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ネットワーク工程表の書き方完全ガイド|
クリティカルパスの見つけ方と活用法

工事の工程表にはいくつかの種類がありますが、作業同士のつながりや遅れの影響を見えるようにできる点で、ネットワーク工程表は施工管理と相性の良い手法です。一方で、専門用語や計算がともなうため、書き方の全体像がつかめずに手が止まってしまうという声も少なくありません。ネットワーク工程表の基本から書き方の手順、そして工程管理の要となるクリティカルパスの見つけ方と活用法までを、順を追って確認します。

この記事の要点は次の3点です。

  • ネットワーク工程表は、作業の前後関係と余裕(フロート)を可視化し、遅れが全体に及ぼす影響を把握しやすくする工程表です。
  • クリティカルパスは、トータルフロートがゼロの作業をつないだ最長経路であり、この経路上の遅れは工期全体の遅れにつながります。
  • 工程表は作成後も頻繁に変更されるため、最新の工程表を現場全員で共有し続ける運用が、遅延を防ぐうえで重要になります。
ネットワーク工程表の書き方完全ガイド|クリティカルパスの見つけ方と活用法

ネットワーク工程表とは|他の工程表との違い

ネットワーク工程表とは、各作業を矢印や結合点で表し、作業同士の前後関係(依存関係)を線でつないで表現する工程表です。日本の建設現場では、作業を矢印で表す「アロー型(アローダイアグラム)」が広く使われています。矢印の向きが作業の進行方向を示し、丸で示す結合点が作業の始点・終点を表します。

代表的な工程表と比べると、性格の違いが分かりやすくなります。バーチャート工程表(ガントチャート)は、横軸に日付、縦軸に作業を並べて棒で期間を示すもので、直感的で作りやすい反面、作業同士のつながりや遅れの波及が読み取りにくいという面があります。ネットワーク工程表は作図に手間がかかりますが、どの作業が終わらないと次に進めないか、どの作業に余裕があるかを構造的に示せる点が強みです。

ネットワーク工程表と近い考え方の手法にPERTがあります。PERTは各作業の所要時間を楽観値・悲観値などから推定し、不確実性を織り込んで工期を評価する手法です。作業日数を固定して最長経路を求めるクリティカルパス法に対し、PERTは所要時間が読みにくい作業を含む計画で使われることがあります。実務では、まずネットワーク図で前後関係を整理し、クリティカルパスを押さえるという進め方が基本になります。

工程表の種類は、どちらが優れているという話ではなく、目的による使い分けが現実的です。全体の日程を一目で共有したい場面ではバーチャートが分かりやすく、遅れの影響や重点管理の対象を見極めたい場面ではネットワーク工程表が向いています。両者を併用し、詳細な依存関係の分析はネットワーク工程表で行い、現場への周知はバーチャートで行うという運用も少なくありません。

ネットワーク工程表のメリットとして、次のような点が挙げられます。

  • 作業の前後関係が明確になり、遅れがどの作業に波及するかを把握しやすくなります。
  • クリティカルパスを特定でき、重点的に管理すべき作業がはっきりします。
  • 各作業の余裕(フロート)が分かるため、人員や機材の配分を検討しやすくなります。

一方で、デメリットもあります。作図や計算に一定の知識が必要で、作成や修正に時間を要することがあります。また、記号やルールの理解が前提になるため、関係者への説明にひと工夫が求められる場合もあります。工程の変更が多い工事では、そのつど図と時刻計算を見直す手間が生じることも、あらかじめ想定しておきたい点です。こうした特徴を踏まえ、規模や関係者の多いプロジェクトほど、ネットワーク工程表の利点が生きやすいといえます。逆に、作業数が少なく前後関係が単純な工事では、バーチャートで十分に管理できる場合もあります。

ネットワーク工程表の基本用語と作成ルール

ネットワーク工程表を書く前に、基本となる用語を押さえておきます。用語の意味が分かると、書き方の手順が理解しやすくなります。

  • 作業(アクティビティ):時間と資源を要する仕事の単位です。アロー型では矢印で表します。
  • 結合点(イベント、ノード):作業の始まりと終わりを示す接点で、丸で表します。番号を付けて管理します。
  • ダミー:所要時間がゼロの擬似的な作業で、点線の矢印で表します。実際の作業ではなく、作業同士の前後関係を正しく示すために用います。
  • 所要日数:その作業を終えるのに必要な日数です。矢印の下などに記入します。

作成にあたっての基本ルールも整理しておきます。矢印は作業の進行方向(原則として左から右)に向けて書きます。各作業は1本の矢印で表し、先行する作業が完了しないと後続の作業は開始できません。同じ結合点から出て同じ結合点に入る作業が重複しないよう、必要に応じてダミーで整理します。これらのルールは、後続作業の開始条件を誤りなく表すために設けられています。

さらに、工程計算で使う時刻の用語を押さえます。最早開始時刻とは、その作業に最も早く着手できる時点のことです。複数の先行作業がある結合点では、先行作業の最早完了時刻のうち最大の値を採用します。最早完了時刻は、最早開始時刻に所要日数を足した時点です。最遅完了時刻とは、工期全体を遅らせないために、その作業を遅くとも終えておくべき時点のことです。複数の後続作業がある場合は、後続の最遅開始時刻のうち最小の値を採用します。最遅開始時刻は、最遅完了時刻から所要日数を差し引いた時点です。

これらの時刻は、後に説明するフロート(余裕)やクリティカルパスの判定に直結します。用語だけでは分かりにくいため、実際には小さな図で位置関係を確認しながら覚えると、計算のときに取り違えにくくなります。結合点に付ける番号は、矢印の向きに沿って先行側が小さく、後続側が大きくなるように付けると、順序が追いやすくなります。

ネットワーク工程表の書き方|5ステップ

ネットワーク工程表を書く手順を、順を追って整理します。次の流れに沿って進めることで、抜け漏れを抑えられます。

  • 作業(タスク)を洗い出す。工事に必要な作業を具体的に書き出します。粒度が粗すぎると管理しにくく、細かすぎると煩雑になるため、管理したい単位で分けることがポイントです。
  • 作業の依存関係を整理する。各作業について、「どの作業が終わったら着手できるか」という先行・後続の関係を確認します。並行して進められる作業も、この段階で見分けておきます。
  • 所要日数を見積もる。各作業に必要な日数を見積もります。過去の類似工事の実績を参照し、条件によっては余裕を見込むと、見積もりの精度が高まりやすくなります。
  • アロー図を作成する。洗い出した作業と依存関係をもとに、矢印と結合点で図を描きます。前後関係が複雑になる箇所は、ダミーを使って正しく表現します。
  • 時刻を計算する。図の始点から順に最早開始時刻を求め(順行計算)、終点から逆にたどって最遅完了時刻を求めます(逆算)。これにより、各作業の余裕とクリティカルパスを判定する準備が整います。

作業の洗い出しと依存関係の整理は、図を描く前の準備として重要です。作業の洗い出しでは、工事全体を頭から順に追うだけでなく、完成状態から逆にたどって「これを終えるには何が必要か」と考えると、抜けを見つけやすくなります。依存関係の整理では、単に順番を並べるのではなく、「本当に前の作業が終わらないと着手できないのか」「一部を並行できないか」を確認しておくと、後で工期短縮を検討する際の余地が広がります。所要日数の見積もりは、担当者の経験だけに頼らず、過去の実績や関係者の意見をあわせて確認すると、精度が高まりやすくなります。

この手順のなかで、多くの人がつまずきやすいのが、アロー図の作成と時刻計算です。図を正しく描けているか、時刻計算の採用ルール(最大値・最小値)を取り違えていないかを、一つずつ確認しながら進めると安定します。特に、複数の作業が1つの結合点に集まる箇所や、ダミーで前後関係を整理した箇所は、計算の分かれ目になりやすいため、丁寧に見直します。図の作成や時刻計算を支援するツールを使う場合でも、仕組みを理解しておくと、出力された結果が妥当かどうかを自分で判断しやすくなります。

クリティカルパスとは|求め方(見つけ方)

クリティカルパスとは、工程の開始から完了までの経路のうち、所要時間が最も長い経路のことです。言い換えると、トータルフロート(余裕日数)がゼロの作業をつないだ経路であり、この経路上の作業が遅れると、工期全体がそのまま遅れます。クリティカルパス法(CPM)は、プロジェクトの最長経路に着目して工程を管理する、広く知られた手法です。建設に限らず、幅広い分野のプロジェクト管理で用いられています。

クリティカルパスを求める際に鍵となるのが、フロート(余裕)の考え方です。トータルフロートは、工期全体を遅らせずにその作業を遅らせられる余裕を指し、「後続イベントの最遅完了時刻−先行イベントの最早開始時刻−所要日数」で求められます。フリーフロートは、後続作業に影響を与えずに遅らせられる余裕で、「後続作業の最早開始時刻−当該作業の最早開始時刻−所要日数」で求められます。フリーフロートは、トータルフロート以下になります。トータルフロートがゼロの作業には余裕がなく、これらをつないだ経路がクリティカルパスです。

具体的な求め方を、簡単な作例で確認します(数値は説明のための作例です)。次の作業からなる工事を考えます。

作業 内容 先行作業 所要日数
A 準備 なし 3
B 経路1の前工程 A 5
C 経路2の前工程 A 4
D 経路1の後工程 B 6
E 経路2の後工程 C 8
F 仕上げ D・E 2

このとき、始点から終点まで、たどれる経路が枝分かれします。経路1(A→B→D→F)は3+5+6+2で16日、経路2(A→C→E→F)は3+4+8+2で17日です。所要時間が長いのは経路2で、これがクリティカルパスになります。経路2上の作業(A・C・E・F)はトータルフロートがゼロで、いずれかが遅れると全体の工期が延びます。一方、経路1上のDには余裕があり、その分だけ遅れても全体には影響しません。

もう少し丁寧に、時刻計算からたどってみます。順行計算では、始点を0として最早開始時刻を先へ進めます。Aは0で開始し3日で完了、Bは3で開始し8で完了、Cは3で開始し7で完了します。Dは8で開始し14で完了、Eは7で開始し15で完了します。Fの手前の結合点には作業DとEが集まるため、最早開始時刻はDの14とEの15のうち大きい方の15を採用します。Fは15で開始し17で完了し、これが最短工期17日です。

続いて逆算します。工期を17日として、終点から最遅完了時刻をさかのぼります。Fの最遅完了は17、最遅開始は15です。この15が、DとEの最遅完了時刻になります。Eは最遅完了15から所要8を引いて最遅開始7、Dは最遅完了15から所要6を引いて最遅開始9です。ここで各作業のトータルフロートを、最遅開始時刻から最早開始時刻を引いて求めると、次のように整理できます。

作業 所要日数 最早開始 最遅開始 トータルフロート
A 3 0 0 0
B 5 3 4 1
C 4 3 3 0
D 6 8 9 1
E 8 7 7 0
F 2 15 15 0

トータルフロートがゼロの作業はA・C・E・Fで、これらをつないだ経路がクリティカルパスです。BとDには1日ずつの余裕があることも読み取れます。なお、施工管理技士の試験などでは、このように各経路の合計日数を比べて最長経路を探す方法が、素早くクリティカルパスを見つける手立てとして使われています。作業数が多い場合は、順行・逆算で時刻を求めてからトータルフロートを計算する方法が確実です。

クリティカルパスの活用法|変更に強い工程管理へ

クリティカルパスを特定できると、工程管理の焦点が定まります。活用のポイントを整理します。

まず、重点管理の指針になります。クリティカルパス上の作業は遅れが工期に直結するため、人員や機材を優先的に配分し、進捗を細かく確認する対象になります。次に、工期短縮の検討に役立ちます。工期を縮めたい場合は、クリティカルパス上の作業を対象に短縮策を検討します。この経路以外の作業をいくら早めても、全体の工期は縮まりにくいためです。

進捗管理と遅延の早期把握にも有効です。クリティカルパス上の作業の進み具合を定期的に確認しておくと、遅れの兆候を早い段階でつかみやすくなります。逆に、余裕のある作業については、フロートの範囲内であれば全体工期に影響しないため、過度に急がせる必要がないという判断もできます。

フロートは、人員や機材の配分を考える材料にもなります。トータルフロートの大きい作業は着手の時期をずらす余地があるため、繁忙が重なる時期を避けて配置することで、山積みを平準化しやすくなります。クリティカルパス上の作業に資源を優先的に振り向け、余裕のある作業で調整するという考え方が、無理のない工程管理につながります。

見落としやすいのが、クリティカルパスは固定ではないという点です。施工計画は天候や資材、設計変更などさまざまな理由で変わり、作業日数や依存関係が変われば、トータルフロートも変化します。その結果、これまで余裕のあった経路が新たなクリティカルパスになることがあります。したがって、工程に変更が生じた際は、最早開始時刻・最遅完了時刻・トータルフロートを計算し直し、クリティカルパスがどこに移ったかを確認します。実務では、こうした再計算をExcelの関数や工程管理ツールに任せ、担当者は判断に集中するという進め方が現実的です。作業数が数十を超えると手計算の負担が大きくなるため、計算はツールに任せ、そのうえで結果をどう工程に反映するかという判断に力を注ぐことが、実務では効果的です。

工程表を「現場で使い続ける」ための共有と運用

ネットワーク工程表を正しく書き、クリティカルパスを求められるようになっても、それだけでは遅延対策として十分とはいえません。工程表は作成後も頻繁に更新されるため、最新の工程表が現場の全員に届き、同じ内容を見ながら作業できる状態を保てるかどうかが、遅延を防ぐうえで大きな要因となります。工程表を印刷して配る運用では、変更のたびに配り直しが発生し、現場に古い版が残ることも少なくありません。工程表を「作る」段階と同じくらい、「共有し、使い続ける」段階が重要になります。この共有・運用という観点で、eYACHOでできることを紹介します。

eYACHOは、株式会社MetaMoJiが株式会社大林組と共同開発し、2015年から提供している施工管理アプリです。紙の野帳と同じ手書き感覚で記録できることが特徴で、MM総研「建設業の施工管理支援アプリの利用動向調査(2025年12月)」では、ゼネコンでの利用シェアNo.1(19%)、スマートデバイスでの利用シェアNo.1(21%)を獲得しています(※1)(※2)。導入企業は900社、利用ユーザーは80,000にのぼります(※3)。

工程表の共有という観点で関連するのが、工程's連携です。eYACHOでは、工程管理システム「工程's Orario」で作成・更新された工程データを取得し、現場で使う日次の工程表に反映することができます(※4)。これにより、変更された施工計画を現場の作業間調整に遅滞なく反映しやすくなり、紙やExcelを介した転記の手間や転記ミスを抑えることが期待できます。現場では最新の工程表を手元の端末で確認できるため、確認のための移動を減らすことにもつながります。なお、工程's連携はスタンダード版以上で利用できます(※4)。

同じ工程表を複数人で確認・書き込みしたい場面では、Share機能が活用できます。eYACHOでは、同じ帳票や図面に複数の担当者が同時に書き込み、内容をリアルタイムに共有することができます(※3)。工程会議や朝礼で工程表を全員で見ながら調整したり、現場と事務所が同じ画面を見て意思疎通を図ったりする使い方に向いています。工程表を一方通行で配るのではなく、関係者が同じ最新版を見て合意形成できる状態をつくることが、認識のずれによる遅れを抑えることにつながります。

まとめ

ネットワーク工程表は、作業の前後関係と余裕を可視化し、遅れの影響を把握しやすくする工程表です。書き方は、作業の洗い出し、依存関係の整理、所要日数の見積もり、アロー図の作成、時刻計算という流れで進めます。そのうえでトータルフロートがゼロの作業をつないだ経路を特定すれば、クリティカルパスが分かります。クリティカルパスは重点管理や工期短縮の指針になりますが、工程の変更に応じて移動するため、変更のたびに求め直す姿勢が欠かせません。さらに、書き方の理解に加えて、最新の工程表を現場全員で共有し続ける運用まで整えることで、ネットワーク工程表とクリティカルパスの効果を現場で生かしやすくなります。

eYACHOは30日間の無料トライアルを提供しています(ベーシック版相当の機能が対象です)。ネットワーク工程表の共有や現場での工程管理を自社の現場でどこまで効率化できるか、まずは実際の運用に近い形でお試しください。導入に関するご相談は、公式サイトのお問い合わせ窓口で受け付けています。

よくある質問

  • Q. クリティカルパスとは何ですか?

    A. クリティカルパスとは、工程の開始から完了までの経路のうち所要時間が最も長い経路で、トータルフロートがゼロの作業をつないだ経路です。この経路上の作業が遅れると、工期全体がそのまま遅れます。重点的に管理すべき作業を見極める手がかりになります。

  • Q. トータルフロートとフリーフロートの違いは何ですか?

    A. トータルフロートは、工期全体を遅らせずにその作業を遅らせられる余裕です。フリーフロートは、後続作業に影響を与えずに遅らせられる余裕を指します。フリーフロートは、トータルフロート以下になります。クリティカルパス上の作業は、トータルフロートがゼロです。

  • Q. ネットワーク工程表とバーチャート工程表はどう使い分けますか?

    A. 全体の日程を一目で共有したい場面ではバーチャート工程表が分かりやすく、作業同士のつながりや遅れの影響、重点管理の対象を見極めたい場面ではネットワーク工程表が向いています。詳細な依存関係の分析はネットワーク工程表で行い、現場への周知はバーチャート工程表で行うという併用も可能です。

出典一覧

※1 株式会社MM総研「施工管理支援アプリは働き方改革関連法の適用後も導入が進み、建設業全体の利用率は4割強に上昇」 https://www.m2ri.jp/release/detail.html?id=710
※2 株式会社MetaMoJi「MetaMoJiの『eYACHO』がゼネコンで利用される施工管理アプリNo.1に」 https://metamoji.com/jp/news/20260325/
※3 株式会社MetaMoJi「施工管理アプリ eYACHO」公式サイト https://product.metamoji.com/gemba/eyacho/
※4 株式会社MetaMoJi「工程's連携|eYACHO活用情報」 https://product.metamoji.com/gemba/eyacho/topic/kouteiz.html
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【監修】eYACHO編集部

施工管理アプリ「eYACHO」は、タブレット1つで現場の記録・共有・管理を可能にし、施工管理から安全管理まで幅広い業務をサポートします。
本コラムでは、建設業界の課題解決やDX推進に役立つ情報や最新動向をお伝えします。

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