クリティカルパスとは、工程の開始から完了までの経路のうち、所要時間が最も長い経路のことです。言い換えると、トータルフロート(余裕日数)がゼロの作業をつないだ経路であり、この経路上の作業が遅れると、工期全体がそのまま遅れます。クリティカルパス法(CPM)は、プロジェクトの最長経路に着目して工程を管理する、広く知られた手法です。建設に限らず、幅広い分野のプロジェクト管理で用いられています。
クリティカルパスを求める際に鍵となるのが、フロート(余裕)の考え方です。トータルフロートは、工期全体を遅らせずにその作業を遅らせられる余裕を指し、「後続イベントの最遅完了時刻−先行イベントの最早開始時刻−所要日数」で求められます。フリーフロートは、後続作業に影響を与えずに遅らせられる余裕で、「後続作業の最早開始時刻−当該作業の最早開始時刻−所要日数」で求められます。フリーフロートは、トータルフロート以下になります。トータルフロートがゼロの作業には余裕がなく、これらをつないだ経路がクリティカルパスです。
具体的な求め方を、簡単な作例で確認します(数値は説明のための作例です)。次の作業からなる工事を考えます。
| 作業 |
内容 |
先行作業 |
所要日数 |
| A |
準備 |
なし |
3 |
| B |
経路1の前工程 |
A |
5 |
| C |
経路2の前工程 |
A |
4 |
| D |
経路1の後工程 |
B |
6 |
| E |
経路2の後工程 |
C |
8 |
| F |
仕上げ |
D・E |
2 |
このとき、始点から終点まで、たどれる経路が枝分かれします。経路1(A→B→D→F)は3+5+6+2で16日、経路2(A→C→E→F)は3+4+8+2で17日です。所要時間が長いのは経路2で、これがクリティカルパスになります。経路2上の作業(A・C・E・F)はトータルフロートがゼロで、いずれかが遅れると全体の工期が延びます。一方、経路1上のDには余裕があり、その分だけ遅れても全体には影響しません。
もう少し丁寧に、時刻計算からたどってみます。順行計算では、始点を0として最早開始時刻を先へ進めます。Aは0で開始し3日で完了、Bは3で開始し8で完了、Cは3で開始し7で完了します。Dは8で開始し14で完了、Eは7で開始し15で完了します。Fの手前の結合点には作業DとEが集まるため、最早開始時刻はDの14とEの15のうち大きい方の15を採用します。Fは15で開始し17で完了し、これが最短工期17日です。
続いて逆算します。工期を17日として、終点から最遅完了時刻をさかのぼります。Fの最遅完了は17、最遅開始は15です。この15が、DとEの最遅完了時刻になります。Eは最遅完了15から所要8を引いて最遅開始7、Dは最遅完了15から所要6を引いて最遅開始9です。ここで各作業のトータルフロートを、最遅開始時刻から最早開始時刻を引いて求めると、次のように整理できます。
| 作業 |
所要日数 |
最早開始 |
最遅開始 |
トータルフロート |
| A |
3 |
0 |
0 |
0 |
| B |
5 |
3 |
4 |
1 |
| C |
4 |
3 |
3 |
0 |
| D |
6 |
8 |
9 |
1 |
| E |
8 |
7 |
7 |
0 |
| F |
2 |
15 |
15 |
0 |
トータルフロートがゼロの作業はA・C・E・Fで、これらをつないだ経路がクリティカルパスです。BとDには1日ずつの余裕があることも読み取れます。なお、施工管理技士の試験などでは、このように各経路の合計日数を比べて最長経路を探す方法が、素早くクリティカルパスを見つける手立てとして使われています。作業数が多い場合は、順行・逆算で時刻を求めてからトータルフロートを計算する方法が確実です。