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建設業で女性が活躍するための環境整備ガイド|
設備面と制度面のダブルサポート

建設業で女性活躍を進めるとき、多くの企業がまず思い浮かべるのはトイレや更衣室の整備です。しかし環境整備はそれだけでは完結しません。育児や介護と両立しながら働き続けるための制度面のサポート、そして見落とされがちな「働き方の土台」をどう整えるかまでが、女性の定着を左右します。

この記事では、建設業の女性活躍を「設備面」「制度面」のダブルサポートとして整理し、さらにもう一つの柱まで踏み込んで解説します。国の最新データや行動計画、2026年に施行された法改正といった一次情報をもとに、自社の環境整備の優先順位を考えるための実践的な視点をお伝えします。

建設業で女性が活躍するための環境整備ガイド|設備面と制度面のダブルサポート

建設業における女性活躍の現状|まず数字で押さえる

環境整備を考える前に、建設業で女性がどれだけ働いているのかを正確に押さえておきます。感覚ではなく数字から出発することで、自社が取り組むべき課題が見えてきます。

日本建設業連合会のまとめによると、建設業の就業者に占める女性の比率は2025年に18.4%となり、過去最高を記録しました(※1)。全産業の女性比率が同年45.8%であることと比べると、建設業はまだ女性が少ない産業だと分かります(※1)。女性就業者数そのものは2018年以降80万人台で推移し、2025年には88万人となりました(※1)。このうち施工管理や設計などを担う技術職は約5万人で、こちらも2002年以降で最も多い水準です(※1)。

職種別に見ると「入口」と「層の厚み」に差がある

業界全体の数字だけでは、女性がどの職種で働いているかまでは見えてきません。そこで、国土交通省が建設業・建設関連業の1,609社を対象に実施した令和6年度の実態調査から、企業単位の内訳を見てみます(※2)。

この調査に回答した1,609社の就業者268,234人のうち、女性は44,854人でした(※2)。職種別の内訳は次のとおりです(※2)。

  • ・ 技術者(施工管理・設計・測量等):169,181人中、女性16,898人
  • ・ 技能者(現場で施工に直接従事):14,834人中、女性363人
  • ・ 事務系(人事・営業・経理・現場事務等):64,752人中、女性24,781人

事務系では女性が4割近くを占めるのに対し、技術者では約1割、技能者に至っては363人と、現場の担い手として働く女性はまだ限られているのが実情です。とりわけ技能者は、1社あたりに換算すると1人に満たない計算になります。

一方、入口にあたる採用実績を見ると、違う景色が見えてきます。2024年度に採用された技術者7,808人のうち女性は1,559人、技能者734人のうち女性は41人でした(※2)。いずれも在籍者に占める女性の比率を上回っており、新たに迎え入れる段階では女性の割合が着実に高まっていることが分かります。

つまり課題は、入口の広さよりも、入職した女性が現場で働き続け、技術者・技能者としての層の厚みにつながるかどうかにあります。採用に力を入れるだけでは不十分で、入った後に働き続けられる環境をどう整えるかが問われている、というのがこの数字の読み方です。

この背景には、就業者の高齢化と深刻な人手不足があります。建設業の担い手を将来にわたって確保するうえで、女性が働きやすい環境を整えることは、もはや福利厚生ではなく経営課題です。女性が快適に働ける現場は、男性も含めた全員にとって働きやすい現場でもあります。

「女性活躍」から「女性定着」へ|国の行動計画が示す環境整備の方向性

建設業の女性活躍を語るうえで外せないのが、国と業界団体が共同で進めてきた行動計画です。実はこの10年で、施策の主語が静かに変わっています。

2014年、国土交通省と建設業5団体は「もっと女性が活躍できる建設業行動計画」を策定し、5年以内に女性の技術者・技能者を倍増させる目標を掲げました(※3)。その後2020年には、後継となる「女性の定着促進に向けた建設産業行動計画」が策定されています(※3)。

ここで注目したいのは、新しい計画が「女性活躍」ではなく「女性定着」という言葉を選んだ点です(※3)。これは「働きつづけられるための環境整備」に重点を置くことを示しています(※3)。入職を増やす段階から、入った女性が辞めずに働き続けられる段階へと、政策の重心が移ったのです。環境整備を考えるときも、「採用するための見せ方」ではなく「働き続けてもらうための実質」を優先する。この発想の転換が、本記事を貫く基本姿勢になります。

業界団体の取り組みも同じ方向を向いています。日本建設業連合会は、建設業で働くすべての女性の愛称を「けんせつ小町」と定め、現場の女子トイレや更衣室の整備を推進してきました(※4)。活動の焦点も「どう活躍するか」から「働き続けられるか」、さらに「多様な人材が働くために」へと広がっています(※4)。

設備面のサポート|ハード整備の現在地と次の課題

ここからは、環境整備の一つ目の柱である設備面(ハード)を見ていきます。女性が現場で働くうえで、設備の有無は入口の問題として大きく影響します。

国土交通省の行動計画では、トイレや更衣室などのハード面の整備が重点項目に位置づけられ、国の直轄工事では「快適トイレ」の設置が原則化されてきました(※3)。日本建設業連合会の取り組みでも、現場の女子トイレ設置は着実に進んでいます(※4)。かつては女性用トイレや更衣室がないこと自体が就業の壁でしたが、その状況は改善が進んできました。

整えておきたい設備面のポイント

現場で優先的に検討したい設備面のサポートは、次のように整理できます。

  • ・ 清潔で安心して使える女性専用トイレ(サニタリーボックスや洗面台の併設)
  • ・ 施錠できる女性用の更衣室・休憩スペース
  • ・ 女性の体格に合った作業服・安全保護具・工具の選択肢
  • ・ 暑熱・寒冷対策など、体力差に配慮した現場環境の工夫

残された課題は「波及」

ただし、設備面の整備には課題が残っています。それは、現場の種類や企業規模によって整備状況に大きな差があることです。

前述の国土交通省の調査では、女性が快適に利用できるトイレが「概ね整備されている」と回答した企業の割合は、国発注の公共工事で63%だったのに対し、民間工事では33%にとどまりました(※2)。更衣室はさらに差が大きく、国発注の公共工事で36%、民間工事では21%という結果です(※2)。また、就業者29人以下の企業では、民間工事でトイレが「概ね整備されている」と答えた割合は20%でした(※2)。

「自社の大規模現場は整っているが、協力会社が入る小さな現場では女性用トイレが確保できない」といったギャップは、多くの企業に共通する悩みです。設備面のサポートは、現場の規模や発注者を問わず一定水準を保てるかどうかが、これからの分かれ目になります。

制度面のサポート|両立を支える法制度と社内制度

二つ目の柱が制度面(ソフト)のサポートです。設備が整っても、出産・育児・介護といったライフイベントと両立できる制度がなければ、女性は働き続けられません。ここでは押さえておくべき法制度と、社内で整えたい制度を分けて見ていきます。

知っておきたい法制度の最新動向

まず女性活躍推進法です。この法律は、常時雇用する労働者が101人以上の企業に対し、自社の状況把握・課題分析、行動計画の策定・届出・公表などを義務づけています(100人以下は努力義務)(※5)。

そして2025年6月に成立した改正により、法律の有効期限が2036年3月31日まで10年延長されるとともに、2026年4月1日から情報公表の義務が強化されました(※5)。具体的には、101人以上の企業にも「男女間賃金差異」と「女性管理職比率」の公表が新たに義務づけられています(※5)。環境整備の成果が数字として外部に「見える化」される時代に入った、という点は経営層が必ず押さえておきたい変化です。

次に育児・介護休業法です。2025年の改正では、4月と10月の2段階で内容が施行されました(※6)。特に2025年10月からは、3歳以上小学校就学前の子を養育する労働者を対象に、始業時刻の変更・テレワーク・短時間勤務などの選択肢から2つ以上の措置を講じる「柔軟な働き方を実現するための措置」が義務化されています(※6)。あわせて、子が3歳になるまでの適切な時期に、働き方の意向を個別に聴取し配慮することも義務づけられました(※6)。これらは女性に限らず、育児期のすべての労働者を支える制度です。

社内で整えたい制度

法定の制度をベースに、現場の実態に合わせて自社の制度を上乗せすると、定着効果はさらに高まります。建設業の現場で効果が期待できる制度面のサポートには、次のようなものがあります。

  • ・ 育児休業・時短勤務からの復職をスムーズにする復職支援
  • ・ 経験豊富な先輩が伴走するメンター制度や相談窓口
  • ・ 管理職や専門職へのキャリアパスを明示するキャリア設計
  • ・ 育児等に配慮・理解のある上司(イクボス)を増やす意識改革

国の行動計画でも、女性定着の出発点として上司や同僚の意識改革が最初の項目に挙げられています(※3)。制度を作るだけでなく、それを使いやすい雰囲気を職場につくることが、制度面のサポートを機能させる鍵になります。

見落とされがちな第3の柱|「働き方の土台」としての業務効率化

設備面と制度面を整えても、現場の働き方そのものが変わらなければ、両立は難しいままです。ここで多くの記事が触れない第3の柱を提案します。それが「業務効率化による働き方の土台づくり」です。

建設業は長時間労働が常態化してきた産業です。2024年4月からは、建設業にも時間外労働の罰則付き上限規制が適用され、原則として時間外労働は月45時間・年360時間が上限となりました(※7)。これに違反すると、使用者に6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があります(※7)。いわゆる「建設業の2024年問題」です。

長時間労働の大きな要因の一つが、「現場で紙に書いた情報を、事務所に戻ってからパソコンに入力し直す」という二度手間です。この持ち帰り作業が残るかぎり、育児や介護で時間に制約のある人ほど働きづらくなります。逆に言えば、業務を現場で完結させて残業と持ち帰りを減らすことは、女性に限らず誰もが両立しやすい現場をつくる土台になります。設備・制度に加えて、この「働き方の土台」まで一体で考えることが、環境整備を本当に機能させるポイントです。

業務効率化を支える施工管理アプリの例|eYACHOの場合

ここからは、業務効率化を担うツールの具体例として、施工管理アプリ「eYACHO」を取り上げます。以下はすべてeYACHOのサービス固有の説明であり、一般論ではない点にご注意ください。

eYACHOは、株式会社MetaMoJiが大林組と共同開発した施工管理アプリで、2015年に提供を開始しました。iOS・iPadOS・Windows・Androidに対応し、導入企業は900社、利用ユーザーは8万に達しています。MM総研の2025年12月の調査では、ゼネコンでのシェアNo.1(19%)、スマートデバイスでのシェアNo.1(21%)となっています。

eYACHOでは、紙の野帳と同じ感覚でタブレットに手書きでき、現場で帳票をそのまま電子化して完結させることができます。手書きテキストの入力には、建設業向けの専門用語に対応した建設mazec(手書き入力システム)が用意されています。これにより、事務所に戻ってからの再入力という持ち帰り作業を減らせるため、残業削減につながりやすい構造です。入力した値を他の帳票に転記することもできます。

複数人での情報共有を支えるのがShare機能です。eYACHOにおいては、同じ図面や帳票に複数人がリアルタイムで同時に書き込めるため、現場と事務所が同じ紙面を見ながら作業を分担できます。実際に大林組の現場では、Share機能の活用により朝礼準備の時間が約2時間から10〜20分に短縮されました。

現場と事務所をつなぐビデオ通話機能としては、GEMBA Talkがあります。eYACHOでは、このGEMBA Talkによって遠隔臨場(遠隔立会)を支えることができ、発注者との立会や打ち合わせのための移動を減らせます。移動が減れば、時間に制約のある人でも現場業務に関わりやすくなります。東日本高速道路(NEXCO東日本)の遠隔立会の事例では、Share機能とウェアラブルカメラとeYACHOの活用により、移動時間が約500時間から240時間に削減されました。

若手の現場監督やベテランの支援という観点では、eYACHOの安全AIソリューションがあります。これは21種類の安全関連法令と31種類の通達・ガイドラインをもとに、現場の状況に応じてリスクと対策を動的に抽出するもので、KY活動の見落とし防止を支援します。経験の浅い人材を補い、技術伝承の難しさをやわらげる役割が期待できます。なお安全AIソリューションはスタンダード版以上が対象で、無料トライアルでは利用できない点にご注意ください。

費用面では、eYACHOのベーシック版は1人あたり月額3,520円・年額31,680円(いずれも税込)で、最小5ライセンスから導入できます。初期導入費は330,000円(税込・初年度のみ)です。導入前には、eYACHOを30日間の無料トライアルで試すことができます。自社の環境整備に業務効率化を組み込みたい場合の選択肢の一つとして検討するとよいでしょう。

環境整備を進める3ステップ|設備・制度・働き方を一体で

最後に、設備面・制度面・働き方の土台を一体で進めるための手順を整理します。一度にすべてを変える必要はありません。優先順位をつけて段階的に進めるのが現実的です。

  • 現状把握:女性の在籍状況・離職理由・設備の有無・制度の利用実態を棚卸しし、自社の課題を可視化します。女性活躍推進法で求められる状況把握とあわせて行うと効率的です。
  • 優先順位づけ:設備(トイレ・更衣室)、制度(両立支援)、働き方(業務効率化)のうち、自社で最も離職につながっている要因から着手します。
  • 小さく始めて定着させる:一つの現場や部署で試し、効果を数値で確認してから横展開します。国や自治体の補助金・助成金を活用すると、設備整備や働き方改革の初期負担を抑えられます。

この3ステップを回すことで、「採用のための見せかけ」ではなく「働き続けられる実質」を備えた環境整備に近づきます。

まとめ

建設業で女性が活躍するための環境整備は、トイレや更衣室といった設備面のサポートと、女性活躍推進法や育児・介護休業法に対応した制度面のサポートのダブルサポートが基本です。さらに、長時間労働や持ち帰り作業を減らす「働き方の土台」としての業務効率化まで一体で進めることで、女性の定着は大きく前進します。

国の政策の主語はすでに「女性活躍」から「女性定着」へと移り、2026年4月の法改正で環境整備の成果は「見える化」される時代になりました。設備・制度・働き方の3つの柱を自社の課題に合わせて優先順位づけし、小さく始めて定着させる。その積み重ねが、女性にとっても、そして建設業で働くすべての人にとっても、働き続けられる現場をつくります。

業務効率化の観点から働き方の土台づくりを検討する際は、現場で帳票を完結できる施工管理アプリ「eYACHO」の資料ダウンロードや、30日間の無料トライアルから始めてみてください。

出典一覧

※1 一般社団法人日本建設業連合会「建設業デジタルハンドブック 建設業の現状/4. 建設労働(就業者中に占める女性の比率・女性就業者数の推移。2026年6月更新)」 https://www.nikkenren.com/publication/handbook/chart6-4/index.html
※2 国土交通省「令和6年度 建設産業における女性定着促進に関する実態等調査結果(アンケート調査)資料3」(職種別就業者数・採用実績は12ページ、トイレ・更衣室の設置状況は32〜33ページ) https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/content/001843500.pdf
※3 国土交通省「女性の定着促進に向けた建設産業行動計画~働きつづけられる建設産業を目指して~」 https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/001761677.pdf
※4 一般社団法人日本建設業連合会「けんせつ小町とは」 https://www.nikkenren.com/komachi/overview.html
※5 厚生労働省「女性活躍推進法特集ページ」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000091025.html
※6 厚生労働省「育児・介護休業法 法改正のポイント(育児休業制度特設サイト)」 https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/ryouritsu/ikuji/law-amendment/
※7 厚生労働省「建設業・ドライバー・医師等の時間外労働の上限規制」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/gyosyu/topics/01.html
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【監修】eYACHO編集部

施工管理アプリ「eYACHO」は、タブレット1つで現場の記録・共有・管理を可能にし、施工管理から安全管理まで幅広い業務をサポートします。
本コラムでは、建設業界の課題解決やDX推進に役立つ情報や最新動向をお伝えします。

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