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新規入場者教育をデジタル化する方法|
多言語対応と動画活用で理解度を高める工夫

建設現場で働く人の入れ替わりが激しいほど、新規入場者教育の負担は重くなります。紙の資料を毎回作り直し、朝早く出勤して準備し、言葉の通じにくい外国人作業員にも同じ内容を伝える。この繰り返しに限界を感じている現場は少なくありません。

本記事では、新規入場者教育のデジタル化を「動画活用」と「多言語対応」という二つの軸で整理します。特に、多言語対応は翻訳ソフトを「介して伝える」ことではなく、手書きと図・写真で「見せて伝える」ことが本質だという視点でお伝えします。現場の生産性向上に取り組んできた知見をもとに、理解度と安全性を同時に高める実践策を解説します。

新規入場者教育をデジタル化する方法|多言語対応と動画活用で理解度を高める工夫

新規入場者教育とは何か。目的と法的根拠を整理する

新規入場者教育とは、建設現場に初めて入場する作業員に対して、現場の状況・危険箇所・作業の相互関係・現場独自のルールなどを伝える安全衛生教育です。慣れていない作業員が事故に遭わないよう、作業開始前に実施します。

法的な裏付けもあります。労働安全衛生規則第642条の3では、建設業の特定元方事業者(主に元請)に対して、新たに作業に従事する関係請負人の労働者へ現場の状況や作業相互の関係を周知させるため、場所や資料の提供などの措置を講じることを求めています(※1)。元請が自ら周知する場合を除き、関係請負人による教育を援助する立場が定められているわけです。

あわせて、労働安全衛生法第59条では、事業者に対して雇入れ時や作業内容を変更したときの安全衛生教育を義務付けています(※2)。下請会社が自社の作業員に対し、現場入場の前にあらかじめ行う教育は「送り出し教育」と呼ばれ、現場で実施する新規入場者教育と組み合わせて運用されるのが一般的です。

こうした教育が重視されるのは、現場に不慣れな時期に労働災害が集中しやすいためです。新たに入場した作業員の被災傾向が高いことは、建設業の安全管理の現場で広く指摘されてきました。だからこそ、入場直後の限られた時間で、いかに正確に・もれなく伝えるかが問われます。

なぜ今、新規入場者教育のデジタル化が求められるのか

背景には、建設業を取り巻く3つの変化があります。

1つ目は、働き方改革です。2024年4月から建設業にも時間外労働の上限規制が本格適用され、準備や事務作業の時間を圧縮する必要性が高まりました。毎日の朝礼資料や教育資料を紙で作り直す運用は、解決すべき大きな課題となります。

2つ目は、外国人作業員の急増です。建設業で働く外国人労働者は2024年10月末時点で17.8万人にのぼり、前年から22.7%増加しました(※3)。建設業就業者に占める割合は3.73%と全産業平均を上回り、在留資格別では技能実習が約6割を占めます。日本語の読み書きに不慣れな作業員へ、いかに確実に危険を伝えるかは、現場共通の課題になっています。

3つ目は、安全水準の維持です。建設業の死亡者数は令和5年(2023年)の確定値で223人と全業種で最多であり(※4)、全外国人労働者の死傷年千人率も2.77と前年から4.9%上昇しています(※4)。全業種で最もリスクの高い建設業において、いかに高い安全水準を担保し続けるかが強く求められています。

従来の紙ベースの教育には、準備に時間がかかる、担当者によって伝える内容にばらつきが出る、最新情報の反映が遅れる、外国人作業員に伝わりにくい、という弱点がありました。これらを一つずつ解きほぐし、教育の質を落とさずに効率化することがデジタル化の狙いです。

写真や動画の活用で理解度を高める工夫。「見せて伝える」教育設計

写真や動画の活用で理解度を高める工夫。「見せて伝える」教育設計

口頭や文章だけの教育は、聞き手の集中力や読解力に左右されます。写真や動画を使えば、危険な作業の手順や保護具の正しい使い方を、視覚的に分かりやすく示せます。視覚情報は記憶に残りやすく、経験の浅い作業員でも具体的なイメージを持ちやすくなります。

ただし、写真や動画なら何でも効果的というわけではありません。まずは動画の活用について、理解度を高めるためには、次の3点を押さえることが大切です。

  • ・ 目的を一つに絞る: 1本の動画で詰め込みすぎず、「この現場の危険箇所」「この作業の手順」など内容を限定する
  • ・ 短く区切る: 数分単位に分け、必要な箇所だけ繰り返し見られるようにする
  • ・ 自社・自現場のリアルを映す: 汎用的な解説動画より、その現場の実際の状況を映した教材のほうが、危険が自分ごとになる

一方で、写真の活用については動画とはまた異なる視点があります。。写真は単に「記録するためのもの」ではありません。現場の危険箇所をその場で記録し、その画像に手書きで丸囲みや矢印、注意書きを重ねれば、自社専用の教材がすぐにできあがります。日々の安全パトロールで欠陥箇所を撮影し、写真へ直接手書きで指示を書き込んで共有する。こうした記録の延長線上で、現場の実物をそのまま教材に変えていく発想が、理解度を一段引き上げます。

多言語対応の本質。「翻訳」より「手書きと図で伝える」

多言語対応というと、教材を各国語に翻訳することを思い浮かべがちです。もちろん翻訳資料は有効ですが、それだけでは限界があります。建設現場の専門用語や、その現場だけの細かいルールは、翻訳しても正確なニュアンスが伝わりにくいからです。言語の数だけ資料を作り、改訂のたびに全言語を更新するのも現実的ではありません。

そこで提案したいのが、「手書きと図で見せて伝える」というアプローチです。これは、紙の野帳をそのままデジタル化する発想にも通じる考え方です。

図面や現場写真の上に、危険な箇所を赤い丸で囲み、立ち入り禁止の方向に矢印を引き、簡単なイラストを添える。これは、どの国の言葉を母語とする作業員にも直感的に伝わります。文字に頼らず「見ればわかる」状態を作ることが、多言語対応の本質です。手書きであれば、相手の反応を見ながらその場で線や印を足すこともできます。

施工管理アプリ「eYACHO」は、こうした使い方に向いています。eYACHOにおいては、タブレットやスマートフォンの上で、紙と同じ感覚で手書き入力ができ、図面や写真へ自由に書き込めます。ポイントは、翻訳機能を介して伝えることではなく、言葉に依存しない伝え方を現場に根づかせることです。各国の労働習慣や文化的背景に配慮しながら、図と実例で示す。この積み重ねが、外国人作業員の安全と理解度を着実に高めます。

教育を「その場で全員に届ける」デジタルの実践

教材を作っても、現場の全員に正しく届かなければ意味がありません。ここでもデジタル化が効果を発揮します。

第1に、デジタルサイネージの活用です。朝礼や新規入場者への周知内容を大画面に投影すれば、紙を人数分印刷する必要がなくなります。eYACHOにおいては、作成した資料をデジタルサイネージと接続して映し出せます。eYACHOを導入した大林組の建築現場では、巨大なサイネージにキープランを映して朝礼を行っています。100名を超える大所帯でも、手元のタブレットでピンチアウトすれば拡大表示でき、後方からでもよく見えます。同現場では、複数の担当者がShare機能で同じ資料に同時に書き込み・分担して準備できるようになったことで、以前は約2時間かかっていた朝礼準備が、導入後は10〜20分まで短縮されました。教育や周知を「全員に同時に、見やすく」届ける有効な手段です。

第2に、ビデオ通話とリアルタイム共有による遠隔対応です。離れた事務所と現場をビデオ通話でつなぎ、同じ資料を見ながら説明・確認ができれば、送り出し教育や入場前の確認を遠隔で行えます。eYACHOにおいては、共有中のノートからそのままビデオ通話を始められる「GEMBA Talk」を使えば、図面や帳票に書き込みながらリアルタイムに情報共有を行えます。移動を前提としない教育・確認を可能にする機能です。

第3に、記録の電子化です。新規入場者教育で使う調査票やチェックシートをテンプレート化しておけば、現場名や日付などは一括で転記でき、毎回作り直す手間がなくなります。記入から署名、記録の保管までを電子で完結できれば、法令で求められる周知資料の準備や記録管理の負担も軽くなります。eYACHOにおいても、こうした帳票のテンプレート化や手書きでの記入・共有に対応しています。

教育の質を標準化する。KY活動と安全AIの活用

新規入場者教育は、担当者の経験や知識によって内容にばらつきが出やすい業務です。ベテランなら自然に拾える危険を、若手の担当者は見落とすかもしれません。

この経験差を補うのが、KY活動(危険予知活動)をAIが支援する仕組みです。eYACHOの安全AIソリューションは、MetaMoJiが2019年より大林組、および労働者健康安全機構の労働安全衛生総合研究所と進めた共同研究をもとに開発されました。21種類の安全関連法令と31種類の通達・ガイドラインをもとに、作業内容や現場の状況に応じて、関連度の高いリスクと対策を動的に抽出して提示する生成型のソリューションです。

教育の場で、その現場・その作業に潜むリスクをAIが示してくれれば、担当者の経験に左右されず、一定水準の危険予知を新規入場者へ伝えられます。属人的になりがちだった安全教育を標準化し、伝え忘れを防ぐうえで有効な選択肢です(安全AIソリューションはスタンダード版以上で利用できます)。

まとめ

新規入場者教育のデジタル化は、単に紙を電子に置き換えることではありません。動画で「見せて伝える」、手書きと図で言葉の壁を越える、サイネージや遠隔でも全員に確実に届ける、記録を電子で完結する、AIで教育の質を標準化する。これらを組み合わせることで、準備時間を減らしながら理解度と安全性を同時に高められます。

特に多言語対応では、翻訳資料をそろえる以前に、手書きと図・写真で直感的に伝える設計が効きます。紙の野帳をそのままデジタル化した発想をもつ施工管理アプリ「eYACHO」は、現場で手書きしながら図面や写真へ書き込み、その場で全員に共有できる点に強みがあります。新規入場者教育のデジタル化を検討する際の選択肢として、現場の実情に合うかをぜひ確かめてみてください。

施工管理アプリ「eYACHO」は、30日間の無料トライアルで操作感をお試しいただけます(無料トライアルはベーシック版相当のため、安全AIソリューションなどスタンダード版以上の機能は対象外です)。製品資料のダウンロードや導入のご相談も受け付けていますので、お気軽にお問い合わせください。

出典一覧

※1 e-Gov法令検索「労働安全衛生規則 第642条の3(周知のための資料の提供等)」 https://laws.e-gov.go.jp/law/347M50002000032
※2 e-Gov法令検索「労働安全衛生法 第59条(安全衛生教育)」 https://laws.e-gov.go.jp/law/347AC0000000057
※3 厚生労働省「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ(令和6年10月末時点)」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_50256.html
※4 厚生労働省「令和5年の労働災害発生状況を公表」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_40395.html
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【監修】eYACHO編集部

施工管理アプリ「eYACHO」は、タブレット1つで現場の記録・共有・管理を可能にし、施工管理から安全管理まで幅広い業務をサポートします。
本コラムでは、建設業界の課題解決やDX推進に役立つ情報や最新動向をお伝えします。

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