導入事例(小学校)
つくばみらい市教育委員会[茨城県]
MetaMoJi ClassRoomは児童生徒主体の授業デザインに必須、
GIGA開始後に導入、1年目から授業が大きく変わった
茨城県南部に位置する人口5万人あまりのつくばみらい市では、9校の小学校(2023年度の児童数は約3,600人)と4校の中学校(2023年度の生徒数は約1,400人)のすべてで、iPadとMetaMoJi ClassRoomが使われています。
協働的な学びの推進にMetaMoJi ClassRoomが必要と判断
つくばみらい市では2019年に開始されたGIGAスクール構想で小中学校にiPadを導入し、その後、2023年からMetaMoJi ClassRoomを使い始めました。2023年初頭から試験的に導入し、4月から正式導入となっています。
導入の理由について、つくばみらい市教育委員会はこのように説明します。「iPadを活用した授業改革を進め、思考力や判断力、表現力を養う協働的な学びを推進するには、MetaMoJi ClassRoomが必要であると判断しました。MetaMoJi ClassRoomの共有機能を活かすことで児童・生徒同士の対話が促進され、思考を比較検討できます。このことが、ものの見方、考え方の成長につながります」。
1年生が自ら工夫して個性豊かに表現
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ペアになってiPadの画面を見せて、生き物のクイズを出し合う。(1年生 生活)
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生き物について特長を、写真や文字で表してクイズにする。(1年生 生活)
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葉っぱに色を塗って登場人物の気持ちを表現。(1年生 道徳)
2015年に開校したつくばみらい市立陽光台小学校には、全学年で36クラス、約1,000人の児童が在籍しています。木をふんだんに使い、中庭が設けられた2階建ての校舎は、教室や廊下を仕切る壁が斜めにカットされていて完全には閉じていない「ハーフオープンスクール」の空間構成で、明るく開放感があります。
MetaMoJi ClassRoomの試験導入からおよそ10か月、正式導入から半年が経過した2023年10月に、陽光台小学校の授業の模様を取材しました。すべての学年の、さまざまな教科の授業でMetaMoJi ClassRoomが活用されています。
1年生の生活の授業では、事前に児童各自がMetaMoJi ClassRoomで作った生きものの写真と特徴を表すページを、ペアになった相手にiPadの画面上で見せ、何の生きものかを当てるクイズを実施していました。入学して半年の1年生ですが、この授業を実施した坂本和歌子教諭によれば、写真を撮って拡大やトリミングをしたり書き込みをしたりして、2時間でクイズのページを作れたそうです。児童はこの授業を通じて身近な生きものに関心を持つと同時に、iPadの画面を見せながらわかりやすく話して伝えることも学んでいました。
同じく1年生の道徳の授業では、登場人物の気持ちを葉っぱに色を塗って表現し、その色に塗った理由を考えて書いていました。児童はMetaMoJi ClassRoomでペンの色や種類を素早い操作で設定し、画面表示の拡大縮小も活用しながら個性豊かに表現しています。授業の最後には色を塗った絵をクラスで見せながら発表をしました。授業後に児童に聞いたところ、ペンの色や種類の変え方は自分で見つけてできるようになったとのことでした。
中・高学年も個人の理解とクラスでの共有で成長できる授業を実践
渡邊隼人教諭が実施した4年生の外国語(英語)の授業では、この単元で扱う表現のキーワードと会話のテンプレートが書かれたページをMetaMoJi ClassRoomで配布し、児童はiPadを持って教室内を歩き回りながら次々にペアを変えて会話を繰り返し練習し、相手が答えた内容を書き込んでいました。授業の最後にはMetaMoJi ClassRoomのアンケート機能を使って、授業の振り返りをしていました。
ほかにも、4年生の算数の授業では数字が書かれた硬貨のような丸いアイコンの配置で割り算のイメージをつかんだり、6年生の理科の授業では、児童各自があらかじめ作成した実験レポートを、グループで見せ合って考え方を共有し、話し合った結果を発表するなど、MetaMoJi ClassRoomを利用して個人の理解や考えを深め、さらにページの共有や会話、発表などを通じた協働学習が実施されていました。
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ペアになって会話を練習し、相手の答えをMetaMoJi ClassRoomに書き込む。(4年生 外国語)
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硬貨のアイコンを動かして割り算のイメージをつかむ。(4年生 算数)
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理科の実験のレポートを見せ合って考え方を共有。(6年生 理科)
児童に積極性が生まれ、全員が授業に参加
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算数の教材として変化がイメージできる動画をMetaMoJi ClassRoomに貼り付けて、児童に共有。児童は家庭で動画を見て復習することもできる。
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体育では実技の様子を撮影してMetaMoJi ClassRoomで共有。児童はその動画を見て振り返りをノートに記入する。
MetaMoJi ClassRoom導入後の変化について坂本教諭と渡邊教諭は、児童に積極性が見られるようになったと言います。「紙のノートに書くのは消極的だった児童が、MetaMoJi ClassRoomなら表現しやすく、しかもすぐに教員やクラスの友だちに見てもらえるので『これなら取り組める』という気持ちになっています。発表が苦手な児童も、自分でページを作ったことで自信を持てるようです」(坂本教諭)。「クラス全員でページを共有して書き込める設定にすると、口頭ではなかなか発言しない児童も書き込んで参加できます」(渡邊教諭)。
坂本教諭はさらに「MetaMoJi ClassRoomで使う教材の作成は楽しいです。例えば算数の教材として変化をイメージできる動画を作り、児童に共有しました。児童はiPadを持ち帰っているので、動画を見て家で復習することもできます。ほかにも、児童のノートを時間や場所を選ばずに評価できるなど、MetaMoJi ClassRoomが導入されて本当に助かっています」と語りました。
渡邊教諭は、ほぼすべての授業でMetaMoJi ClassRoomを使っているそうです。渡邊教諭も動画の共有を活用しているとのことで「体育では実技の様子を私が動画で撮影し、MetaMoJi ClassRoomで共有しています。児童はその動画を見て、振り返りをノートに記入します」と説明します。ほかには「図画工作では各自が自分の作品を撮影してMetaMoJi ClassRoomのノートに貼りコメントなどを書き込むことで、鑑賞の力がつきます。道徳ではまず各自が考え、それを共有するためにアンケート機能を使います。アンケート結果をその場ですぐ全員で見られるのがいいですね」と授業の様子を紹介しました。
また、両教諭や同校の長塚和徳校長からは、プリントやノートを回収する時間がかからず提出漏れや紛失もなくなる、プリントを準備する時間やコストが不要でカラーの写真や図を存分に活用できる、児童の提出物に対する教員のコメントや丸つけがしやすくなったなどの利点も挙げられました。
個の学びと協働的な学びを深め、改革が急速に進んでいる
長塚校長はMetaMoJi ClassRoomの効果について「個別に考え、協働で学びを深める学習を実践しやすくなりました。例えば本校では児童各自がオリジナルの物語を作ってグループで共有する授業があるのですが、自分の書いた作品を写真に撮ってMetaMoJi ClassRoomのページに貼り付け、ほかの児童がふせんを追加したり書き込みをしたりしています」と述べています。また、自身もMetaMoJi ClassRoomを使って授業を実施した経験から「MetaMoJi ClassRoomには、ほかの人が書き込んだものを消したり動かしたりすることができないようにするレイヤーやページの設定があります。これは操作のストレスがありませんし、誤って、あるいは意図的に改変してしまうことを防ぐ、使いやすい仕様だと思います」との指摘もありました。
つくばみらい市教育委員会は変革の手ごたえについて次のように述べています。「MetaMoJi ClassRoomの導入によって、授業が変わり、学校が変わります。実際、つくばみらい市では導入後に改革が一気に進んでいます。MetaMoJi ClassRoomを導入して、1年もあれば、どの学校も一定水準の授業ができるのではないでしょうか。MetaMoJi ClassRoomは児童生徒を主体とした授業デザインに必須であると考えています」。
長塚和徳校長
坂本和歌子教諭
渡邊隼人教諭
- つくばみらい市教育委員会
- 所在地:茨城県つくばみらい市福田195
- URL:https://www.city.tsukubamirai.lg.jp/page/dir001898.html
- つくばみらい市立陽光台小学校
- 所在地:茨城県つくばみらい市陽光台3丁目1番地
- URL:http://blog.city.tsukubamirai.lg.jp/blog/youkoudai/
<本取材は2023年10月に行われました。画面キャプチャ、機能、肩書は取材時の情報にもとづきます。>