導入事例(中学・高等学校)
近畿大学附属高等学校・中学校
ICT教育の先進校における、MetaMoJi Note を活用した授業の実例
近畿大学附属高等学校・中学校は、2013年春に新入生全員を対象としてiPadの導入を開始し、現在は全校生徒を含めて約 4,000台のiPadが稼働しています。校内のWi-Fi環境は整備され、各教室には順次プロジェクターの設置が進められるなど、充実した設備を有するICT教育の先進校です。
近畿大学附属高等学校は、授業や学校行事におけるiPadの活用内容の多様性や生徒の自律的な活用姿勢などが評価され、2015年1月に日本の高等学校で初めてApple(R)社の“Apple Distinguished Program”※1 に選出されました。そのICT教育の取り組みは全国的に注目を集めています。同校の授業おけるiPadの活用例や、ICT教育の取り組みについて、ICT教育推進室の小谷隆行先生にお話を伺いました。
※1 Apple Distinguished Program:イノベーション、リーダーシップ、最善の教育に関する条件を満たし、Appleの模範的な学習環境のビジョンを体現する学校を米国Apple(R)社が選定するプログラムです。
ICT教育推進室 小谷隆行先生
MetaMoJi Noteで作成した授業ノートで、板書の時間を短縮し、1コマの授業で演習まで完結する、密度の高い授業を実現
小谷先生が担当する化学の授業では、先生が黒板に板書する代わりに、「授業ノート」と呼ばれるPDFファイルが使われています。
小谷先生はMetaMoJi Noteで授業ノートを作成し、iTunes Uを使って事前に生徒に配付します。授業ではそのノートをプロジェクターで黒板に投影して、板書の代わりとして使います。生徒は各自のiPadで、あらかじめ配付された同じ授業ノートを見ながら授業を受けます。
小谷先生の授業では、先生がゼロから黒板に板書したり、生徒が板書をノートに書き写したりという、一般的な授業で見られる光景はありません。どうしてこのような授業を行うようになったのでしょうか。小谷先生にお聞きしました。
「私が担当する化学は、授業の単位数が限られているので、いかに効率よく授業を進めるかが課題になります。どこかで “50分の授業の中で30分が板書に使われている” という記事を読んだことがあって、それなら板書にかかる時間を削ってみようと思いました。それで始めたのが、今の授業のスタイルです。
授業ノートはあらかじめ生徒に配付してあるので、生徒が黒板をノートに書き写すことはありません。板書の時間を短縮できた分、残りの時間は演習に使うことができるようになりました。
以前の授業では板書をするのが精一杯で、生徒に宿題を出していましたが、いまでは授業と宿題の両方が50分の授業の中で完結できています。また、生徒からの質問を受ける時間もできました。」
小谷先生がMetaMoJi Noteで作成した授業ノート。iTunes Uを使って、事前に生徒に配付する。
授業ノートをプロジェクターで黒板に投影して、授業を行う小谷先生。
iTunes U上で生徒はいつでも授業ノートを閲覧できるので、予習・復習にも使える。授業に関連するYouTubeの動画なでも共有されている。
生徒は各自のiPadで授業ノートを見ながら授業を受ける。MetaMoJi Noteを使ってメモを取る生徒も。
2012年にMetaMoJi Note(当時は Note Anytime) がリリースされて、すぐに使い始めたという小谷先生。 MetaMoJi Noteでよく使う機能や、便利な点についてお伺いしました。
「ノートアプリは他にもいくつか使いましたが、使っているうちにMetaMoJi Noteに落ち着きました。 図形描画機能で円や四角などの図形が簡単に描けるようになって、より便利になりました。
ビーカーなど実験器具のイラストを描くことが多いので、一度描いたイラストをアイテム登録して繰り返し使ったり、写真やWebページを貼り付ける機能もよく使います。
またMetaMoJi Noteは画面の拡大・縮小が自在にできるので、重要なポイントを拡大して黒板に写すという使い方もしています。」
プロジェクターで投影した授業ノートの上から、チョークで書き加えることも。
化学基礎の授業ノート。塩基は青、酸はオレンジのように、関連する項目で色分けされている。
緻密でわかりやすい小谷先生の授業ノート。作成するときのこだわりや、注意しているポイントをお聞きしました。
「例えば、塩基は青、酸はオレンジのように、色に関連性を持たせるようにしています。黒板にチョークで書く場合は色が限られますが、MetaMoJi Noteはたくさんいろが使えるところが便利ですね。蛍光色を使ったり、色の透明度を変えて使ったりします。
授業ノートは1ページかまたは半分のページで、1つのテーマをまとめるようにしています。それで情報が足りない場合は、プロジェクターで黒板に映した上から書き込んだり、演習で生徒に書かせたりします。生徒のiPadにもMetaMoJi Noteが入っているので、配付した授業ノートをMetaMoJi Noteで開いて、メモを書き込んでいる生徒もいるようです。」
生徒の自主性を尊重したiPad活用
「CYBER CAMPUS」という校内ポータルで日々の連絡が行われる。
同校では授業に限らず、日々の連絡事項や、文化祭や修学旅行等の学校行事での使用など、学校生活のさまざまな場面でiPadが活用されています。
高等学校においてはセキュリティに配慮しつつ、使用制限をできる限り少なくして、生徒が自由にiPadを使える運用方針が取られています。
授業や学習環境の可能性を広げるICT教育の取り組み
今後のiPadやICTの活用についてもお話をお伺いしました。
「iPadなどのタブレットを活用することで、動画やWebなど多彩な教材が扱えるようになります。それによって、授業のパターンが増え、授業の可能性が広がると考えています。
授業でのiPad活用は、先生によってもさまざまな使われ方がされています。ICT教育推進室では、職員会議での情報共有の取り組みも始めました。
今後も授業や学習環境の可能性を広げていけるよう、ICT教育に取り組んでいきたいと思います。」
・iPadはApple inc.の登録商標です。
最小限の制限のほかは、生徒は自由にiPadを使用できる。上は、MetaMoJi Noteを利用して生徒が作成したイラスト。
<本取材は2015年6月に行われました。画面キャプチャ、機能、肩書は取材時の情報にもとづきます。>