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i-Construction 2.0とは?建設現場の新時代を形づくる動きを解説

i-Construction 2.0は、日本の建設業界に新しい時代をもたらす国家的な取り組みです。国土交通省が主導し、深刻な人手不足や自然災害の激甚化、インフラ老朽化といった複数の課題に対応するため、「建設現場のオートメーション化」を柱としています。

ここでは、なぜi-Construction 2.0が必要なのか、どのような取り組みが進んでいるのか、そして働き方や現場がどのように変化するのかを、専門用語をできるだけ避け、分かりやすく解説します。

i-Construction 2.0の概要と背景

i-Construction 2.0は、建設現場の生産性アップや働く人の負担軽減、デジタル技術の活用をめざして、国が推し進めている新しい動きです。この取り組みが始まった背景には、日本全体が抱える深刻な社会課題が関係しています。人口が減り続け、現場で働く人が少なくなる一方で、自然災害が激しくなり、道路や橋などのインフラも古くなっています。こうした中で、限られた人や資源で高い品質を保ち続けるには、従来のやり方だけでは限界が見えてきました。そこで、デジタル技術を取り入れた新しい現場づくりが求められているのです。

参考:国土交通省「「i-Construction 2.0」の2025年度の取組予定をまとめました(2025年4月18日)」 https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001884821.pdf

建設業界を取り巻く社会的な課題

建設業界には、解決しなければならない大きな課題がいくつもあります。たとえば、現場で働く人の数が年々減っていることや、職人さんの高齢化が進んでいることです。
・2024年時点で55歳以上の就業者が約37%、29歳以下は約12%にとどまっています。
さらに、台風や大雨などの自然災害も全国で多発しており、そのたびにインフラの復旧や復興が必要です。今までの人海戦術では対応しきれず、より効率よく作業を進める仕組みが求められています。

また、道路や橋、トンネル、水道などのインフラは、昭和の高度経済成長期に多くつくられ、今では50年以上たった施設も増加しています。こうした古いインフラのメンテナンスも急務となっており、効率よく点検・修繕する新しいやり方が必要とされています。

参考:日本建設業連合会「4. 建設労働 | 建設業の現状」 https://www.nikkenren.com/publication/handbook/chart6-4/index.html

デジタル化が進む現場の今

これまで建設現場といえば手作業が中心でしたが、近年ではICT(情報通信技術)を使った建設機械やドローン、AIなどの活用が広がっています。
たとえば、ドローンでの測量や自動運転の重機、AIによる施工計画の最適化などが現場の効率を大きく上げています。

2022年度の国土交通省直轄工事では、約87%の現場ですでにICT施工が導入されています。こうしたデジタル化の広がりによって、現場で得た情報や図面、写真などをクラウド上で共有し、事務所や関係会社ともリアルタイムで連携できる体制が整いつつあります。

また、BIM/CIM(3次元モデルを使った設計・施工管理)といった技術も普及してきており、設計から施工、維持管理までデータを一貫して活用する時代になりつつあります。

参考:国土交通省「ICT施工に関する状況報告(資料-1)」 https://www.mlit.go.jp/tec/constplan/content/001765860.pdf

i-Construction 2.0の3本の柱

i-Construction 2.0では、建設業の未来をつくるために「施工のオートメーション化」「データ連携のオートメーション化」「施工管理のオートメーション化」という3つの柱を打ち立てています。これらが一体となって現場全体の大きな変革を加速させています。

施工のオートメーション化

施工のオートメーション化では、今まで人が行っていた現場作業を自動化・遠隔化することを目指しています。たとえば、一人の作業者が空調の効いた管理室から複数の建設機械を遠隔で操作するスタイルが現実になりつつあります。

また、AIや各種センサーを活用して現場の状況をリアルタイムで把握し、最適な施工計画を自動で作成する仕組みも進化しています。これにより、経験や勘に頼っていた工程管理がより効率的かつ正確になります。危険な現場や人が入りにくい場所でも、安全に作業を進められる体制づくりが大切です。

施工オートメーション化の主なポイント

これまで これから
人が現場で重機を操作 複数の重機を遠隔操作
作業は経験と勘頼み AIが最適計画を自動作成
危険現場は人が作業 ロボットや自動機械導入

この変化によって、より少ない人数でも高い品質を維持しながら作業が可能になります。特に災害復旧や人手が足りない現場で効果を発揮し、安全性や効率アップにつながっています。

データ連携のオートメーション化(デジタル化・ペーパーレス化)

次に大きな柱となるのが、データ連携のオートメーション化です。これは、調査・設計・施工・維持管理といったあらゆる工程でデータをデジタルでつなげ、手作業や転記などのムダをなくすことを目指しています。

たとえば、BIM/CIMによる3次元モデルのデータは、設計段階だけでなく施工や維持管理の現場でもそのまま活用できるようになってきました。紙の図面や帳票を何度も書き直す必要がなくなり、同じ情報を何度も手入力する手間が省けます。

また、情報共有システム(ASP)などを使って、現場の写真や図面の修正情報などをリアルタイムで事務所や協力会社と共有できる仕組みも整ってきています。これによって、現場の連絡ミスや手戻りが減り、仕事の質も高まります。

BIM/CIMによるデータ連携が進めば、最終的には「デジタルツイン」と呼ばれる仮想空間で現実の現場と連動したシミュレーションも可能となります。これにより、トラブルの事前発見や、より良い工程管理が実現できるでしょう。

施工管理のオートメーション化(リモート化・オフサイト化)

3本目の柱が、施工管理のオートメーション化です。これは、現場に行かずに監督や検査ができる仕組みや、工場で部材をつくって現場で組み立てる工法の推進を指します。

最近では、Webカメラや360度カメラで現場の状況をリアルタイムで確認でき、発注者や監督者が遠隔から立ち会いや検査を行う「遠隔臨場」が普及しています。AIを使った画像解析で、現場の品質チェックや鉄筋の配置確認なども自動化が進んでいます。

プレキャストコンクリート(工場で製造した部材)を使う工法も増え、現場作業の省力化や品質安定、工期短縮にも役立っています。

さらに、高速で安定したネットワーク整備も進んでおり、都市部だけでなく山間部や地方でも、大容量のデータを活用した遠隔管理や情報共有ができる環境が整いつつあります。

現場の働き方や将来像はどう変わっていく?

i-Construction 2.0の取り組みは、建設現場の作業や効率を変えるだけでなく、そこで働く人の暮らしや働き方まで大きく変えつつあります。これからの現場で、どのような変化が起こるのか、いくつかのポイントでご紹介します。

少人数でも現場が回る仕組みが整う

省人化が進むことで、これまで多くの人手が必要だった現場も、少人数で効率よく運営できるようになります。AIやロボットの導入により、単純作業は自動化され、現場のスタッフは管理やトラブル対応、改善提案といったより創造的な仕事に集中できる環境が整います。
その結果、働きがいも高まり、若い世代も興味を持って業界に入ってきやすくなるでしょう。

安全性が高まり、事故リスクを減らせる

建設現場の労働災害、特に重機や高所作業による事故は長年の課題でしたが、遠隔操作や自動化が進むことで、人が危険な現場に直接立ち入る必要が少なくなっています。画像解析によるリモート検査やAI監視も広がっており、作業の精度と安全性が両立しやすくなっています。こうした仕組みの拡大によって、現場の事故リスクを着実に下げることができるでしょう。

働く環境が快適になり、多様な人材が活躍できる

オフィスや自宅から現場管理を行えるようになると、子育てや介護といった家庭の事情があっても働きやすい職場となります。
また、空調の効いた室内での遠隔操作など、体力負担の軽減により女性やシニア層、ITに強い若手など多様な人材の活躍が期待できるようになります。

データ活用による業務の効率化

現場での日報や書類作成、図面管理といった事務作業は、データの一元管理とペーパーレス化によって効率化が進み、長時間労働の是正にもつながります。必要な書類もテンプレート化されていれば、現場の空き時間を活用して簡単に作成でき、仕事の負担が軽くなります。

給与・休暇・働きがいが感じられる業界へ

生産性が向上すれば、企業の収益も増え、給与や休暇など待遇の向上につなげやすくなります。工場での部材生産や精度の高い工程管理によって、安定した工事進行が実現し、完全週休二日制や長期休暇も取りやすくなります。これにより、若手や女性も長く働ける魅力的な職場環境づくりが進んでいくでしょう。

デジタル化推進のために欠かせない「施工管理アプリ」

現場のデジタル化を進めるには、誰もが直感的に使える施工管理アプリの導入が大きなカギとなります。従来の紙の野帳や図面管理、電話やFAX中心の情報共有では非効率になりがちですが、ITツールを使えば現場のやり方が大きく変わります。

施工管理アプリ「eYACHO」で現場はどう変わる?

弊社の「eYACHO for Business」は、タブレットひとつで図面や写真、帳票を現場ですぐに確認・記録できる施工管理アプリです。

  • ・PDF図面の上に直接手書きでメモを残したり、写真や動画を貼り付けたりできる
  • ・約4万語の建設用語が使える手書き認識機能も搭載
  • ・打合せ音声や現場写真も一つのノートにまとめて管理

さらに、「シェア」機能によって、現場で書き込んだ情報がリアルタイムで事務所や協力会社にも共有されるため、連絡ミスや手戻りが防げます。
帳票作成や日報、安全巡視記録などもタブレット上で完結でき、紙書類の持ち帰りや書類探しの手間も削減できます。

特に、遠隔臨場やリモート検査への対応がしやすく、ビデオ通話機能「GEMBA Talk」を活用すれば、現場にいなくても発注者や設計者がその場の状況を確認しながら指示を出すことが可能です。

eYACHO導入で期待できること

主な機能 効果・メリット
図面・帳票の電子化 紙書類を削除し、持ち帰り仕事が減る
情報のリアルタイム共有 現場と事務所、協力会社の認識齟齬を防ぐ
遠隔臨場・検査 移動時間・負担を削除し、効率的に品質管理できる

これらのツールは、特別なITスキルがなくても使える設計がなされているため、現場で働く多くの方が無理なく導入できます。日々の業務効率が上がることで、働く人自身のゆとりややりがいにもつながります。

参考:株式会社MetaMoJi「建設mazec | 建築・土木・設備工事用語を約4万語収録」 https://product.metamoji.com/enterprise/product/construction/ ※「建設mazec」は「eYACHO for Business」に標準搭載されております。

eYACHOを活用し、書類作成の負担を軽減しながら現場力を底上げ。まずは無料トライアルで操作感を体験してみましょう。 https://mps.metamoji.com/mmjTrialLicenseWeb/customer/ja/trialentry.html

これからの建設現場に必要なのは施工管理アプリの導入

建設現場の生産性向上や安全性、働きやすさを本気で考えるなら、i-Construction 2.0の動きにあわせた施工管理アプリの導入が欠かせません。
まずは日々の書類作成や情報共有といった身近なところからデジタル化を始めてみることが大切です。ITツールの活用により、現場全体の効率アップだけでなく、長時間労働の是正や多様な人材が活躍できる魅力的な職場づくりが進みます。

今後も進化するi-Construction 2.0の動きを自社でしっかり取り入れ、働く人が希望と誇りを持てる現場環境を目指して、ぜひITツール導入にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

eYACHOのアイコン

【監修】eYACHO編集部

施工管理アプリ「eYACHO」は、タブレット1つで現場の記録・共有・管理を可能にし、施工管理から安全管理まで幅広い業務をサポートします。
本コラムでは、建設業界の課題解決やDX推進に役立つ情報や最新動向をお伝えします。

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