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建設業の品質管理とは?
現場で実践するポイントと業務効率化のヒント

建設業の現場では、安全で信頼できる建物やインフラを完成させるために「品質管理」がとても重要です。しかし、工期やコストのプレッシャーの中で、品質の大切さが見過ごされてしまうことも少なくありません。本記事では、建設業における品質管理の基本から、現場でよくあるトラブルの事例とその対策、さらに業務効率化につながる最新のデジタルツールの活用方法まで、初めて品質管理に携わる方にもわかりやすく解説します。

建設業における品質管理の基本

建設業における品質管理は、単なる検査や確認作業ではありません。建物やインフラを安全に、設計通りに仕上げるための根本的な活動です。現場の安全性や耐久性、そして使いやすさといった要素も品質管理の中で守られています。また、品質管理は工程管理、原価管理、安全管理と並ぶ重要な管理業務のひとつです。

建設プロジェクトは、多くの企業や職人が集まる複雑な現場です。設計図や仕様書通りに仕上げるためには、現場に関わるすべての人が同じ品質目標を持ち、協力し合う必要があります。工期やコスト、安全面にも配慮しつつ、品質基準をきちんと守ることが、現場の信頼や企業の評価にもつながっていきます。

品質管理の役割とは

品質管理の主な役割は、設計図や仕様書で決まっている基準に従って工事が進んでいるかを常に管理・確認することです。たとえば、現場では使う材料の種類や性能が基準を満たしているか、施工方法が正しいかをその都度チェックしています。

さらに、安全性や長期間使い続けられる耐久性、そして利用者の立場に立った機能や快適性も重視します。ただ図面通りに仕上げるだけでなく、実際に使う人が「安全で安心して利用できるか」という視点を持つことが、品質管理に欠かせません。

施工管理との関係性

品質管理は「4大管理」と呼ばれる主要な管理業務の一つで、工程管理・原価管理・安全管理と密接に連携しています。たとえば、品質管理が不十分でミスや手抜き工事が発生すれば、工期が遅れたり追加コストがかかったりします。逆に、無理なスケジュールや過度なコスト削減が、品質低下につながることもあります。

そのため、単に工事を早く・安く終えるだけでなく、決められた品質基準を維持しながら進めることが現場管理の大切なポイントです。

品質管理の具体的な流れ

建設現場で品質管理を行うには、始まる前の準備から工事の完了まで、段階ごとに様々な取り組みがあります。それぞれのポイントを確認していきましょう。

着工前の確認事項

工事が始まる前には、まず設計図や仕様書の内容を、発注者・設計者・施工者など全ての関係者でしっかり確認し、品質基準や検査項目を共通認識として持ちます。これが施工計画書としてまとめられ、プロジェクトの基本方針となります。

さらに、工事に使う材料についても、種類・数量・性能が仕様に合っているかを事前にチェックします。たとえば、メーカーの品質証明書や試験成績表を確認し、問題があれば現場に搬入される前に防止します。

また、協力会社や作業員に向けた説明会を開き、品質基準や作業手順、注意事項をしっかり共有します。こうした事前の準備によって、現場全体が同じ目標に向かえる環境を整えることができます。

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施工中の品質確保ポイント

工事が始まった後も、各工程で品質を守るための工夫が続きます。もっとも重要なのが、工程ごとに行う中間検査や立会い検査です。たとえば、鉄筋の配筋が終わった段階でコンクリートを流す前に、その精度をチェックします。コンクリートで覆ってしまうと見えなくなる部分は、ここでしっかり確認する必要があります。

もし不具合が見つかった場合は、その場ですぐに修正や再確認を行い、是正内容を記録として残します。また、工事記録や作業写真も工程ごとに撮影し、品質の証拠として保管します。

さらに、毎朝の朝礼や定例ミーティングで、品質に関する注意事項やヒヤリハット(ヒヤッとした事例)をチーム全体で共有し、トラブルを未然に防ぎます。

参考:国土交通省「公共事業の品質確保のための 監督・検査・成績評定の手引き」
https://www.mlit.go.jp/common/001068230.pdf

完成時の品質確認

工事がすべて終わったあとも、品質管理の仕事は続きます。引き渡し前には、自主検査や社内検査を徹底し、設計図通りの寸法や仕上がり、指定された材料が正しく使われているかを細かくチェックします。

その後、検査記録や工事写真、試験結果などの資料を整理し、発注者や監督官庁に提出する報告資料としてまとめます。完成後の竣工図書も作成し、工事が基準通りに完了したことを正式に証明します。

現場でよくある品質トラブルとその対策

どんなにしっかり準備しても、現場ではさまざまな品質トラブルが起こることがあります。主なトラブルとその対策方法を整理しておきます。

設計図との食い違い

設計図や仕様書の読み間違い、内容の確認不足などが原因で、寸法や材料の間違いが発生しやすいものです。また、関係者間の連携が不十分な場合にもトラブルが増えます。

こうしたミスを防ぐために、着工前には関係者全員で図面の内容を再確認し、説明会や合同読会を開きます。複数人でダブルチェックを行い、チェックリストを使って確認作業を標準化することも効果的です。

材料・資材の品質不良

搬入された資材の品質に問題があったり、規格外のものが使われてしまうケースも少なくありません。これは、受入検査が不十分だったり、証明書類の確認が漏れることが原因です。

資材搬入時には品名や規格、数量、性能を伝票や証明書と現物で照合し、必要に応じて受入検査や抜き取り試験を行います。不良品を見つけた場合は、すぐに交換や原因調査を行い、記録を残します。

作業手順や工法ミス

作業員の経験不足や、マニュアル・手順書が未整備な場合にもミスが起きがちです。さらに、無理な工期や監督者の指示不足も影響します。

作業標準書やマニュアルを整備し、工程ごとにチェックリストを活用して作業内容を確認・記録します。万が一ミスが起きた場合は、迅速に是正し、原因を分析して再発防止策を現場全体で共有します。

品質管理に求められるスキルと資格

現場の品質管理を支えるのは、制度や仕組みだけでなく、担当者一人ひとりのスキルや資格です。ここでは、特に重要となる能力や資格を紹介します。

現場管理のマネジメント力

品質管理は、単に確認作業をこなすだけでなく、現場全体をまとめ上げるマネジメント力も求められます。チームに品質目標をしっかり共有し、工程や現場の状況に合わせて柔軟に対応できる能力が大切です。

コミュニケーション能力

職人や協力会社、設計者、発注者など立場の異なる人とやり取りし、円滑に連携するためのコミュニケーション力も欠かせません。「報告・連絡・相談」を丁寧に行い、情報の行き違いやトラブルを防ぎます。

写真撮影・記憶力

工事写真は品質を証明する大切な記録です。工程ごとに証拠写真を撮影し、図面や帳票とあわせて「品質管理台帳」としてしっかり整理します。後から誰が見ても分かるように、分かりやすい写真や記録を心がけます。

主な資格

品質管理のスキルを客観的に証明するには、下記のような資格が役立ちます。

資格名 特徴・内容
建築施工管理技士 建設工事の施工管理全般に関する国家資格
土木施工管理技士 土木分野の施工管理を証明する資格
管工事施工管理技士 管工事分野の施工管理資格
建築士 設計や建築基準法に精通した専門資格
コンクリート技士 コンクリートに特化した品質判断ができる資格
品質管理検定(QC検定) 統計的手法や体系的な品質管理を学べる資格

特に「品質管理検定(QC検定)」は、建設業界以外でも使われる品質管理の基礎知識が学べるため、近年注目されています。統計的な手法を活用し、経験だけに頼らない科学的な品質管理が推進されています。

品質管理を効率化するには?デジタルツール活用のすすめ

人手不足や働き方改革の影響で、現場の品質管理にもITやデジタル化の波が押し寄せています。紙の帳票やデジカメ写真、手作業での記録整理など、従来の方法ではどうしても手間やミスが増えがちです。そこで注目されているのが、デジタルツールの導入です。

品質管理アプリやクラウド活用

最近では、建設現場専用の品質管理アプリやクラウドサービスが多く登場しています。たとえば、現場で撮影した写真や検査記録を、そのままクラウドに保存し、関係者全員がリアルタイムで共有できるサービスもあります。

このようなツールを使えば、報告書作成や記録整理の負担が大幅に減り、情報伝達のミスや確認漏れも防げます。また、データは一元管理されるため、トラブル発生時の振り返りや検索もスムーズです。

eYACHO(イーヤチョウ)の特長

デジタルツールの中でも特に注目されているのが「eYACHO(イーヤチョウ)」です。eYACHOは、図面・写真・報告書をタブレット一台でまとめて管理でき、現場での作業効率を大きく高めます。

  • ・ 図面上に撮影した写真を直接貼り付けたり、手書きメモを追加したりできる
  • ・ 現場で記録した情報を、協力会社や発注者ともリアルタイムで共有できる
  • ・ 画像認識AIによる帳票の半自動作成や自動計算でミスが減る
  • ・ 多くの導入事例があり、操作も直感的で分かりやすい
eYACHOの特長

IT活用で現場の業務が変わる

ITツールを導入すると、紙ベースの作業が減り、現場や事務所での報告作業の負担も軽くなります。ペーパーレス化やリアルタイム情報共有によって、担当者はコア業務に集中できるようになります。

また、最近のツールは使いやすさも重視されていて、ITが苦手な職人や担当者でもスムーズに利用できるよう設計されています。多くのサービスで無料トライアルやオンラインセミナーも用意されているので、まずは現場で試してみるとよいでしょう。

IT活用は単なる効率化だけでなく、現場での情報の透明性や信頼性を高める点でも大きな効果があります。たとえば、データがリアルタイムで共有されることで、情報の改ざんや隠蔽といったリスクを大きく減らすことができます。

現場で活きる品質管理を始めてみよう

建設業の品質管理は、一度学んだら終わりではなく、日々現場で実践しながら磨いていくものです。まずは、この記事で紹介した基本や具体的な手順を、自分の現場で実践してみることが大切です。

現場ごとに異なる課題や状況に合わせて、チェックリストを工夫したり、ITツールを積極的に導入することで、品質向上と業務効率化の両方を実現できます。

もし品質管理や業務効率化に興味があれば、「eYACHO」のようなデジタルツールの資料ダウンロードや体験版を活用してみてください。品質向上は現場の安全や信頼性に直結し、働く人の負担も軽くなります。

一歩ずつでも新しい取り組みを始めてみることで、現場や企業全体のレベルアップにつながります。

現場の品質管理や業務効率化でお困りの方へ。図面・写真・報告書を一括管理できる「eYACHO」は、現場の記録や情報共有を簡単・スピーディーにします。無料トライアルや資料ダウンロードも受付中なので、ぜひ一度体験してみてください。

▼無料トライアルはこちら https://mps.metamoji.com/mmjTrialLicenseWeb/customer/ja/trialentry.html?pid=TRIAL_EYACHO
eYACHOのアイコン

【監修】eYACHO編集部

施工管理アプリ「eYACHO」は、タブレット1つで現場の記録・共有・管理を可能にし、施工管理から安全管理まで幅広い業務をサポートします。
本コラムでは、建設業界の課題解決やDX推進に役立つ情報や最新動向をお伝えします。

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