直行直帰を「ルール」ではなく「仕組み」にするうえで、タブレットとクラウドの組合せは現実的な選択肢です。建設現場でPCを常用するのは難しく、紙の野帳・図面・帳票をどうデジタル化するかが現場DXの中心テーマになってきました。直行直帰を支える仕組みとして、最低限備えておきたい機能は4つあります。
第1に、現場で書類を完結できる手書き入力機能です。紙の野帳と同じ感覚でペン入力できるアプリであれば、職人やベテラン社員も抵抗なく使えます。既存のExcel帳票やPDF帳票をテンプレートとして取り込み、そのままタブレット上で記入できる方式が現場との親和性が高いと考えられます。
第2に、複数人での同時編集・リアルタイム共有機能です。現場と事務所が同じ図面・帳票を同時に書き込みながら作業できれば、「事務所に持ち帰って確認」のフローが消えます。指示が即時に伝わるため、現場で意思決定が完結します。
第3に、ビデオ通話による遠隔臨場・遠隔会議機能です。国土交通省は直轄土木工事で遠隔臨場を令和4年度から本格実施しており、試行段階では令和2年度の760件から令和3年度の約1,800件へと普及が進み、現場への移動時間や立会に伴う待ち時間の短縮効果が確認されています(※5)。発注者の立会や社内打合せを遠隔で済ませられれば、移動時間そのものを発生させずに済みます。eYACHO公式の
東日本高速道路の事例
では、検査立会の約半数を遠隔化したことで、移動時間が500時間以上から240時間まで短縮されたと報告されています。これは1日8時間労働に換算すると約1か月分に相当します。(※同社導入事例より)
第4に、オフラインでも入力でき、通信復帰時に同期できる仕組みです。トンネル坑内や山間部、橋梁下部、地下構造物の現場では、通信が安定しません。ネイティブアプリでオフライン作業を完結させ、電波が届く場所で自動同期する設計であれば、現場が止まりません。近年は衛星通信(Starlink等)との連携で、空が見える場所であれば圏外現場でもクラウドへの同期を確保する選択肢が広がっています。
これら4つの機能を統合した代表例が、株式会社MetaMoJiが大林組と共同開発し、2015年から提供してきた施工管理アプリ
「eYACHO」です。MM総研「建設業の施工管理支援アプリの利用動向調査(2025年12月)」(2026年3月公開)では、ゼネコンでの利用シェアNo.1(19%)(※6)、スマートデバイスユーザーシェアでもNo.1(21%)を獲得しています(※7)。導入企業は900社以上、利用ユーザーは80,000人以上にのぼります。(※同社プレスリリースより)