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トンネル・地下工事の施工管理ガイド|
通信環境が悪い現場でのアプリ活用法

トンネル坑内や地下、山間部の工事現場では、スマートフォンやタブレットが圏外になることが珍しくありません。クラウド前提のツールを持ち込んでも、通信が途切れた瞬間に図面が開けず、報告も止まってしまいます。一方で、紙に戻れば事務所での再入力という手戻りが増えるばかりです。

本記事では、通信が悪い現場でも施工管理を止めないための考え方を、現場目線で整理します。特に、見落とされがちな「オフライン対応の質」の見極め方、坑内と坑口での通信の使い分け、そして通信が確保できる場面での遠隔臨場の活用までを、制度と実例にもとづいて解説します。

トンネル・地下工事の施工管理ガイド|通信環境が悪い現場でのアプリ活用法

トンネル・地下工事で通信が途切れるのはなぜか

トンネルや地下といった閉鎖空間では、岩盤やコンクリート、鋼材によって電波が遮られます。掘削が奥へ進むほど坑口から離れ、携帯電波もWi-Fiも届きにくくなります。(また、余談にはなりますが、火薬を使ったトンネル工事の場合、デジタルデバイスの発する電波による発火装置の誤作動や引火の恐れがあることから、そもそも電波を発する機器類をトンネル内に持ち込めない事が一般的です。)施工の進捗に合わせて通信インフラを延伸し続けない限り、最先端の切羽付近は常に圏外に近い状態になりがちです。

この「通信環境が整わない」という条件は、制度の面でも前提として扱われています。国土交通省が推進する遠隔臨場の実施要領では、ウェアラブルカメラ等とWeb会議システムを用いて段階確認・材料確認・立会を行うとしつつ、通信環境が整わない現場や工種では受発注者間の協議のうえで適用・不適用を判断するとされています(※1)。つまり、トンネル坑内や地下は、オンライン前提の手法がそのままでは適用しづらい現場だと公的にも認識されているのです。

ここから導かれる結論はシンプルです。通信が悪い現場では、まず「通信が無くても現場の記録を残せること」を出発点に据える必要があります。通信改善は重要ですが、改善が完了するまで施工管理を止めるわけにはいきません。

通信が途切れると施工管理のどこが止まるのか

通信が途切れて困るのは、単に「メールが送れない」ことではありません。クラウド型の施工管理ツールでは、図面の閲覧やデータ同期そのものが遮断され、現場での作業が止まります。指示が伝わらずに手戻りが発生したり、確認が遅れて安全管理に影響したりするリスクが高まります。

特に問題になりやすいのが、情報の現場滞留です。坑内で気づいた是正点や検測値が端末の中だけにとどまり、地上へ戻るまで共有されないと、対応が後手に回ります。やむを得ず紙の野帳に書き戻すと、事務所での再入力という二重作業が生まれ、転記ミスや記録漏れの温床になります。

もう一つの課題は属人化です。オフライン時の運用が個人任せになると、「誰が最新のデータを持っているか」が曖昧になります。夜勤と昼勤で担当が入れ替わる現場では、引き継ぎの抜け漏れが事故や手戻りに直結しかねません。だからこそ、オフラインでも記録を残し、通信が戻った瞬間に確実に揃う仕組みが重要になります。

通信が悪い現場で選ぶべきアプリの3つの見極めポイント

「オフライン対応」とうたうアプリは増えましたが、その実力は一律ではありません。トンネル・地下現場で使うなら、次の3点を具体的に確認してください。

第一に、オフラインでどこまでできるかです。閲覧だけ可能なのか、それとも帳票の入力・写真の貼り付け・新規作成まで端末内で完結できるのかで、現場での使い勝手は大きく変わります。坑内で作業が止まらないためには、入力まで完結できることが望ましい条件です。

第二に、通信復帰時の同期方式です。電波が回復したときに、手動操作なしでサーバーへ同期されるか、複数人が同じ項目を編集した際の競合をどう扱うかを確認します。地下では一時的な通信断絶が頻発するため、自動でバックグラウンド同期される設計だと運用負担が下がります。

第三に、端末側にデータが保持されるかです。ブラウザ型のサービスはオフラインでは閲覧限定、あるいは利用不可になりがちです。端末ローカルに保存され、通信途絶でも入力データが失われない設計であれば、坑内・地下・橋梁下部のような現場でも作業を止めずに済みます。

オフライン施工管理に施工管理アプリ「eYACHO」が向く理由

前項の3点を踏まえると、トンネル・地下現場で候補になるのが施工管理アプリ「eYACHO」です。eYACHO は iOS・iPadOS・Windows・Android に対応するネイティブアプリで、オフラインを前提とした現場運用を想定して設計されています。

具体的には、ノート・帳票・図面の閲覧や編集、手書き入力、写真の貼り付け、新規作成までをオフラインで行えます。坑内で記録した内容は、電波が届く場所に戻った時点でサーバーと同期され、現場と事務所の内容が揃います。端末ローカルに保存されるため、通信が途絶しても入力データが失われにくいことも、過酷な現場での安心材料になります。

ここで正確に押さえておきたいのが同期の仕様です。ノート自体は自動で同期されますが、複数人で同じ紙面に書き込む Share(シェア)機能のうち、Share ノートとしての書き込みは、手動で「シェアレイヤーに移す」操作を行うことで同期されます。自動と手動の区別を運用ルールに落とし込んでおくと、現場間での認識のずれを防げます。

入力面では、手書きで帳票をその場で作成し、そのまま電子帳票として残せます。手書き入力システム「建設mazec」により、現場で使う専門用語も入力しやすく、キーボード操作が苦手なベテランの方でも扱いやすい設計です。図面に複数人で同時に書き込むと、書き込みはリアルタイムに反映され、坑内で気づいた是正点を関係者と素早く共有できます。

坑内はオフライン、坑口・屋外は衛星通信:通信の使い分け

トンネル・地下現場の通信は、「坑内」と「坑口・屋外」で分けて考えると整理しやすくなります。坑内は前述のとおりオフライン運用が前提です。一方、坑口付近や山間部の屋外まで出れば、衛星通信で圏外を補える場面があります。

eYACHO は au Starlink Direct に対応しており、これまで圏外だった山間部のダムや道路の工事現場でも、スマートフォンで利用できるようになりました。au Starlink Direct は、低軌道の Starlink 衛星とスマートフォンが直接つながり、空が見える環境であれば au の通信エリア外でもデータ通信ができるサービスです(※3)。坑口や屋外で衛星につながれば、Share 機能で報告書や指示をリアルタイムに共有でき、現場判断の迅速化が期待できます。

ただし注意点があります。衛星との直接通信は空が見えることが条件で、トンネル坑内・地下・建物内では利用できません(※3)。坑内はあくまでオフラインで記録し、坑口・屋外で衛星や通常回線につないで同期する、という運用が現実的です。なお、eYACHO の au Starlink Direct 対応は Android 版での利用で、ビデオ通話機能「GEMBA Talk」は対象外です(※同社プレスリリース)。「坑内=オフライン、坑口・屋外=衛星通信で補完」という使い分けを前提に組み立てるのが、通信が悪い現場での現実的な運用方法になります。

通信が確保できる場面で効く遠隔立会と、現場への定着の進め方

通信が確保できる場面まで視野を広げると、施工管理アプリの効果はさらに見えてきます。代表例が、発注者との遠隔立会です。eYACHO においては、NEXCO東日本(東日本高速道路)が Share 機能とウェアラブルカメラを組み合わせた遠隔立会を取り入れ、従来は約500時間以上かかっていた移動時間を約240時間まで削減しました。検測結果の記入から確認、その場での承認までを eYACHO 上で完結できる点が、移動時間の削減にとどまらない価値として評価されています。

これは、国土交通省が示すウェアラブルカメラとWeb会議システムを用いた遠隔臨場の考え方(※1)に沿った活用例でもあります。坑内のオフライン記録と、通信が確保できる立会場面での遠隔活用は別のレイヤーの話ですが、両方を押さえることで現場全体の効率が上がります。

最後に、トンネル・地下現場でアプリを定着させる進め方に触れます。まず、オフラインを前提とした運用ルール(どの帳票をオフラインで作成し、いつ同期するか)を最初に決めておくことが重要です。夜勤と昼勤の引き継ぎでは、坑内でオフライン入力した作業記録や申し送りを、電波復帰時に同期して共有すれば、抜け漏れを防げます。安全面では、毎日のKY(危険予知)活動の記録もオフラインで残せるため、通信の有無にかかわらず安全管理を継続できます。小さく1〜2現場で試し、運用が固まってから横展開するのが、過酷な現場での定着の近道です。

まとめ

トンネルや地下、山間部のように通信環境が悪い現場では、まず「通信が無くても現場記録を止めない」ことが施工管理の出発点になります。オフライン対応は、閲覧だけか/入力・写真・新規作成まで可能か/復帰時の同期方式かで実力が分かれます。坑内はオフラインで記録し、坑口・屋外では衛星通信や通常回線で同期する、という使い分けを前提に運用を設計することがポイントです。

施工管理アプリ「eYACHO」は、ネイティブアプリとしてオフラインでの入力・写真・新規作成に対応し、復帰時に自動同期する設計に加え、au Starlink Direct への対応や遠隔立会の実例まで備えています。通信環境が悪いトンネル・地下のオフライン施工管理を検討する際の、現実的な選択肢のひとつといえるでしょう。

出典一覧

※1 国土交通省 大臣官房技術調査課「建設現場における遠隔臨場に関する実施要領(案)(令和5年3月)」 https://www.mlit.go.jp/tec/content/001594449.pdf
※2 株式会社MM総研「建設業の施工管理支援アプリの利用動向調査(2025年12月)」(2026年3月12日公開) https://www.m2ri.jp/release/detail.html?id=710
※3 KDDI「au Starlink Direct(サービス・機能)」 https://www.au.com/mobile/service/starlink-direct/
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【監修】eYACHO編集部

施工管理アプリ「eYACHO」は、タブレット1つで現場の記録・共有・管理を可能にし、施工管理から安全管理まで幅広い業務をサポートします。
本コラムでは、建設業界の課題解決やDX推進に役立つ情報や最新動向をお伝えします。

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