設計部門での施工図の図面回覧・修正指示をeYACHOで。
確認作業が複数同時進行になり効率アップ!
株式会社大林組(建築・設計)様
早くから現場でのeYACHOの利用が進む大林組においても、設計から現場までをeYACHOが貫く現場はまだ多くない。設計部門が声を上げチェックバック(図面回覧・修正指示)をeYACHOで実行する現場で話を伺った。
膨大な図面を監理
設計部門の仕事は、まずは建物の設計図を書くこと。そして工事が始まると図面を監理する立場となり、完成まで関わる」(設計
佃氏)
これまで紙ベースで行なっていた図面回覧のeYACHOへの移行を進めた。
設計図を元に、実際に建物を建てるための全ての情報を含んだ施工図を作成して初めて工事が始まる。しかしそれは簡単な話ではない。まず確認する図面の数が膨大だ。そして関連する部署・協力会社の数も膨大で、その全てが図面を確認する必要がある。
工事管理部門は「現場で取り付けられるか、仕様書に合致するか、納まりはよいか、コスト面なども考慮し、過去の経験を生かして図面に反映させる」(工事事務所 津波古氏)
これら設計・協力会社・現場の中心となり図面を管理するのが生産設計だ。あらゆる関係者から戻ってきた内容を再び確認し、内容を図面に反映する。「設計図を基に、関係する部署や協力会社と一緒に建物を作るための施工図を作る。そして、図面チェック回覧の後、チェック内容について再度協力会社等へ修正を依頼し、決定図を発行する。作図から決定された図面までの管理をする。(生産設計 佐藤氏)
図面回覧をeYACHOでやろう
「紙で回覧すると書類の山に埋もれたり、忙しい人のところで停滞してしまう。これをなんとかできないか?と思っていた」(佃氏)
eYACHO導入前の図面回覧は「紙に印刷してチェックし、紙を関係部署分コピーし、郵送などで送り届け、書き込まれた膨大な紙の図面が生産設計に戻ってくるという流れだった」が、eYACHOにして「大部分がPDFの中での業務になり、紙の膨大な削減ができた」「紙回覧だと机の上にどんどん溜まっていくことが多かったが、iPadさえあれば好きな時にでき、チェックする側の時間的短縮に繋がった」「郵送にかける時間・郵送費の削減になった」(佐藤氏)ことをメリットに上げる。
設計部門では、確認済みサインと図面に書き込むコメントのペンの色を統一するなどの工夫も見られる。
「設計はひとつの現場だけ担当していることもあるが、いくつも現場を掛け持ちしている人も多く、出張も多い。外出先からでも使用できて非常に便利になった」「設計部門での図面回覧は1週間くらいかけて行う。設計には意匠・構造・設備・ランドスケープ、それぞれ複数名が関わり、最終的に図面に10人近いサインが要ることがある。これまでは確認期間をその人数で分け合っていたのが、各々が1週間の中で自分の都合の良いタイミングでいつでも何度でもチェックできるようになった」(佃氏)と、同じ期間でも使い方が異なっている点をeYACHO導入のメリットに上げる。
工事管理部門においても、eYACHOにより同時にチェック進行できる点を「これまでは担当者から上位に向かって進んでいたので、(どこかで停滞すると)いつの間にか回覧期限が過ぎてしまったのが上司のところに回ってきてダメじゃないか、となってしまうこともあった」と振り返る。(津波古氏)
「eYACHOにより同時確認ができるようになることで担当者の確認が完了する時間は確実に短縮している。また、図面回覧に要する紙の量は、以前に比べて3分の1くらいになった」(佐藤氏)
紙の削減と、シェアによる時間の有効利用の他に、図面回覧のeYACHO化の背中を押したものがある。社内での設計検証である。「見積図前に担当者以外の設計者と設計内の担当部署などが1週間に渡り、図面を同時に検証する際にeYACHOを使っている。それならば、図面回覧もeYACHOでしてしまおう、というのが始まりだった」(佃氏)
従来より顧客との打ち合わせや、部内での打ち合わせをeYACHOで行うこともあるという設計部門において、またひとつ新たなeYACHOによる業務効率向上を実現する事例となった。
まるで現場で顔を突き合わせているかのように
設備関係の協力会社を含めての定例の打ち合わせは週1回。それ以外は本社と現場は遠隔である。しかし「シェア機能で共有できるので、同じ図面を各自のPCに表示し、ペンやレーザーポインタを使いつつお互いの意思の疎通を図りながら確認することができる。現場、本社、協力会社など、場所はどこであっても、現場で顔を突き合わせているのと同じことができるのがよい」(工事事務所 寺尾氏)
「工事事務所でeYACHOを採用する利点は、各担当者がどこにいても追加・修正出来る事です。これまで事務所のパソコンのみでExcelやPowerPointを使用していた。複数の指摘が同時に編集できるだけでも時間短縮となり、働き方改革へ繋がった。eYACHOは従来我々が現場で困っていたところをカバーする非常に熟したソフトだと思う。それぞれの現場に応じたパーツ類が充実するとさらによい」(工事事務所 大木氏)
もちろん、現場においては、キープランをeYACHOに取り込んでの安全朝礼や、写真、図面をeYACHO化した是正指示等、様々な業務がeYACHOを使って進められている。
遠隔環境において効果を発揮
大林組では、全社においてeYACHOの利用環境が整備されている一方で、どの業務にどのように利用するかは現場に任されている。工事事務所長の村上氏は「設計と現場が遠隔であるこの現場において、eYACHOによる図面回覧によるメリットは大きかった」と振り返る。
実際に「新規現場の担当者から、どのようにeYACHOを図面回覧に導入し運用したかという問い合わせが入ってきている」(佐藤氏)という。設計から現場まで、eYACHOが一貫して建築現場を支えるシーンの拡大が予感される。
eYACHOのさらなる進化への期待
使うほどにさらに便利な機能への期待が高まる。
工事管理部門では「なかなか若い(経験の浅い)担当者が図面チェックするところまでは至っていないかもしれない。紙で回る方が「やらなきゃいけない」意識が醸成できるかもしれない」「図面回覧において、間にメールの介在がなくなればさらに便利。通知してくれるような機能を期待する」(村上氏)
「今はメールの見出しに「○日まで」などつける工夫をしている。また回覧開始や、完了の際にメールで連絡するようにしているが、それも自動に通知がされるようにならないか。メールのやりとりすらなくしたい」(佃氏)など、順序の設定や状況が確認できる回覧機能など、eYACHOに対する様々な要望が寄せられた。
設計が常駐するような大規模な現場では、直接顔を合わせて(これまで通り紙で)やった方が早いと考えがちだが、回覧に関する機能の充実は、その固定概念を壊し、eYACHO化が一気に進むことが期待される。
【お話を伺った大林組のみなさん】
※2020年1月取材。画面キャプチャ、機能、肩書は当時の情報にもとづきます。