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下請けへの指示伝達を効率化する方法|
トラブル防止と現場改善のポイント

【この記事でわかること】

  • ・ 建設現場で下請けへの指示伝達が重要な理由
  • ・ 指示伝達における4つの課題と具体的なトラブル事例
  • ・ 偽装請負にならない適正な指示の出し方
  • ・ トラブルを防ぐための具体的な対策
  • ・ デジタルツールを活用した効率的な情報共有の方法

建設現場では、元請会社と下請会社の間で日々多くの指示がやり取りされています。工程の変更、図面の修正、安全上の注意事項など、正確かつ迅速に伝達しなければならない情報は膨大です。しかし、口頭での伝達による行き違いや、書類の受け渡しに時間がかかるなど、指示伝達に関する課題を抱える現場は少なくありません。ここでは、下請けへの指示伝達における課題と、効率的かつトラブルを防ぐための対策について詳しく解説します。

元請会社と下請会社の間でのやり取りを表した図

下請けへの指示伝達が建設現場で重要な理由

建設工事では、元請会社が全体の施工計画を立て、専門工事ごとに下請会社へ作業を依頼する重層下請構造が一般的です。この構造では、元請から下請、さらに孫請へと情報が伝達されていくため、正確な指示伝達が工事全体の品質と安全を左右します。

重層下請構造における情報伝達の難しさ

建設業界では、元請から一次下請、二次下請と作業が分担されるケースが多く、情報が複数の会社を経由して伝わっていきます。この過程で、指示内容が変質したり、伝達漏れが発生したりするリスクが高まります。特に大規模な現場では、関係する会社が多岐にわたり、全員が同じ情報を共有することは容易ではありません。情報伝達の精度が落ちると、手戻り作業の発生や工期遅延、さらには品質問題につながることがあります。

参考:国土交通省「重層下請構造の改善に向けた 取組について(2016年6月22日)」 https://www.mlit.go.jp/common/001236203.pdf

安全管理と品質確保における指示伝達の役割

事故や不具合は、指示の行き違いや共有不足が引き金になることがあります。とくに現場では、次の情報が確実に届いているかが重要です。

  • ・ 安全:高所作業手順、危険物の取り扱い、立入禁止区域、重機動線
  • ・ 品質:設計図書に基づく施工条件、材料仕様の変更、施工方法の修正
  • ・ 検査:検査タイミング、立ち合い要否、是正指示の内容

法令遵守と適正な請負関係の維持

下請けへの指示は、労働者派遣法や職業安定法に抵触しない形を保つことも欠かせません。元請が下請の作業員へ直接指示を出しすぎると、「偽装請負」とみなされるリスクがあります。実務では、次の線引きを意識すると整理しやすくなります。

  • ・ 元請は「下請会社の責任者」を通じて伝える
  • ・ 下請会社が「自社の判断と責任」で作業を進める前提を崩さない
  • ・ 個々の作業員を元請が直接管理している状態を作らない

指示伝達における4つの課題

現場で指示伝達に関するトラブルが発生する背景には、いくつかの共通した課題があります。これらの課題を把握することが、改善の第一歩となります。

口頭伝達による記録の不在と行き違い

現場では時間に追われることが多く、電話や対面での口頭指示で済ませてしまうケースが少なくありません。しかし、口頭でのやり取りは記録が残らないため、「言った・言わない」の水掛け論になりやすいという問題があります。また、伝える側と受け取る側の解釈の違いから、意図とは異なる作業が行われてしまうこともあります。複数の下請会社が関わる現場では、一部の会社だけに情報が伝わり、他の会社には伝達されないという事態も起こりがちです。

図面・書類の共有に時間がかかる

設計変更や仕様変更が発生した際、修正された図面を全ての関係者に配布するには相当な時間と手間がかかります。紙の図面をコピーして各社に手渡しするやり方では、最新版の管理が難しく、古い図面で作業を進めてしまう危険性もあります。

また、図面だけでは伝わりにくい補足説明を口頭で行うことになり、解釈の違いが生じることもあります。現場事務所と作業場所が離れている場合、書類を取りに行く移動時間も大きなロスになります。

リアルタイムな情報共有ができない

天候の急変や想定外の地中障害物の発見など、現場では予期せぬ事態が日常的に発生します。このような状況では、即座に関係者全員へ情報を伝達し、作業計画を変更する必要があります。

しかし、電話連絡網や書面での通知では、全員に情報が行き渡るまでに時間がかかり、その間に混乱が生じることがあります。また、現場の担当者が不在だった場合、重要な情報の伝達が遅れてしまうこともあります。

指示内容の記録が残らず検証できない

工事完了後にトラブルが発生した際、いつ誰がどのような指示を出したのかを検証することが必要になります。しかし、日々の指示が適切に記録されていなければ、責任の所在を明確にすることができません。特に長期にわたる工事では、担当者が異動や退職で変わることもあり、過去の経緯を把握することが困難になります。記録の不備は、紛争発生時のリスクを高める要因となります。

偽装請負を避けるための適正な指示の出し方

下請会社への指示伝達においては、偽装請負とならないよう注意が必要です。偽装請負は、実態が労働者派遣に当たる場合、労働者派遣法の適用対象(違反)となります。

偽装請負とは何か

偽装請負とは、形式上は請負契約を結んでいるものの、実態として発注者が労働者を直接指揮命令している状態を指します。請負契約では、受注者が自らの責任で作業を完成させることが原則です。しかし、発注者が受注者の労働者に対して作業時間や作業方法を細かく指示したり、勤怠管理を行ったりすると、実質的には労働者派遣と同じ関係になります。このような状態は、労働者派遣法が定める許可を得ずに労働者派遣を行っていることになり、違法とみなされます。

参考:厚生労働省「労働者派遣・請負を適正に行うためのガイド」 https://www.mhlw.go.jp/content/001328190.pdf

適正な指示の範囲と注意点

元請が下請に対して行える指示は、仕事の完成に必要な範囲に限られます。現場で迷いやすい点を、OKと注意に分けて整理します。

区分 ポイント
適正な指示になりやすい 施工箇所・工程の指定、品質基準の提示、安全注意の周知 「何を、いつまでに、どの基準で」が中心
偽装請負リスクが高まりやすい 作業員個人への細かな作業方法指示、出退勤管理、服装・持ち物の細かな指定 個人を直接管理している形になりやすい

指示は下請会社の責任者や現場代理人を通し、その責任者が自社の作業員へ展開する流れを維持することが重要です。

書面での指示と記録の重要性

口頭指示は記録が残りにくく、後日の確認や責任分配が難しくなります。指示内容を書面やメールで明確にし、記録として残すことで、適正な請負関係を証明しやすくなります。また、下請会社からの質問や確認事項についても、文書でのやり取りを基本とすることで、お互いの認識のずれを防ぐことができます。工事打合せ簿や施工指示書などの公式な書類を活用し、いつ、誰に、何を指示したかを明確にしておくことが望ましい対応です。

指示伝達のトラブルを防ぐ5つの対策

指示伝達に関するトラブルを未然に防ぐためには、組織的な取り組みとルール化が不可欠です。ここでは、効果的な対策を5つ紹介します。

指示系統と連絡ルートを明確化できる

誰が誰に指示を出すのか、情報の伝達ルートを明確に定めておくことが重要です。組織図やコミュニケーションフロー図を作成し、全ての関係者に周知します。特に、緊急時の連絡体制については、電話番号リストや代替連絡先も含めて整備しておくことで、いざという時に混乱を防ぐことができます。定期的な朝礼や工程会議の場で連絡ルートを確認し、徹底を図ることも効果的です。

定期的な工程会議で情報を共有できる

週次または日次の工程会議を開催し、元請と下請の関係者が一堂に会して情報共有を行います。会議では、今後の作業予定、変更事項、注意点などを直接伝達し、質疑応答の時間も設けます。会議内容は議事録として記録し、参加者全員に配布することで、後から確認することも可能になります。会議に参加できなかった関係者にも、確実に情報が伝わる仕組みを用意しておくことが大切です。

指示内容を文書化して記録に残せる

口頭での指示は補助的なものにとどめ、重要な指示は必ず文書で行います。施工指示書、変更指示書、安全指示書などの定型フォーマットを用意し、内容・日時・指示者・受領者を明記します。下請側からも受領確認の署名やサインをもらうことで、確実に伝達されたことを証明できます。これらの文書は工事記録として保管し、必要な時に参照できるよう整理しておくことが重要です。

図面管理を一元化して最新版を共有できる

図面の版管理を徹底し、常に最新版がどれかを明確にします。古い図面は回収または廃棄し、作業場所には最新版のみを掲示するようにします。修正箇所がある場合は、変更点を色分けやマーカーで強調し、どこが変わったのかを一目で分かるようにすることも効果的です。図面台帳を作成し、各社が保有している図面のバージョンを把握しておくことで、古い図面での作業を防止できます。

デジタルツールでリアルタイム共有ができる

クラウド型の施工管理ツールやコミュニケーションアプリを活用することで、リアルタイムでの情報共有が可能になります。図面や書類をクラウド上で管理すれば、更新された瞬間に全員が最新版にアクセスでき、紙の配布に伴う時間的ロスを解消できます。また、チャット機能やビデオ通話機能を使えば、現場にいながらにして本社や他現場と連携することも可能になります。

デジタルツール活用による指示伝達の効率化

近年、建設業界でもDX(デジタルトランスフォーメーション)の流れが加速しており、指示伝達の効率化にデジタルツールを活用する現場が増えています。

クラウド型施工管理ツールのメリット

クラウド型の施工管理ツールを導入することで、場所や時間を問わず必要な情報にアクセスできるようになります。現場事務所のパソコンだけでなく、作業場所でタブレットやスマートフォンから図面を確認したり、指示書を閲覧したりすることが可能です。情報が一元管理されるため、「あの書類はどこにあるか」と探し回る手間もなくなります。また、アクセス権限を設定することで、必要な情報を必要な人だけに共有することもできます。

写真・動画を活用した視覚的な指示

文字や言葉だけでは伝わりにくい内容も、写真や動画を使えば明確に伝達できます。施工手順を動画で撮影して共有したり、問題箇所を写真に撮ってマークアップを加えたりすることで、認識のずれを最小限に抑えられます。特に、細かな品質基準や仕上げのイメージを伝える際には、視覚的な資料が大きな効果を発揮します。現場で撮影した写真にその場でコメントを追加し、関係者に送信するといった使い方も可能です。

チャット・ビデオ通話によるコミュニケーション改善

従来の電話連絡では、相手が出なければ伝達できず、かけ直しの手間が発生していました。ビジネスチャットを使えば、相手の都合に関係なくメッセージを送ることができ、相手は空いた時間に確認して返信できます。グループチャットを活用すれば、関係者全員に同時に情報を発信でき、伝達漏れのリスクも軽減されます。緊急の場合はビデオ通話で直接顔を見ながら会話することもでき、微妙なニュアンスも伝わりやすくなります。

指示伝達の効率化なら施工管理アプリ「eYACHO」の活用をご検討ください

建設現場における指示伝達の効率化とトラブル防止を実現するなら、施工管理アプリ「eYACHO(イーヤチョウ)」の活用が効果的です。現場のコミュニケーション課題を解決するための機能を豊富に備えています。

図面への書き込みをリアルタイムで共有

eYACHOでは、タブレット上で図面に直接書き込みを行い、その内容をリアルタイムで関係者と共有することができます。変更箇所にマークを付けたり、注意事項を手書きで追記したりした内容が、即座に他のメンバーの端末にも反映されます。現場にいる作業員と事務所の管理者が同じ画面を見ながら打ち合わせを行うことも可能で、認識のずれを防ぐことができます。

GEMBA Talkでビデオ通話しながら情報共有

GEMBA Talkでビデオ通話しながら情報共有

eYACHOには「GEMBA Talk」というビデオ通話機能が搭載されており、離れた場所にいる関係者と顔を見ながらコミュニケーションを取ることができます。映像と音声で現場の状況をリアルタイムに共有しながら、図面に書き込みもできるため、電話だけでは伝わりにくい内容も正確に伝達可能です。現場と本社、元請と下請の間のコミュニケーションがスムーズになり、迅速な意思決定を支援します。

参考:株式会社MetaMoJi「eYACHO活用情報 | ビデオ通話機能「GEMBA Talk」」 https://product.metamoji.com/gemba/eyacho/topic/gembatalk.html

協力会社との情報共有も簡単

eYACHOは「限定ユーザー」機能を備えており、協力会社のメンバーにも必要な情報だけを共有することができます。フルライセンスを持たないユーザーでも、指定されたノートやファイルを閲覧・編集できるため、下請会社との情報共有がスムーズになります。これにより、元請・下請間の連絡調整にかかる時間と手間を大幅に削減できます。また、書き込みの作成者情報(だれがいつ書き込んだか)も確認できるため、情報伝達の記録としても活用できます。

現場の指示伝達を効率化し、トラブルのない円滑な工事運営を実現するために、eYACHOの導入をご検討ください。

施工管理アプリ「eYACHO」無料トライアルはこちら https://mps.metamoji.com/mmjTrialLicenseWeb/customer/ja/trialentry.html?pid=TRIAL_EYACHO
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【監修】eYACHO編集部

施工管理アプリ「eYACHO」は、タブレット1つで現場の記録・共有・管理を可能にし、施工管理から安全管理まで幅広い業務をサポートします。
本コラムでは、建設業界の課題解決やDX推進に役立つ情報や最新動向をお伝えします。

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