導入事例(大学・塾・企業等)
株式会社富士通エフサス[神奈川県]
「個」を発揮できる社員研修のスタイルを目指してMetaMoJi ClassRoomを活用
MetaMoJi ClassRoomは教育機関向けのリアルタイム授業支援アプリという位置付けの製品ですが、社会人を対象とした教育や研修にも利用できます。富士通グループのシステムインテグレータである株式会社富士通エフサスでは、2017年2月から集合研修でMetaMoJi ClassRoomを使い始めました。
「会議を進行するスキルを養う研修でMetaMoJi ClassRoomを利用
横浜のみなとみらい地区にある富士通エフサスの「みなとみらいInnovation & Future Center」は、研修と共創を目的として2013年に開設されました。セミナーへの参加や施設の見学など、社外からも多くの人が訪れる注目の施設です。
その中でもゆったりと広く、ベイブリッジや観覧車、横浜の海を一望できる会場で、2日間の「ファシリテーション研修」が実施されています。入社3〜4年目以降の社員を対象に、社内の会議を効果的に進行するスキルを養う研修です。1回の参加人数は最大20名で、富士通エフサスの全国の拠点に加え関連会社の社員も参加します。
一人1台ずつ使用しているのは、キーボードとドッキングして使えるタブレットのARROWS Tabです。講義は、MetaMoJi ClassRoomで研修コンテンツを各自のデバイスに配信しながら進行します。
意見を表現、共有、集約しながら効果的にグループ実習を進行
2日目の午後には、5人ずつのグループでテーマを決め、そのテーマに沿って5人が代わる代わるファシリテーター(進行役)を務める実習があります。グループのメンバーは、話し合いをしながらMetaMoJi ClassRoomのツールやふせんを使って、グループのページに意見を書き込み整理していきます。表組、図解、ふせんを使ったKJ法、箇条書きなど、自由に書き込めるMetaMoJi ClassRoomの特性を生かして柔軟に成果をまとめていきます。
教育機関では画面に触れて直感的に使えるタブレットでMetaMoJi ClassRoomを使っている場合がほとんどですが、この研修ではキーボードも併用することで多くの意見を効率よく集約しています。参加者のほぼ全員にとって、MetaMoJi ClassRoomを使うのはこの研修が初めてです。参加者からは「初めて使うので最初は戸惑ったがすぐに慣れた」「ふせんが便利」「みんなで同じページに同時に書き込めるのが良い」などの声が聞かれました。
各グループの画面はプロジェクタで投影され、他グループの様子もわかる。
室内には1グループにつき1台のプロジェクタが用意され、グループのうちの1人の画面を投影しています。講師がプロジェクタを見て進行状況を把握したりコメントしたりすることができるだけでなく、他のグループから見えることも重要です。この研修の講師である人財開発部の森藤浩紹氏は「グループごとに小部屋に分かれて実習をしていたこともありますが、そのときよりも実習の質は明らかに向上しています。他のグループの様子を見てレベルアップできるからです」と言います。
従来の研修との親和性は高いが導入には懸念もあった
MetaMoJi ClassRoomを導入したきっかけは、古くなった研修用のPCを2016年にARROWS Tabに置き換えたことでした。人財開発部マネージャーの内田早苗氏は「弊社の研修ではホワイトボード、模造紙、付箋紙が多用されています。この『ファシリテーション研修』でも、部屋いっぱいのホワイトボードに書き込んだり、付箋紙に書いて貼ったりしていました。デバイスを置き換えたタイミングでICTを研修にもっと活用していきたいと考え、ホワイトボードや付箋紙などと近い感覚で使えるMetaMoJi ClassRoomを導入しました。既存のテキストのPDFを利用できるのも選定の理由です」と語ります。
導入前には、セキュリティの問題はないか、印刷物のテキストの方が使いやすいのではないか、デバイスの操作に時間がかかって研修時間が延びてしまうのではないかなどの懸念がありました。セキュリティの問題は研修専用のオンプレミスのサーバと無線ネットワークを用意することで解決し、MetaMoJi ClassRoomを利用した形式に移行しました。
印刷物も研修時間の延長も必要なかった
「印刷物のテキストの方が使いやすいのではないか」という懸念があったため、印刷した冊子を用意して希望者に渡せるように準備していますが、実際には持ち帰る人はほとんどいません。参加者はテキストのPDFを研修終了後にダウンロードできます。ペーパーレス化が本来の目的ではなかったものの、結果としてペーパーレス化が進みました。印刷物の冊子を外部業者に発注するコストを削減でき、しかも社外秘のテキストを紛失するリスクが低くなるという利点もあります。
模造紙や大量の付箋紙を使わなくなったことによるコストの低減も見逃せません。「研修終了後に模造紙や付箋紙を片付ける手間もなくなりました。部屋中に設置されたホワイトボードの清掃がなくなったことも含めて、研修終了後の負担が減るという効果も得られました」(内田氏)
「研修時間が延びてしまうのではないか」という懸念も解消されました。1日目に操作説明の時間を組み込みながらも、全体としては以前と同じ時間数で実施できます。ホワイトボードに書いたり消したり、付箋紙を片付けたりする時間が発生せず、テンポ良く研修が進みます。
研修の質が向上し、参加者の満足度も向上
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MetaMoJi ClassRoomを使うことで、考えを見やすく表現できるため整理しやすく、しかもそのデータを参加者同士で共有できます。そのため、話し合いが活性化され、内容の濃い議論ができるようになったと森藤氏は言います。また、ホワイトボードや模造紙と比べてカラフルでわかりやすい成果物を作ることができ、しかもそれをプロジェクタに投影したり各自のデバイスに表示したりすることができるので各グループからの発表も進めやすくなりました。
研修後の実務に生かせる効果も生まれました。「以前は、ホワイトボードの周辺にみんなが立って書き込みながら進行していました。今はMetaMoJi ClassRoomを使って着席したまま話し合いを進めています。このほうが職場でのリアルな会議に近く、今後の業務に生かせると思います」(森藤氏)
これらの変化が見られた結果、資料の使いやすさや研修の理解度を尋ねる参加者アンケートでは、MetaMoJi ClassRoomを利用した初回は以前と比べてわずかにスコアが下がったものの、改善しながら回を重ねた結果、3回目からは導入前よりも高いスコアとなっています。
「個」を発揮できる研修スタイルを他の研修にも広げていきたい
研修のICT化を図った背景には、誰もが「個」を発揮できる研修スタイルを目指したいという意図がありました。これについて森藤氏は「MetaMoJi ClassRoomを使うと、ペンを取り合ったりホワイトボードの前に立つといった制約が解消され、ホワイトボードや付箋紙よりもマイペースで書き込めるので、各メンバーから多くの意見が出て、個性を発揮しやすいですね」と手応えを語っています。
現在、MetaMoJi ClassRoomを使っているのは「ファシリテーション研修」だけですが、今後は他の研修にも広げていきたいと内田氏も森藤氏も語ります。集合研修だけでなく、遠隔地とネットワークで結ぶ研修にも取り組みたい考えです。MetaMoJi ClassRoomの機能のうち、一部または全部の参加者の画面を講師の画面に並べて表示するモニタリング機能や、ある参加者の画面を別の参加者の画面に表示する機能などは「集合研修では利用していませんが、遠隔地との研修では有効でしょう」と森藤氏は考えています。
(左) 人財開発部 森藤浩紹 氏
(右) 人財開発部 マネージャー 内田早苗 氏
- 株式会社富士通エフサス
- 本社住所:神奈川県川崎市中原区中丸子13番地2 野村不動産武蔵小杉ビル N棟
- みなとみらいInnovation & Future Center
- 住所:横浜市西区みなとみらい2-3-3 クイーンズタワーB棟9階
- URL:http://www.fujitsu.com/jp/fsas/
<本取材は2017年05月に行われました。画面キャプチャ、機能、肩書は取材時の情報にもとづきます。>