導入事例

上新電機株式会社様

登録からアクションまでのリードタイムをゼロに
mazec の手書きで紙の感覚そのままに DX を実現

関西を拠点に全国展開する総合家電量販店・上新電機では、自社会員カードの店頭入会を紙からタブレットに移行、文字入力に「mazec」を採用した。顧客獲得後のリードタイムが大幅に削減され、登録の翌日には会員向けのアクションが取れるようになったという。入会フローのデジタル化に伴う同社の取り組みとその効果を、本社情報システム部・阪上和也氏、販売推進部・西野政行氏にお話を伺う。

いかにストレスなくお客様に入力してもらうかを mazecで解決

上新電機では、2021 年初め、店頭でのカード会員の登録を紙からタブレットに移行する方針が決まった。実現の課題は「いかにストレスなくお客様に入力してもらうか」という点に尽きた。

情報システム部の阪上氏は、入力変換にアプリの中に組み込まれた製品が多数ある中で、mazec は他のアプリと組み合わせて使うことができる点に注目した。POSレジシステムを初め、社内のシステム開発を担当する部門として「組み合わせて使える”アプリを選ばない仕組み”という点が非常に魅力的だったこと、人名・地名に多い異体字の変換もスムーズで変換精度も良かったことなどから、mazecの採用を決めた」と言う。

「運用に向けては、いくつかのカスタマイズも加えた。口(くち・漢字)とロ(ろ・カタカナ)など、モードの変更設定をひと目でわかるようにしたり、数字を入力する部分では数字キーボードを表示できるようにするなど、細かなところまで検討を重ねた」末、利用するお客様にとことん寄り添った仕様に仕上げたと言う。

社内では、タブレット化は高齢者には馴染まないのではないか・紙よりかえって時間がかかるのではないか、と不安視する声はあったというが、まず 6-7 店舗ほどの範囲で徹底的に検証を行った。「導入前の検証においても、思ったより不具合もなく、入力もスムーズだったので導入を一気に進めることができた。全国の 200 を超える店舗全てで運用しているが、想像していたよりも抵抗なく使ってもらっているのには驚いた」と振り返る。

通常、入会登録時にはスタッフが同席するが、繁忙時など同席できない場面でも入会手続きをサポートするナビ動画を作成し、登録でつまづかない工夫も加えたが、「お客様おひとりでも特に問題なく使用できており、動画の出番があまりないほど」と言うほどスムーズに運用されている。

情報システム部・阪上和也氏

情報システム部・阪上和也氏

コスト削減と効率化を同時に解決

移行前は、記入済み登録用紙を元に業務終了後に登録作業をしていた。大規模店では専任の登録担当が作業を行う。小規模店は特定の店舗に集めてからの登録となり、どちらも時間のロス、残業の発生、紛失のリスク、書かれた文字が読めないため正しく登録できない、などの問題があった。

タブレットによる登録に移行すると、その場でデータが取得でき業務は非常に効率化した。その上、紙を預かる必要がなくなり、紛失のリスクや保管する場所が不要になった。また、登録にかかる時間や入力だけのために必要だったアルバイトやパートの人件費が削減できるなど、様々な問題を一気に解決することができた。

情報システム部門としては、「今後、会員登録以外の、従業員だけが使用する業務用アプリについても、入力にmazecを積極的に使用できるようにしていきたい」と言う。タブレットから使用できる業務が増えれば、これまでは現場からオフィスに戻ってからやるしかなかったことが、現場で解決できるようになり、店頭スタッフの店舗における業務が充実すると同時に、お客様の満足にも繋がるだろう。

データは、活用するためにある 正確に、速く、安全に

CM、チラシ、DMなどの広告宣伝等、営業のセールス支援を行う、販売促進部の西野政行氏は、今回の登録のDX化において、販売促進の視点でプロジェクトを推進してきた。「システム移行は情報システム部が中心となって進めるものだが、それまでの情報システム部は従業員向けのシステム開発がメインだった。 我々販売促進部門としては、お客様が使うものとして、我々販売促進部門として、それがどのように業務を変え効率化を図れるものにするかが重要なので、細かく綿密に打ち合わせしながら進めた」(西野氏)

販売推進部・西野政行氏

販売推進部・西野政行氏

「我々のデータベースの入り口で、お客様自身が手書き入力した文字を、『はい、間違いなくこの文字です』とコミットした ”完全が担保されたデータ” が取り込めるようになったことは非常に大きなメリットだ。紙の時は、お客様が帰った後に紙を見ながら入力していたが、読めない漢字は不完全なデータのまま登録するしかなかった。不完全なデータを使って出したDMは宛先不明で返ってくる場合もある。お客様から『文字が違う」といった問い合わせも発生していたが、移行後はゼロに近い件数になった」

そして、「取得するデータは、活用するためにある。ダイレクトメールを送ったり、バースデーカードを送ったり。これらのアクションを起こせるスピードが格段に上がった」と評価する。以前は、データ入力後にダブルチェックして確認するなどの過程があり、データが使用できるようになるまでに通常でも2−3日はかかっていた。西野氏が「カードの中身が生きていない状態」と表現するこの期間(リードタイム)は、新規店舗オープンなど登録が集中する時は1週間にも及んでいたが、デジタル化により大きく削減することができたという。翌日にバースデーカードを送ることさえ可能になったのだ。

加えて、「個人情報が書かれた登録用紙を移動や保管中に紛失するリスクを解消できる。お客様のデータが安全に扱えることは、会社にとっても、お客様にとっても大きな安心に繋がる」点も評価する。

上新電機には、デジタル化したお客様情報が既に 2 千万件以上蓄積されている。そして年間 60 万件以上が会員登録しており、今後も増え続けていく顧客データを元にダイレクトメールや様々な営業活動を展開していく。今回、新規登録に加え、住所変更やカード再発行など、会員登録周りはすべてタブレットでもタブレットからできるようにした。常に情報を最新・正確に保つためにデジタル化は必須のミッションだったと言える。

手書きの崩れた文字でも正しく認識・変換する。手書きした文字をお客様自身が正しい文字を確認することで、完全なデータとなって取り込むことができる

手書きの崩れた文字でも正しく認識・変換する。手書きした文字をお客様自身が正しい文字を確認することで、完全なデータとなって取り込むことができる

登録から変更・再発行など、会員情報に関するものは全てタブレットから実行可能にし、会員情報が即座にアップデートされる

登録から変更・再発行など、会員情報に関するものは全てタブレットから実行可能にし、会員情報が即座にアップデートされる

時代にあった柔軟な対応を お客様の立場に立って

なお、新規店舗オープンの際は、店頭にできる開店待ちの行列そのものが人気を表すモチーフであった時代もあったが、コロナでスタイルが変わったことも考慮し、行列しないで済むよう、事前にエリア配布する広告に掲載したQRからアプリをダウンロードし、登録も特価商品も自宅からゆっくり予約できるようにするなど、時代に合わせた販促活動にシフトさせていると言う。

店頭においても、混雑時にはタブレットでの登録と並行して、アプリでの登録(アプリをダウンロードして自身のスマホで登録)も案内する。「入会登録については、どんなお客様にもお好きなスタイルを選んで登録していただける環境を提供したいと考える」姿勢は、社是 「愛」(常に相手の立場にたって行動する)という精神に通じるようだ。

MetaMoJiは、mazecをはじめとする製品技術を通して、上新電機様の業務DXをサポートしてまいります。

お客様プロファイル:
  • 会社名:上新電機株式会社
  • 住所:大阪府大阪市浪速区日本橋西 1 - 6 - 5
  • 企業概要:関西を拠点に総合家電量販店を全国展開し、家電製品、情報通信機器、エンターテインメント商品及び住宅設備機器とこれらに関連する商品の販売及び付帯業務を行っている。
  • https://www.joshin.co.jp/

<本取材は2023年5月に行われました。画面キャプチャ、機能、肩書は取材時の情報にもとづきます。>

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