導入事例

株式会社ジェーシービー様

手書きだからできた、お客様目線に立ったDX
違和感なく自然な入力で入会手続を劇的に短縮

株式会社ジェーシービー(JCB)は、国内で唯一の国際カードブランドを運営する企業であり、世界を舞台に、アジアを代表する総合決済サービス企業としてキャッシュレス決済を支えている。業界でもいち早く入会手続きのデジタル化に着手し、対面での入会申込を紙からタブレットに変更。さらに入力変換にmazecを採用し、カード発行までのリードタイムを大幅に短縮した。対面入会のDXの経緯とその効果を、カード発行を推進する同社イシュイング推進部の和田見氏、システム開発担当の八巻氏にお話をうかがう。

mazecの手書きだからこそ実現できた 入力することを意識させない自然な流れ

高速化を実現したのは、カード発行スキームのデジタル化(DX)である。

タブレット時代の扉を開いたiPadの登場が2010年。その後のWindowsタブレットの急速な拡大に伴い、JCBでは2012年にはWindowsタブレットに専用アプリを搭載し、手書きでの対面入会申込の運用を開始した。

しかし、紙からタブレットへの変更を感じさせないもう一段踏み込んだ自然な対面入会への改善の必要性を感じ、2015年頃から動作の軽いiPadを使った対面入会の検討を始めた。そこで問題になったのがiOS標準の入力だった。スーパーから百貨店、イベント会場などカード入会の場は多岐にわたり、幅広い年代層が利用するため、iOSの入力インターフェースに不慣れな人や高齢者には入力しづらいことは容易に想定できた。

“誰もがあれこれ考えずに使用できるもの”を実現するツールはないか模索する中、評価中の手書き変化を見せたところ「これなら行ける」と即決でゴーサインが出た。2015年9月、mazecの採用が決まった。

システム検証のために行った先行使用でも「入力に困る様子がなくスムーズに操作できる」「誤入力がない」「文字が(異なる漢字に変換されたとしても)変換候補でほぼ出てきて困らない」とスタッフの評判が良く、2019年9月、mazecを搭載した対面入会用iPadが全国に配布され運用が始まった。

入会時の登録はお客様自身が行い、スタッフが代わりに入力することはない。八巻氏は運用開始後に聞いて回った全国の支社の営業マンからも「日本語変換に関して困ったという話を聞いたことがない」と言う。旧バージョンから対面登録を担当しているスタッフからも「初めて操作する人がわからないと言う声がない・非常に使いやすくなった」と反応は良好だ。

対面入会のタブレット画面。紙にペンで書く場合と同じように名前入力欄にペンで触れるとmazecで手書き入力するエリアが広がる。紙と同じ動作で実行できるので、誰でも迷わず入力に進めるという。

(画像クリックで拡大)
対面入会のタブレット画面。紙にペンで書く場合と同じように名前入力欄にペンで触れるとmazecで手書き入力するエリアが広がる。紙と同じ動作で実行できるので、誰でも迷わず入力に進めるという。

正確に・素早くデジタルデータとして取り込むすべては、最短でカードをお届けするために

入会手続きのDX化の目的のひとつは、正確なデータを取り込むこと。「紙申込書の場合、最終的にはスキャンしたものを人が確認しキーパンチャーが入力する。読めなくては進めないため、0か9かといった文字の癖などの部分をスムーズにしたいという課題があった」(和田見氏)しかしそれ以上に大きな目的は、本人が確認済みの正しい文字がそのままデジタルデータとして取り込めることで様々なデータ連携が自動化でき、カード発行までの期間を圧倒的に短縮できることだ。

紙ベースの場合、記入後ポストに投函する→集配に時間がかかる→届く→ハサミで切って開封する→スキャンしてデータを正しく読み取って入力するというたくさんのステップがあり、データとして取り込まれる以前に何日もかかる。対してiPadで入力されたデータは瞬時にサーバに届くため審査に着手できるまでの時間が全くかからない。現在、お客様はもとより複数のカードを持っている方が多くいらっしゃる中で「カードを作ろうと思ってすぐに届くことが大切。申し込んだのに音沙汰がないと発行後のカード利用に対するモチベーションが下がる」(和田見氏)

そもそも望む文字が入力できて初めて正しいデータになる。私たちは紙にペンで文字を書く時、無意識で頭の中で読みを漢字に変換して、ペンで紙に記している。ペンと紙がデジタルデバイスになった時、頭の中で読みを漢字に変換した結果をそのまま書くことも、手書きの入力変換なら可能だ。そして読みのまま書いても「mazecなら変換がスムーズだ。もし最初に変換された文字が違ったとしても、異体字や難解漢字を含めて変換候補として表示されるので、まず解決する」(八巻氏)

お客様の本来の目的はカードの先にある 手続き時間を最短にすることがすべて

「屋外でタブレット端末にてクレジットカードに入会いただく場合、多くは別の目的があります。買い物をしたいとか、試合を見たい、ライブを聴きたいとか。これら本来の目的達成の前に邪魔をしないこと。スムーズに入会できるようにするために“悩まず入力できること”は非常に大切なことです」(和田見氏)

例えばテーマパークやイベント会場などでは、アトラクションやイベントなどの時間が決まっており、来場者が集中するタイミングがあり、入会手続きに時間を取られたくないというお客様のニーズに応えるには、申込をスピーディーに進める必要がある。ひとりひとりの登録に手間取っていては多くの入会の機会を逸してしまうが、mazec導入後は入力に関する対応がほとんど必要なくなり、窓口スタッフひとりで複数の入会を同時進行が可能になったという。

高齢の方など、デジタル機器そのものに苦手意識があるようなケースも想定したが、「違和感なく誰もが使えている。これ(mazec)がないと、不慣れな人でもiOSの小さな画面でキーボード入力してもらわないといけなくなる。その点手書きは抵抗なく高齢の方でも使っていただける。メタモジに救ってもらっている、という認識」「お客様は“ペンで手書きするんだな”と構えていない。変に意識しないで済むことこそが大切。本当に満足している」(八巻氏)

お客様の入力時に戸惑うことはほとんどない。長音とハイフンは一文字ずつ変換するよりもどんどん書き進めた方がmazecが正しく変換する。

お客様の入力時に戸惑うことはほとんどない。長音とハイフンは一文字ずつ変換するよりもどんどん書き進めた方がmazecが正しく変換する。

選ばれるサービスとなるために 顧客の立場で考えられたDXであること

政府のキャッシュレス決済の支援やマイナンバーカードのポイント付与の影響もあり、キャッシュレス決済は急速に拡大している。しかしまだ国内におけるキャッシュレス決済は3割に満たない。日本では、2025年の大阪・関西万博に向けて国内キャッシュレス決済を4割に、そして将来的に8割の実現*を目指している。この流れの中で「カードの発行においては、お客様のニーズに合わせて申し込みチャネルを展開していく必要がある。そしてどのチャネルにおいてもスムーズに入会できることが必須」と和田見氏は言う。お客様へのサービス提供のリードタイムの短縮を実現するための業務のDX化は、どの企業にとっても必要なことには疑う余地はない。選ばれるサービスとなるには「顧客の立場で考えられたDXであること」が重要な条件となるだろう。(*経済産業省「キャッシュレス・ビジョン」より)

株式会社MetaMoJiは、mazecをはじめとする製品で企業のDX推進を支えてまいります。

・iPadはApple inc.の登録商標です。
・Windowsは米国 Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標です。

お客様プロファイル:
  • 会社名:株式会社ジェーシービー
  • 住所:東京都港区南青山5-1-22 青山ライズスクエア
  • 企業概要:日本発唯一の国際カードブランドとして、国内外でクレジットカード事業など様々な事業を展開している。
  • https://www.global.jcb/ja/

<本取材は2021年12月に行われました。画面キャプチャ、機能、肩書は取材時の情報にもとづきます。>

事例一覧に戻る