導入事例

株式会社ゼンリン様

成功の鍵は「読めない漢字もそのまま入力できる」こと
地図の現地調査業務DXを可能にした手書き入力

株式会社ゼンリンは、住宅地図をはじめ地図情報で社会を支えるインフラ企業である。早くから地図情報のデジタル化に取り組み、世界初のGPSカーナビを開発するなど常に社会をリードしてきた。そして現在、社会のIoT普及に伴い多様化する顧客ニーズに合わせた地図情報を提供し、社会・サービスを支えている。
地図情報の更新を使命と考えるゼンリンでは、人が現地で情報を収集している。70年に渡って紙ベースで行ってきたこの現地調査業務をタブレットを用いたDX化するにあたり、なぜ手書き入力変換システム「mazec」を採用したのかーー同社サーベイ部門の槙原氏、システム部門の桐木氏にお話を伺う。

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読めない漢字は入力できないー地図情報調査業務のDX化に壁

地図は変化する。ゼンリンでは、全国68の調査拠点で、調査員が日々実際に現場を歩いて地図情報の変化を収集し続けている。建物名称や居住者名、建物の入口情報まで一軒一軒確認し、狭い道・歩道・地下街・建物内の通路まで人による地道な収集を行うとともに、最新の計測機器を備えた専用車両で全国の道路を調査している。地図データベースの基礎となる地図情報は、創業から70年を超える現在も人の手によってきめ細かくアップデートされ続けているのだ。

様々なサービスでの利用を想定した地図情報を整備するには、記録できるデータの種類を拡張する必要がある。地図上では平面で表されているビルには、複数の階層があり、各層に複数の企業が存在する。その企業はどんな業種か?駐車場はあるか?様々な情報を記録しようとすると紙では限界がある。そのため、地図調査のデジタル化の検討が始まった。デジタルなら、付随する情報を記録するための別レイヤーを持たせることも自在だ。

地図情報を格納するためのデータベースが構築されていく中で「読めない漢字は入力できないという問題は、2014年に調査業務のタブレット化を検討し始めた時からずっと課題だった」地図情報のデータベース化を支えるシステム部門の桐木氏は、タブレット用調査システムの開発を進めながら、その大元となる「入力」の問題を解決できる入力変換システムを探し続けていたと言う。

「文字をデータとして取り込むことは実は非常に難しいこと」(桐木氏)

高い文字認識率・異体字変換に差

紙とペンであれば、読めなくても書いてあるそのままをトレースすれば記録することはできる。しかし、タブレットになるとその字を何らかの方法で導き出す必要がある。標準搭載されている変換システムでは、読めない漢字は入力できない。「ふだん我々はキーボードで文字を入力しているが、これは無意識に読みを入力しており、JIS第1・2水準で約6000文字・漢字検定1級レベルの漢字が読めなければ入力することができない。この問題をクリアしなければ、タブレットを使って文字入力をして調査することそのものが成立しない」(桐木氏)いくつものアプリを試す中で、その変換精度に「使えるんじゃないか?」と感じたのがmazecだった。

「試用した多くの手書きの入力アプリは元々のキーボードからの文字入力に対するオマケ程度の文字認識で、何度書いても文字が出ず、実用に適さないものばかりだった。その中で非常に正確に認識するものがmazecだった。住所や人名に使われる異体字(斎と斉、高と髙など)の変換精度が非常に優れていた。ゼンリン社内にある様々な異体字が候補として出てくるか確認すると大体の文字が引き当てられ、このソフトいいねと感じた」また「調査の人には調査に集中してほしい。文字のデータ入力のやり方に集中して欲しくない。本来やりたいことに集中して直感的に入力できる手書き入力ソフトに可能性がある」と考えた。

70年にわたる調査で蓄積してきた地図情報には数多の異体字が含まれている。氏名には異体字を含め正しい字面を当てはめたいと考えるゼンリンにとって、異体字を文字の候補として出すことすらできない変換システムではなく、その通りに変換できるmazecの採用に踏み切った。現在では調査員全員のタブレット約1000台にmazecが採用され、日々調査の現場で使用されている。

読めない漢字でも、見たまま書けば入力できる。文字をふつうに入力できることが業務のDX化の第一歩

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読めない漢字でも、見たまま書けば入力できる。文字をふつうに入力できることが業務のDX化の第一歩

現地調査業務はDX化でどう変わったか

ゼンリンでは、東京23区内など大都市では毎年地図を更新する。そして町の規模や特性により頻度は異なるが、全国の地図が2-6年毎に更新されている。

現地調査では、500メートル四方の地図を1単位として調査員が現地で変化した内容を記入する。例えば、建物があったが、なくなって新しい建物を建てている,道路建築中だったが、車止めがなくなって通れるようになった,ビル内のテナントや入居者が変わった(この場合、別記と呼ばれる別のリストの更新作業が発生)など詳しく書き込まれる地図は毎月数万図に及ぶ。集まった情報が最終的にマスターDBに登録され、様々なサービスに利用される元となる。

DX化以前、紙の地図に手書きでの現場調査では、紙の地図ではスペースの制約が自ずと情報量の制約になってしまうことや、毎月数万図にのぼる調査地図をデータ入力整備部門に集めるためにかかるコスト、集めた情報を再入力するためにかかるコストを大きな課題として捉えていた。

DX化により、これらの課題が解消されていった。

タブレットを用いた現地調査システムでは、画面上で場所をクリックすると入力窓が表示されて、入力したら閉じるだけ。これにより紙の限界を超え、取得できる情報を拡大することができた。

画数の多い文字もひらがな入力で変換できる・最初の一文字を書くだけで変換できる・異体字もスムースに変換できる・読めない字も紙にペンで書くように入力できる。mazecにより、以前よりもスピーディーで正確な記録ができるようなった。

しかも、入力変換した文字はデジタルデータであるため、データ整備部門に送るのも送信するだけ。再入力も不要なので、輸送や入力にかかるコストを大幅に削減した。

もちろん移行時に「それまで紙で最適化していた部分をデジタルで最適化するためのシステムの再構築や、教育のコストがかかる。そして70年間続けてきた紙での調査そのものがアイデンティティであり「本当にタブレットでできるのか」といった声もあったが、移行により製品提供までのリードタイムの短縮や、取得できる情報が増えデータが進化した」(槙原氏)と、従来の問題解消を超えたDX化の効果を振り返る。

ゼンリン紹介動画「The Evolution of Mapmaking - 住宅地図調査編」より

ゼンリン紹介動画「The Evolution of Mapmaking - 住宅地図調査編」より

現地調査業務はDX化でどう変わったか

現地調査業務はDX化でどう変わったか

mazecだったから、心のハードルを下げられた

mazecを使用する調査員の反応は好評だ。
・難読漢字の入力がしやすい
・キーボードより速い
・誤変換が少ない
・数字やアルファベットを選んでから入力しなくてよくて便利
・予測変換が便利
・汚い字・崩し文字でも認識してくれる
・学習機能が便利 など
 業務のDX化を図る際に、デジタルデバイスを使い慣れないシニア層への定着の難しさがDX化を足踏みさせてしまうことも多いが、手書き入力変換は特別に操作を覚える必要がない。「入力が面倒そうだ」とためらいがちなシニア世代の調査員も多いゼンリンにおいて「mazecの手書きで心のハードルを下げることができた」(槙原氏)ことはDX化の成功に繋がったと言える。

さらに同社では、知っていると便利な機能などのノウハウを社内で共有し、教育に役立てるため、新しいデバイスやアプリを使うヒントを社内向けレターに載せたり、解説動画を共有するなどしている。「とにかくmazecのいろんなところを使ってみて「こんな便利な機能があるよ」と教える者がいたり、現場で起こった問題をどう改善したかを全国に共有している。こんなに使ってる60歳がいると聞けば奮起する」(槙原氏)

「難しそうだと思い込んでいる心のハードルをmazecが下げてくれた」(槙原氏)

「難しそうだと思い込んでいる心のハードルをmazecが下げてくれた」(槙原氏)

リードし続けるmazecの入力変換

2018年のmazec導入から3年が経過した現在「他社の手書き変換も確かに進化している。しかしmazecは頭ひとつふたつ抜けて先頭を走っている」と評価し「技術者としてはゼンリンの膨大なデータとmazecを組み合わせることでさらなる精度向上ができると考える」とmazecのさらなる進化への期待を覗かせた桐木氏は現在、地図の利用用途の可能性をさらに広げるべく、現実世界の中にあるもの(地物)全てをデータ化する新たなデータベース「時空間データベース」に取り組んでいる。「データベースに膨大なデータを収集するにはデジタルデバイスの利用が不可欠であり、そこに素早く正確にデジタルデータとして情報収集できなければ広げることができない。入力するために特別な技能を必要とせず、データを入力するという目的に集中でき、入力したい文字が自然に入力できる手書き入力システムとして、これからもmazecに期待する」と括った。

お話を伺ったのは・・

事業統括本部 総合販売本部 サーベイ業務改革部 ソリューション課 課長/測量士補 槙原 伸哉 様

事業統括本部 総合販売本部 サーベイ業務改革部 ソリューション課 課長/測量士補 槙原 伸哉 様

生産統括本部 DB企画部DB設計課 桐木 佑薫 様

生産統括本部 DB企画部DB設計課 桐木 佑薫 様

MetaMoJiでは、今後もmazecをはじめとする製品で皆様の業務DXを支えてまいります。

お客様プロファイル:
  • 会社名:株式会社ゼンリン
  • 住所:福岡県北九州市戸畑区中原新町3番1号
  • 企業概要:『知・時空間情報』の基盤となる各種情報を収集、管理し、住宅地図帳などの各種地図、地図データベース、コンテンツとして提供。また、『知・時空間情報』に付帯、関連するソフトウェアの開発・サービスの提供。
  • https://www.zenrin.co.jp/

<本取材は2021年11月に行われました。画面キャプチャ、機能、肩書は取材時の情報にもとづきます。>

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