ここで、現場経験を踏まえた独自の視点として強調したいことがあります。それは、「いきなり全社一気通貫の統合システムを目指すと、ほぼ確実に定着しない」という現実です。
建設業界には、まだITに不慣れな現場が多く存在します。そのなかで、案件管理・原価管理・工程管理・受発注などをすべて一つの統合システムに乗せ換える「全体最適」を目指すと、現場が新しい業務フローについていけず、形骸化するケースが少なくありません。
逆に成果が出やすいのは、「個別最適」から始める段階的アプローチです。具体的には、次のような順序で進めます。
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1. まず、現場担当者一人が完結できる業務(日報・KYシート・写真記録)からデジタル化する
:紙やExcelで書いていたものを、現場のスマホ・タブレットでそのまま入力できる状態にする。これだけで「事務所に戻ってから打ち直す時間」がゼロになる
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2. 次に、現場と事務所、現場と協力会社の情報共有をリアルタイム化する
:同じ図面・帳票を複数人で同時に見て書き込める仕組みにし、電話やFAX、紙の往復をなくす
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3. 最後に、蓄積されたデジタルデータを集計・分析し、全社的な工程管理・原価管理に発展させる
:個別最適で蓄積したデータが、全体最適の土台になる
この順序を逆にして、「全体最適のシステムから入る」と、現場が入力してくれずデータが集まらず、結果として全体最適も達成できないという悪循環に陥ります。
大林組と共同開発された施工管理アプリ「eYACHO for
Business」(以下、eYACHO)は、まさにこの「個別最適から始める」発想で設計されたツールです。紙の野帳と同じ感覚でペンによる手書き入力ができ、現場担当者一人ひとりが事務所に戻らず現場で書類を完結できることを第一の目標としています(※本稿のための独自取材による)。