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過去の不具合データから再発を防止!
AIで類似パターンを検索する品質管理手法

「同じような不具合が、現場を変えても繰り返し起きてしまう」。品質管理や安全管理に関わる方であれば、一度は感じたことがある悩みかもしれません。多くの現場では、過去の不具合やトラブルの記録が残っているにもかかわらず、それが次の再発防止に十分に活かされていません。

過去の不具合データを再発防止に活かす要点は、次の3点に整理できます。

  • 過去の記録を、検索して比較できる形で蓄積する
  • AIによるパターン分析で、新しい事象に似た過去事例と対策を素早く引き出す
  • AIが示す内容は候補として扱い、最終的な判断は人が行う

以下では、この3点を軸に、なぜなぜ分析との関係や、建設現場における安全(労働災害)の再発防止の実際、生成AIによって変わりつつある分析手法までを、実務目線で整理します。

過去の不具合データから再発を防止!AIで類似パターンを検索する品質管理手法

「不具合の再発防止」とは?過去データを活かす品質管理の基本

不具合の再発防止とは、一度起きた不具合やトラブルについて根本原因を突き止め、同じ原因による再発を止める取り組みです。目先の手直し(是正)で終わらせず、原因そのものを断つことがゴールになります。

再発防止の代表的な手法が「なぜなぜ分析」です。問題に対して「なぜ」を繰り返し、表面的な症状ではなく根本原因(Root Cause)にたどり着く手法で、トヨタ生産方式に起源を持ち、品質マネジメントの国際規格であるISO 9001の是正処置プロセスでも参照される標準的な考え方です。「なぜ」は必ずしも5回である必要はなく、根本原因に届くまで3〜7回程度を目安に掘り下げます。

ここで重要になるのが過去データです。根本原因を正しく特定するには、過去に似た不具合がなかったか、どのような条件で起きたかという記録が欠かせません。再発防止は、過去の失敗の蓄積を次に活かす営みだといえます。

なぜ過去の不具合データは再発防止に活かされにくいのか

多くの組織で過去の不具合データが再発防止に活かされないのには、いくつかの共通した理由があります。

  • 1. データの散在

    紙の報告書、担当者個人のExcelファイル、メールのやり取りなど、記録の置き場所がばらばらだと、「似た事例を探したい」と思っても横断して検索できません。

  • 2. 記録の属人化

    ベテランの頭の中にだけノウハウがあり、担当者が異動・退職すると失われてしまいます。組織の資産として残らないため、同じ検討を毎回ゼロからやり直すことになります。

  • 3. 情報共有の不足

    ある部署で起きた不具合の教訓が、別の部署や別の現場に伝わりません。その結果、同じ失敗が組織のあちこちで繰り返されます。

つまり、再発防止がうまくいかない最大の壁は「分析力」より前の段階、すなわち過去データが検索・比較できる形で蓄積されていないことにあります。ここを解決しないまま高度な分析ツールだけを導入しても、効果はそれほど高くありません。

AIによるパターン分析で再発防止はどう変わる?「検索」から「動的抽出」へ

過去データを蓄積したうえで効果を発揮するのが、AIによるパターン分析です。AIは大量の不具合記録を横断的に解析し、人が見落としがちな共通点、すなわち発生条件・作業内容・部材・時期などの「パターン」を抽出します。新しく起きた事象と過去事例を照合し、類似度の高いケースとその対策を素早く提示できる点が、人手による検索との大きな違いです。

近年はこの分析のあり方が変わりつつあります。従来は、あらかじめ整理・構造化した知識データベースから該当項目を引き当てる「知識型」が中心となっていました。生成AIの登場により、その場の状況に応じて関連度の高いリスクや対策を「動的に抽出」する方式へと進化しています。あらかじめ用意した選択肢を選ぶのではなく、入力された作業内容や現場状況から、その都度ふさわしい情報を組み立てて提示できるのが生成型の特徴です。

この進化は、再発防止の実務にとって大きな意味を持ちます。想定していなかった条件の組み合わせや、これまで言語化されていなかった潜在リスクにも対応しやすくなるためです。ただし、AIが示すのはあくまで候補であり、最終的な判断は人が行うという前提は変わりません。この点は後述します。

建設現場における不具合・災害の再発防止と安全管理

不具合の再発防止という言葉は、製造業やソフトウェア開発だけの話ではありません。建設業では、施工品質の不具合に加えて「労働災害(事故)の再発防止」という、人命に直結するテーマが常に存在します。

建設業は、労働災害による死亡者数が業種別で最も多い業種です。2024年の確定値では、全産業の死亡者数746人のうち建設業が232人を占め、全体の31.1%にのぼります(※1)。建設業の死亡災害を事故の型別に見ると、墜落・転落が77人で最も多く、この傾向は以前から大きく変わっていません(※1)。過去のパターンから十分に学べていない現実がうかがえます。

こうした災害の再発防止で古くから知られるのが「ハインリッヒの法則」です。1件の重大事故の背後には29件の軽微な事故と300件のヒヤリハット(事故に至らなかった危険な事象)が存在するという経験則で、日々のヒヤリハットという小さなパターンを見逃さず対策すれば、重大事故の確率を下げられるという考え方です(※2)。過去の小さな兆候をパターンとして捉え、再発(重大化)を防ぐという発想そのものといえます。

その実践が、現場での危険予知活動(KY活動)やリスクアセスメントです。作業に潜むリスクを事前に洗い出し、対策を講じる取り組みですが、担当者の経験や知識に左右されやすく、ベテランでも見落としが起こりがちだという課題があります。ここに、過去の労災事例を学習したAIによるパターン分析を組み合わせる余地があります。

eYACHOの安全AIソリューションに見る「AIパターン分析による再発防止」

ここまで述べた考え方を建設現場で具体的な形にしているのが、施工管理アプリ「eYACHO」の安全AIソリューションです。ここからは主語を明確にして、eYACHOが提供する内容として紹介します。施工管理アプリ「eYACHO」は、2015年に大林組と共同開発され、ゼネコンでの利用シェアはNo.1(19%)です(※3)。

eYACHOの安全AIソリューションは、KY活動(危険予知活動)でのリスク見落としを支援するものです。作業内容を入力したり、重機や作業場所の写真をアップロードしたりすると、過去の建設業労災事例をもとに、その作業に潜むリスクと対策をAIが提案します。参照する根拠は、21種類の安全関連法令と31種類の通達・ガイドラインです。作業員の確認の抜けが起こりがちな作業についても、AIが潜在リスクを示し、全員で共有できる点が特長です。

この安全AIソリューションは、大林組と共同開発され、独立行政法人 労働安全衛生総合研究所との共同研究で得た知見を反映しています。仕組みも進化しており、あらかじめ用意した知識から引き当てる知識型から、過去の災害事例・マニュアル・法令などをもとに、AIが作業内容や現場状況に応じたリスクと対策を提案する生成型へと変更済みです。自由に入力するとAIが参照情報を自動で選ぶ自動モードと、ユーザー自身が災害事例・マニュアル・法令を選んで生成するインタラクティブモードの2モードを備えます。また、公開データと自社の労災報告などの自社データを統合して利用できるため、一般的な事例だけでなく、その企業で再発しやすいパターンにも対応しやすくなっています。なお、安全AIソリューションはeYACHOのスタンダード版以上が対象です。

実際に、大林組や横河ブリッジの現場では、この安全AIソリューションを活用したKY活動が進められています。過去の事故という不具合データからパターンを引き出し、次の現場での再発を防ぐという流れが、日々の安全管理に組み込まれています。

パターン分析がこうして機能する前提には、そもそも過去の記録がデータとして蓄積されていることがあります。この点でもeYACHOには特徴があります。建設現場ではPCが使えないことが多く、従来は紙に書いた内容を事務所に戻ってからPCに入力し直していました。eYACHOでは、現場でタブレットに手書き入力した内容がそのまま電子帳票になるため、記録が生まれた時点でデジタルデータになります。手書き入力には建設mazec(手書き入力システム)を使えば、建設・土木・設備の専門用語も効率よく入力できます。さらに、手書き文字をテキスト化しておけば、過去のノートや帳票を横断して検索することができ、似た事象が過去になかったかを後から探しやすくなります。日々の帳票が、そのまま再発防止のための検索できる資産として積み上がっていくという考え方です。

AIパターン分析を再発防止に活かすためのポイント

最後に、AIによるパターン分析を再発防止に活かすうえで押さえておきたい実務のポイントを整理します。

まず、データを入力される時点でデジタル化することです。後からまとめて入力する運用では手間がかかり、記録の抜けも生じます。現場で発生した情報がその場でデータになる仕組みを整えることが、質の高いパターン分析の出発点になります。

次に、AIの提示を人が確認して使うことです。AIが示すリスクや対策はあくまで候補であり、最終的な判断は現場を知る人が行うという運用を徹底します。人とAIの役割分担が、精度と納得感の両立につながります。

そして、継続して蓄積・見直しを行うことです。再発防止策は一度立てて終わりではなく、実施後に効果を検証し、再発しているなら分析の掘り下げが足りなかったと捉えて見直します。データが増えるほどパターン分析の精度は高まるため、記録を止めないことが大切です。

まとめ

不具合の再発防止で成果を出す鍵は、高度な分析ツールそのものよりも、過去の不具合データを検索できる資産として蓄積し、AIのパターン分析で類似の事象と対策を素早く引き出せる状態をつくることにあります。特に建設現場では、施工品質だけでなく労働災害の再発防止という重いテーマがあり、過去の労災事例からパターンを学ぶAIの活用が有効です。

施工管理アプリ「eYACHO」は、現場で入力した記録をそのまま電子データとして蓄積し、安全AIソリューションによって過去の事例をもとにしたリスクの提案まで一貫して支援します。不具合と災害の再発防止を、日々の帳票運用の延長で実現したい方にとって、有力な選択肢になります。

よくある質問

  • Q. eYACHOの安全AIソリューションは、どのような情報をもとにリスクを提示しますか?

    A. 過去の災害事例・マニュアル・法令などをもとに、AIが作業内容や現場状況に応じたリスクと対策を提案します。参照する根拠は21種類の安全関連法令と31種類の通達・ガイドラインで、自動モードとインタラクティブモードの2モードがあります。

  • Q. 過去の不具合データがばらばらでも、再発防止に活かせますか?

    A. まずは記録を検索・比較できる形で蓄積することが出発点です。eYACHOでは、現場で入力した内容がそのまま電子帳票になり、過去のノートや帳票を横断して検索できます。

  • Q. eYACHOは無料で試せますか?

    A. 30日間の無料トライアルを提供しています。ベーシック版相当の機能が対象です。安全AIソリューションやBLuE連携はトライアルの対象外です。

eYACHOは30日間の無料トライアルを提供しています。不具合や災害の記録の蓄積を自社の現場でどこまで効率化できるか、まずは実際の運用に近い形でお試しください。導入に関するご相談は、公式サイトのお問い合わせ窓口で受け付けています。

なお、安全AIソリューションはスタンダード版以上が対象で、無料トライアルでは利用できません。

出典一覧

※1 建設業労働災害防止協会「令和6年 建設業における死亡災害の工事の種類・災害の種類別発生状況」 https://www.kensaibou.or.jp/safe_tech/statistics/construction/r06.html
※2 厚生労働省「職場のあんぜんサイト 労働災害統計確定値」 https://anzeninfo.mhlw.go.jp/user/anzen/tok/anst00.html
※3 株式会社MM総研「建設業の施工管理支援アプリの利用動向調査(2025年12月)」 https://www.m2ri.jp/release/detail.html?id=710
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【監修】eYACHO編集部

施工管理アプリ「eYACHO」は、タブレット1つで現場の記録・共有・管理を可能にし、施工管理から安全管理まで幅広い業務をサポートします。
本コラムでは、建設業界の課題解決やDX推進に役立つ情報や最新動向をお伝えします。

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