

広域インフラ現場の事例から見える全社展開への示唆

大規模プロジェクトの周辺工事や広域のインフラ維持管理では、現場間の移動そのものが大きな負担になります。阪神高速技術では、阪神高速道路の構造物を対象とした保守・点検・修繕の業務にeYACHOを導入し、膨大な紙資料の電子化・一元管理を進めてきました。さらにビデオ通話機能「GEMBA Talk」を組み合わせ、朝礼・検査・人材育成をリモートで行える体制を整えています(※7)。

具体的には、朝礼会場へ移動せずに現場や事務所から参加でき、遠隔検査ではGEMBA Talkとウェアラブルカメラの併用により、1日に複数の現場検査を効率的に実施できるようになりました。若手の育成についても、従来の現場同行中心のOJTから、離れた場所からつながって任せる形へと変わっています。移動に伴うタイムロスを削減し、実質的な業務時間の確保や残業時間の削減につながっています(※8)。

ここから、大規模プロジェクトのDX全社展開に共通する示唆が得られます。大規模・広域の現場ほど「同じ紙面を全員で共有する」仕組みが効果的であること、移動と待機の削減がそのまま労働時間の削減につながること、そしてこうした効果を出すには協力会社まで含めて同じツールに乗せる必要があること。特殊な現場の話に見えて、多くの大規模プロジェクトで再現できる原則です。

大規模プロジェクトでDX全社展開を成功させる手順

ここまでの内容を踏まえ、大規模プロジェクトでDXを全社展開する際の実務的な進め方を、手順として整理します。

  • 目的を「労働時間の構造改革」に置きます。 単なるペーパーレス化ではなく、現場で業務が完結し、事務所へ戻ってからの残業がなくなる状態をゴールに設定します。2024年問題への対応としても、この目標設定が説得力を持ちます。
  • 意欲のある1〜2現場でパイロット導入し、30〜90日の検証を行います。 既存のExcel帳票をテンプレート化し、運用ルールを固めてから広げます。eYACHOでは、30日間の無料トライアルで実際の現場での運用を検証できます。
  • 現場が抵抗なく使えるツールを選びます。 大規模な組織にはITが苦手なベテランや、PCを使わない職人も多く含まれます。手書きで使える、既存帳票をそのまま活かせるといった「業務フローを大きく変えずに始められる」条件が、定着率を左右します。
  • 協力会社を含めた展開計画を、最初から織り込みます。 元請だけでなく、図面や指示を共有する協力会社も同じツールに乗せることで、情報の分断が解消されます。eYACHOでは、限定ユーザー版が協力会社展開のコストを抑える選択肢になります。
  • 推進体制と伝播の仕組みを整えます。 情報システム部門と現場の両方に推進担当を置き、成功した現場のノウハウを次の現場へ引き継ぐ流れをつくります。「本社一斉」ではなく「現場から現場へ」の伝播が、大規模な組織での現実解です。

まとめ

大規模プロジェクトのDX全社展開は、技術の高度さではなく「多JV・多業種・多人数の現場で、ITが苦手な人や協力会社まで含めて使い続けられるか」で成否が決まります。万博関連工事やインフラ工事のような現場では、リアルタイムの同時共有と遠隔臨場、そして通信が不安定でも止まらない設計が、そのまま労働時間の削減につながります。

施工管理アプリeYACHOでは、手書き中心の操作画面、協力会社向けの限定ユーザー版、オフライン対応、Share機能・GEMBA Talk・安全AIソリューションといった要素で、大規模プロジェクトのDX全社展開を支えています。まずはパイロット現場から小さく始め、現場から現場へ広げていく。この進め方が、大規模プロジェクトでDXを全社展開する現実的な道筋です。

よくある質問

  • Q. eYACHOは無料で試せますか?

    A. 30日間の無料トライアルを提供しています。ベーシック版相当の機能が対象です。

  • Q. 協力会社にも使ってもらうと費用はどうなりますか?

    A. 協力会社向けの限定ユーザー版が、年額13,200円/人(税込)で利用できます。ただし単独では購入できず、ベーシック版・スタンダード版・プレミアム版いずれかの導入企業が購入して協力会社に配布する形になります。

  • Q. 通信が不安定なインフラ現場でも使えますか?

    A. ノート・帳票・図面の閲覧や手書き入力はオフラインで行え、電波が復帰した際に同期します。au Starlink Direct連携により、携帯電話の通信圏外でも、空が開けた場所であれば通信できる環境を構築できます。


eYACHOは30日間の無料トライアルを提供しています。大規模現場での情報共有と遠隔臨場を自社の現場でどこまで実現できるか、まずは実際の運用に近い形でお試しください。導入に関するご相談は、公式サイトのお問い合わせ窓口で受け付けています。


出典一覧

※1 公益社団法人2025年日本国際博覧会協会「EXPO 2025 大阪・関西万博 開催概要」 https://www.expo2025.or.jp/overview/
※2 公益社団法人2025年日本国際博覧会協会「データから振り返る大阪・関西万博」 https://www.expo2025.or.jp/expo_data/
※3 厚生労働省「建設業・ドライバー・医師等の時間外労働の上限規制」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/gyosyu/topics/01.html
※4 株式会社MM総研「施工管理支援アプリは働き方改革関連法の適用後も導入が進み、建設業全体の利用率は4割強に上昇(建設業の施工管理支援アプリの利用動向調査 2025年12月)」 https://www.m2ri.jp/release/detail.html?id=710
※5 eYACHO公式サイト「施工管理アプリ eYACHO」 https://product.metamoji.com/gemba/eyacho/
※6 eYACHO導入事例「東日本高速道路株式会社」 https://product.metamoji.com/gemba/eyacho/user/e-nexco.html
※7 eYACHO導入事例「株式会社大林組(建築)」 https://product.metamoji.com/gemba/eyacho/user/obayasigumi_kentiku.html
※8 株式会社MetaMoJi「阪神高速技術、MetaMoJiの施工管理支援アプリ『eYACHO』を導入、ビデオ通話機能『GEMBA Talk』を活用し、移動のタイムロスを削減」 https://metamoji.com/jp/news/20250625/
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【監修】eYACHO編集部

施工管理アプリ「eYACHO」は、タブレット1つで現場の記録・共有・管理を可能にし、施工管理から安全管理まで幅広い業務をサポートします。
本コラムでは、建設業界の課題解決やDX推進に役立つ情報や最新動向をお伝えします。

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