ここまで見てきた「視覚的に伝える」を、日々の現場業務のなかで実践しやすくするのが、施工管理アプリ「eYACHO」です。eYACHOは、株式会社MetaMoJiが株式会社大林組と共同開発したアプリで、iOS・iPadOS・Windows・Androidに対応しています。現場でPCが使えない場面でも、スマートフォンやタブレット1台で扱える点が特徴です。
言葉の壁という観点で注目したいのが、図と写真で指示を伝えられることです。eYACHOでは、図面や現場写真に直接、手書きで丸や矢印、コメントを書き込むことができます。「ここを直してほしい」「この位置に注意」といった指示を、文章に頼らず視覚的に示せるため、日本語の細かな読み書きが難しい技能実習生にも意図が伝わりやすくなります。是正箇所を写真に丸で囲んでそのまま共有する、といった使い方が現場で完結します。
複数人での共有には、Share機能が役立ちます。eYACHOのShare機能では、同じ図面や帳票に複数人が同時に手書きすることができ、誰が何を書いたかがリアルタイムに反映されます。指導役と技能実習生が同じ紙面を一緒に見ながら、その場で書き込み合えるため、OJT(現場での実地指導)や朝礼での意思疎通に活用できます。Share機能の活用により、大林組の建築現場では朝礼準備が1〜2時間から10〜20分へ短縮した事例が紹介されています(※6)。
離れた場所とのやり取りには、ビデオ通話機能「GEMBA Talk」があります。GEMBA
Talkと書類共有を統合すれば、同じ図面や写真を画面に映して見せながら通話でき、事務所や遠隔地からでも現場の状況を目で確認しながら指示・確認ができます。遠隔臨場等でも活用でき、実習生が困ったときに、その場の映像を見せながらサポートを仰ぐ、といった使い方もできます。
さらに、eYACHOはオフラインでも入力・閲覧ができ、電波が回復したタイミングで同期されます。なお、Shareノートとしての書き込みは、手動で「シェアレイヤーに移す」ことで同期されます。トンネルや山間部など通信が不安定な建設現場でも、手書きの指示や記録が止まらない点は、屋外作業の多い建設業に適しています。
ツールを入れれば言葉の壁がすべて解消するわけではありません。日本語教育や文化理解の取り組みと組み合わせることで効果を発揮します。そのうえで、「言葉で説明しにくいことを、図と写真で見せて伝える」という日々の実践を後押しする道具として、eYACHOのような現場アプリは有力な選択肢になります。