導入事例

株式会社アデランス様

iPadベースの店舗システムで接客の質を向上

手書きアプリがもたらした
お客様との密なコミュニケーション

アデランスは2015年、女性用レディメイドウィッグを主に取り扱う、フォンテーヌショップの店舗システムを更改し、iPadベースへと切り替えた。新システムではMetaMoJiの手書き入力アプリ「mazec」を全面的に採用。同社が実現した店舗業務の大幅な効率化と接客の質向上という成果は、手書き入力なくしては成し得なかった。

旧来のPOSシステムの問題解決が急務

アデランスのフォンテーヌショップは、手軽に楽しめるレディメイド(既製品)ウィッグを中心に取り扱い、現在、全国に約200店舗を展開。「フォンテーヌブランド」は国内の女性用かつら市場ではトップシェアを誇っている。

このフォンテーヌショップではこれまで、専用POS端末を利用した販売管理を行ってきた。顧客情報は専用の「顧客カード」に手書きで記入し、各店舗で厳重に保管していた。しかし、従来の端末と個人情報の保管方法には課題があったとアデランス情報システム部 課長 三星明広氏は言う。

「従来システムの端末は設置場所が限られるため、操作が必要なときにはお客様の前から離れる必要がありました。紙台帳で管理していたお客様の情報は、検索性に乏しいことも課題でした」(三星氏)

こうした理由により、アデランスではPOSシステムの見直しを決断。店舗での使い勝手や扱いやすさなどを考慮した結果、iPadをベースにした店舗システムを導入することにした。

システムの定着に欠かせなかった手書き入力

新しい店舗システムには、POSレジ機能や顧客管理などの機能を集約したアプリを導入した。システム機能要件を決定していく際に特に重視したのは、お客様と販売員との密接なコミュニケーションだったという。

「フォンテーヌの販売員にとって、お客様の好みを把握してアドバイスすることは非常に重要。顧客情報を紙台帳で管理していると、来店したお客様の情報を探すだけでもお待たせするなど、接客が十分に行えません。そこで顧客情報をデータベースで一括管理するとともに、iPadからお客様の情報をすぐに検索できるようにしました」(三星氏)

システムの顧客管理機能では、お客様に関するさまざまな情報をコメントとして残せるようになっている。また、メッセージボードによる情報交換機能も搭載した。お客様に関する販売員の日々の気づきがデータとして残ることで、社内の企画や施策への有効な材料となっているのだ。

ところが、上記のような機能を活用するうえで、ある課題が浮き彫りになった。それはシステムへの文字入力の方法だ。iPad にもソフトウェアキーボードなどの日本語入力機能は備わっているが、誰もが自在に使いこなせるわけではない。つまり、販売員に積極的に入力を行ってもらうためには、新しい操作を覚える必要なく、かつ簡単に入力ができる仕組みを構築することが不可欠であった。そこでアデランスが注目したのが、MetaMoJiの手書き入力アプリのmazecだ。同アプリには手書き文字を高精度で素早く認識する機能が備わっており、顧客情報のようなお客様のお名前を正確に記述する必要のある用途には最適だ。文字入力を伴う顧客登録システムを現場へスムーズに定着させることは、同アプリなくては成し得なかったのである。

手書き入力アプリmazecの採用で、すべての販売員が問題なくiPadでの入力に移行できた。

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手書き入力アプリmazecの採用で、すべての販売員が問題なくiPadでの入力に移行できた。

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手書き入力アプリmazecの採用で、すべての販売員が問題なくiPadでの入力に移行できた。

手書き入力が密なコミュニケーションを促す

新店舗システムが先行導入された髙島屋日本橋店フォンテーヌクチュールコーナーでチーフを務める鈴木美和子氏は、新しい店舗システムの機能と手書き入力機能について高く評価する。

「紙のカルテのときには、お客様の情報をすぐに探すことがで きず、過去のお取引履歴などがわからないまま接客しなければならないことがありました。iPadを使い、その場でお客様の情報を検索したり在庫を確認したりできようになったことで、お待たせすることなく接客できます。顧客カードは販売員がお客様と対面したまま紙に書いているような感覚で記入するので、お客様とこれまで以上に密接なコミュニケーションをとれるようになり、お客様との距離が近づいて信頼感も増したと実感しています」(鈴木氏)

手書き入力機能を備えた業務システムの活用によって接客の質と業務の利便性を向上させた。

手書き入力機能を備えた業務システムの活用によって接客の質と業務の利便性を向上させた。

気づき情報をOne to Oneマーケティングへ活用

株式会社アデランス 情報システム部 課長 三星 明広 氏(写真左)/フォンテーヌクチュール 髙島屋日本橋店 チーフ 鈴木 美和子 氏(写真右)

株式会社アデランス 情報システム部 課長 三星 明広 氏(写真左)/
フォンテーヌクチュール 髙島屋日本橋店 チーフ 鈴木 美和子 氏(写真右)

アデランスでは2015年3月にフォンテーヌショップ約200店 に1店舗あたり2~3台、合計約500台のiPadを本番導入。現在は、各店舗で働く約600人の販売員がフル活用している。「短期間のうちにスムーズに全店導入できたのは、導入当時、主要取引先の髙島屋(日本橋店)様がペーパーレスを推進されており、ルールやガバナンスなど多くのヒント・指導をいただいたからであり、非常に感謝しています」(三星氏)

アデランスでは今後も店舗システムのブラッシュアップも続け、販売員が接客の中で手書きで入力したお客様の気づき情報を分析し、製品企画や営業施策への判断材料として活用していくほか、将来的には蓄積した情報をもとに、SNSなどを活用しながらOne to Oneマーケティングを検討していきたいという。さらに将来的には、「アデランスブランド」の各店舗など、フォンテーヌショップ以外の各事業部門にも、iPadによる同様の店舗システムを展開する計画だ。

・iPadはApple inc.の登録商標です。

お客様プロファイル:
  • 会社名:株式会社アデランス
  • 住所:東京都新宿区荒木町13番地4
    住友不動産四谷ビル6階・7階
  • 企業概要:総合毛髪事業のリーディングカンパニーとして男性向け「ADERANS」、女性向け「FONTAINE」、毛髪移植「BOSLEY」、海外ウィッグ「HAIRCLUB」の4つのブランドを核に事業を展開する。
  • https://www.aderans.co.jp/corporate/

<本取材は2016年6月に行われました。画面キャプチャ、機能、肩書は取材時の情報にもとづきます。>

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