【この記事でわかること】
- ・ 電子小黒板の基本理解
- ・ 従来黒板との具体的な違い
- ・ 現場・事務の業務効率化ポイント
- ・ 導入時の注意点と運用ルール
- ・ eYACHO活用による業務改善
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【この記事でわかること】
建設業界では、現場の人手不足や長時間労働への対応が急務となっています。こうした中、現場の負担を減らし、写真整理や納品まで一気通貫で業務を効率化できるツールとして「電子小黒板」が注目されています。本記事では、電子小黒板の基本からメリット、導入時の注意点を整理しました。
建設現場での写真撮影や情報管理をデジタルで支えるのが「電子小黒板」です。従来の手書き黒板が持つさまざまな課題を解消し、現場作業の流れを大きく変えています。ここでは、まず電子小黒板の基本と、従来の工事黒板との違いを整理します。
手書き黒板では、撮影のたびに「工事名」「工種」「位置」などを黒板へ書き直し、さらに設置や保持にも人手が必要でした。現場では、黒板やチョーク、カメラなど多くの機材を持ち運ぶ必要があり、負担やミスがつきものです。一方、電子小黒板では、黒板のひな形を事前登録しておくことで、現場では必要な項目を選択するだけで使えます。
端末の画面上で黒板情報を重ねて記録できるため、設置スペースや逆光の問題も減らせます。機材の数もぐっと少なくなり、現場作業の効率が大きく向上します。
電子小黒板を導入することで、現場監督や施工管理者の日々の業務がどう変わるのでしょうか。ここでは、現場視点から見た5つの主なメリットを解説します。
従来の現場では、写真撮影のたびに黒板へ手書きで工事名や位置、工種などを記入し、書き直しやミス修正も頻繁に発生していました。電子小黒板では、よく使う項目をテンプレート化したり、一度作成した黒板をコピーして使い回せます。そのため、「しゃがんで書く」「何度も書き直す」といった作業が大幅に減ります。結果として、撮影自体に集中しやすくなり、現場全体の流れを止めずに作業を進めやすくなります。
電子小黒板は、タブレットやスマートフォンに黒板とカメラの機能がまとまっています。従来のように複数の黒板やチョーク、カメラなどを現場で持ち歩く必要がなくなり、荷物の量を大きく減らせます。特に足場や斜面など移動の多い現場では、身軽になることで安全性と作業効率の両方が高まります。
手書き黒板では、日差しの反射や雨で文字が読みづらくなることが多く、調整や撮り直しが頻発していました。電子小黒板なら、画面上の黒板が写真に合成されるため、逆光で板面が白く飛ぶ・雨でチョークがにじむといったトラブルを避けやすくなります。「黒板に影を作る」「何度も角度を調整して撮り直す」といったムダな作業も削減できます。
従来は、黒板を持つ人とカメラを構える人が二人一組になる場面が多く、職人の手を止めたり撮影待ちが発生したりすることも珍しくありませんでした。電子小黒板は、画面上で黒板の位置を調整できるため、撮影者一人で完結しやすくなります。人手が限られた現場や、他の作業を止めたくない場面でも、スムーズに記録を進められます。
電子小黒板では、入力した工種・撮影箇所・撮影日などの情報が写真の属性情報として保存されます。そのため、後工程での写真整理や台帳作成が自動化しやすくなり、事務所での残業削減につながります。国交省の電子納品基準に対応したソフトを使えば、納品データの作成もスムーズです。
メリットが多い電子小黒板ですが、現場での運用にはいくつかのハードルや注意点も存在します。導入時に困らないためのポイントを整理します。
電子小黒板の導入には、アプリやサービスの利用料金だけでなく、タブレットやケース、通信環境などの初期投資が必要です。一方で、黒板や写真印刷などの消耗品コスト削減や残業時間の減少といった効果も期待できます。全体での費用対効果を考える視点が欠かせません。
スマートフォンやタブレットの操作が苦手な方は、導入初期に戸惑うこともあります。社内でトライアル期間を設けたり、操作マニュアルやオンラインセミナーを活用することで、現場スタッフの不安を和らげる工夫が有効です。キーマンとなる現場監督や代理人から段階的に進める方法もおすすめです。
長時間の現場利用ではバッテリー切れや端末故障も想定しておく必要があります。モバイルバッテリーや予備端末の準備、落下や雨天対策としてのケース・防水グッズの用意など、現場環境に合った対策を導入前に検討しましょう。
撮影後に画像編集ソフトで黒板情報を合成する行為は、工事写真の信頼性を損なう大きなリスクです。国土交通省の基準では、改ざん検知機能を持つソフトの利用が推奨されており、公共工事では後付け編集が原則認められていません。必ず撮影時に正しい黒板情報を表示する運用を徹底しましょう。
公共工事で電子小黒板を安心して使うには、基準や運用ルールの理解が不可欠です。ここでは、押さえておきたいポイントを解説します。
電子小黒板には、J-COMSIA(施工管理ソフトウェア産業協会)が検定した「改ざん検知機能」「小黒板情報連携機能」を備えたソフトを選ぶと安心です。認定ソフトであれば、電子納品データとしての信頼性が確保しやすく、発注者への説明もスムーズです。
「撮影時に電子小黒板を必ず表示する」「後付け編集を行わない」など、最低限のルールを現場で明文化しておくことが大切です。現場代理人・監督・事務担当が、どの現場で使うか、どのソフトを標準とするか、電子納品データの作成フローを事前に決めておくことで、トラブルを防ぎます。
電子小黒板アプリやクラウドサービスは多様ですが、自社に合ったものを選ぶ視点をまとめます。
iOS(iPad)、Windows、Androidなど、使用端末やOSの違いによって機能や使い勝手が異なります。すでに社内で使っている端末との相性や、現場での持ち運びやすさを考慮して選びましょう。
入力した情報をもとに写真の自動整理や台帳自動作成ができるか、また国交省の電子納品形式やJ-COMSIA認定の有無をチェックすることが大切です。これらに対応していれば、公共工事でも安心して利用できます。
BoxやDropboxなどのクラウドストレージや、工程管理・図面管理ツールとの連携が可能かも重要な比較ポイントです。連携できることで、写真や帳票のデータを一元管理しやすくなり、社内の情報共有もスムーズになります。
eYACHOは、タブレット一台で「書く・撮る・伝える」を完結できる現場向けアプリです。その中には電子小黒板付き工事写真機能が標準搭載されており、CSVファイルをインポートして黒板データを一括生成することも可能です。
現場ごとの黒板ひな形を効率よく準備でき、撮影した工事写真は自動整理機能で分類され、そのまま工事写真台帳の作成やデータ出力まで行えます。J-COMSIAの
「デジタル工事写真における信憑性確認(改ざん検知機能)」および「小黒板情報連携機能」に関する検定に合格しており、公共工事の電子納品でも安心して活用できます。
また、eYACHOは図面ピン機能やレイヤー機能、Share機能・GEMBA
Talkなど、工事写真以外でも、現場の業務効率化が可能な機能が搭載されています。「電子小黒板だけ」のツールではなく、現場全体のDX推進に適した選択肢です。
J-COMSIAが実施するデジタル工事写真の「信憑性確認(改ざん検知機能)検定」、「小黒板情報連携機能検定」に合格
ここまで紹介したように、電子小黒板の導入で解決できる代表的な例としては、以下3つです。
自社の課題が「現場の負担が大きい」「事務所作業が逼迫している」「公共工事の比率が高い」など、どこにあるかを明確にし、優先度の高い現場からトライアル導入を始めるのが効果的です。
単機能の電子小黒板アプリと、eYACHOのように施工管理全体をカバーする多機能ツールを比較しながら、資料請求や無料トライアルで自社に合うサービスを探しましょう。現場と事務の未来を前に進める一歩を、ぜひ踏み出してください。