eYACHOで業務改革!
施工部門の持ち帰り仕事を
なくし残業を大幅削減
能美防災株式会社は、関東大震災の惨劇を契機に大正13年創業以来、「火災から人命・財産を守る」という重要課題に取り組み続けている防災事業のパイオニアである。オフィスビル、プラントから住宅まで、あらゆる施設への防災システムの提供に加え、近年では防災事業の技術を応用し、街中や線路のミスト設備などの環境設備事業も展開している。
そして、同社の防災設備の施工部門では、eYACHOを導入し情報共有の質を向上させることで業務効率を上げ、施工管理担当者の残業時間の削減・ペーパーレス等の業務改革を進めている。火報設備本部 副本部長 菅原
良浩氏、第1システム施工部 施工技術課長 山鹿 武彦氏、施工技術課リーダー 前川 治郎氏、施工管理3課第1係長 中村友昭氏にお話を伺った。
課題 |
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導入の 決め手 |
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効果 |
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事務所に戻ってからの仕事が
残業を常態化
2018年、菅原氏は、「建設業の2024年」を控え施工部門に常態化する残業問題の解決に着手した。
業務の分担・棚卸しをすると、以下の問題点が浮かび上がった。
業務を分担して、
eYACHOのレイヤーに
図面には、ベースとなる図面、機器の取付情報、変更内容、感知器のアドレスなどの固有の情報など、全ての情報が詰まっている。これらをレイヤーに分ければ、情報の整理が容易で、複数の人が自分の仕事をレイヤーで管理することができる。また、必要なレイヤーだけを選んで書き出すことができれば、発注者や協力会社向けの図面も簡単に作り出すことができる。
複数のアプリを検討した前川氏は「レイヤーが使えることに加えて、拡大しても画質が乱れないこと、費用、営業やサポートのレスポンスの良さやこまめなアップデート。これらをトータルで判断してeYACHOに決定した」という。
施工管理担当者が事務所に戻ってからやっていた事務仕事は、従来からあった大型現場での防災システムや特殊製作盤の仕様まとめを担当する施工技術課の人員を増員して一手に担うこととした。10台でスタートしたトライアル運用から半年後には本格導入を開始し、現在では340台のeYACHOを導入している。大小合わせて年間、数千に及ぶ施工案件のほとんどをeYACHOに移行した。
「全体への導入はコストもそれなりにかかるため段階的に数十台ずつ追加した方がいいという意見もあったが、大型物件になると複数の人が関係するので、この人はeYACHOを持っているがこの人は持っていないとなると情報共有がうまくいかない。一度にやらないと意味がないと考え、一気に導入を進めるよう背中を押した」(菅原氏)「一気に導入したため混乱が生じるかと心配したが、予想よりはるかに少なかった。eYACHOは直感的に使える仕様になっているので、説明会を実施して2-3時間ロールプレイをする程度で使用できるようになる」(前川氏)
ルールの整備と
テンプレートの作成
施工部門への徹底したヒアリングを元に、フォルダやレイヤーの設定、情報の記入方法などのルールを整備するとともに、各種テンプレートを用意した。
「独自の使い方をすると、一緒に仕事をするときに支障が出る。ルールが確実に守られることによって情報伝達のロスや誤読がなくなり、全体の効率が良くなる。ルールは慣れるのに時間がかかり、細かすぎると面倒になるので、最低限守ってもらいたい内容に絞り込んでルール化するよう務めた」(山鹿氏)
eYACHO導入以前は、現場の資料などを担当者自身がリングファイルに収めインデックスを作って整理していた。導入後は、ルールに則って事務員が契約図や機器図、フォルダ構成を整えて担当者のフォルダに移す。終了したプロジェクトはすぐに整理して保管するといったところまでルール化した。
「現場によっては数名の施工管理担当者で仕事を進めることもある。図面への表記や記入方法に一律のルールがないと、○や×や囲みに独自の意味があったりする。ルールが整備され浸透すれば、図面や資料に記入された情報を誰もが同じ内容として正しく理解することができる。地方の大きな物件に全国からeYACHOを持って応援に行けば、まだeYACHOが十分に使えていなかった現場にもルールが浸透していく。ルールが全国に浸透し統一化されていけば、応援要員の投入や人員配置などもスムーズになる。データは技術課に集約されるので、仕様が全国的に統一され品質が一定になるというメリットもある。eYACHOを使えばこういった効果が出るということを全員が理解できた時に、分業化による効率化もさらに進むだろう」(菅原氏)
管理者としてのメリットも
自らも大型現場を担当しつつ、小さな現場を多数持つ部下を抱える中村氏は「情報がレイヤー分けされていることで、問題点の把握が速くなった」と言う。
「以前は、現場から戻った部下から図面をみながら説明を聞き、問題があれば再度現場に行って確認させることもあったが、今は該当するレイヤーを見れば一目瞭然。事務所や外出先からeYACHOを見る(*)だけで確認できる場合もある」
(*)eYACHOのシェア機能により最新情報がリアルタイムに共有できる
「自分が管理する現場も、施工技術課・サブ担当者・上司が情報を共有することで、自分がすべきことに業務をスリム化することができ、業務を分担しつつも全体を正しく把握できる。管理者としてのメリットも大きい」(中村氏)
「デジタルネイティブ世代の社員も多く、若い人たちからこんなことができるよと教えてもらったり、いろんなことができるようになって、仕事が楽しい」(中村氏)という言葉が出てくるほど、eYACHOの利用は浸透している。一方、実際に現場で器具の取付けなどを行う協力会社の作業員には年配の方も多く、紙への慣れが強くデジタル機材への抵抗が懸念されたが、トライアル運用の結果、直感的に操作できることや、図面の紛失や破損のリスクを回避できること、情報の伝達や共有がスムーズになることなどメリットが多いことから、利用が進みつつある。作業員の場合タブレットよりスマホが使い勝手が良さそう、複数名に1台あれば良さそうといった現場の意見も取り入れながら調整を進めている。なお、協力会社には機材を貸し出すことにより、協力会社の費用負担を減らすと同時に、セキュリティ面でも安全性を確保している。
能美防災・施工管理部門で取り組んでいる業務改革は、ペーパーレスなど様々な施策を遂行するとともに、eYACHOを導入することで仕事の構造を変えた。この流れは社内でも注目され、他の部門への利用拡大に繋がっている。協力会社に対してもeYACHOの導入を進めつつあり、菅原氏は「さらなる効果を期待している」と言う。全社規模のDXは既に始まっていると言えるだろう。
MetaMoJiは、能美防災様をはじめとする様々な企業のDXを、eYACHOをはじめとする製品・技術で強力にサポートしてまいります。
(2023年10月取材)