MetaMoJi ClassRoom - GIGAスクール構想 1人1台に最適なリアルタイム学習支援アプリ
 

導入事例(中学・高等学校)

筑波大学附属聴覚特別支援学校[千葉県]

「見て学ぶ」から「考えて、書いて、より深く理解する」ためにMetaMoJi ClassRoomを活用

筑波大学附属聴覚特別支援学校(千葉県市川市)は、日本で唯一の国立大学法人の聴覚特別支援学校です。幼稚部、小学部、中学部、高等部、専攻科があり、0歳児から成人までが学んでいます。このうち中学部で、平成30年度(2018年度)から授業にMetaMoJi ClassRoomが導入されました。

視覚情報を重視しつつも頼りすぎないよう、思考や言葉を大切にする

MetaMoJi ClassRoom導入の経緯について同校の半沢康至教諭は「生徒たちは聴覚から情報を得ることに制限があるので、視覚からの情報が重要です。しかし映像などはその場限りで流れていってしまいがちです。そこで、考える過程を大事にし、残る言葉として書く授業を目指しています。iPadに手書きし、共有できるので、MetaMoJi ClassRoomを採用しました」と説明します。同校中学部主事の佐坂佳晃教諭も同様に「映像はわかりやすく有用ですが、頼りすぎてしまうきらいがあります。また、聴覚からの情報が十分に得られないために、間違った理解をしたり浅い理解のままになったりしてしまうこともあります。したがって、理解を深めるための指導が必要です。このような教育のために保護者からの後援会寄付金のおかげでiPadとMetaMoJi ClassRoomを導入することができ、深く感謝しています」と語ります。

MetaMoJi ClassRoomの機能を活用して理解を深める英語の授業

平成30年度(2018年度)の中学部の生徒数は41人、1学年2クラスで、1クラスの人数は6〜8人です。

クラスの人数が少ないことと、教員が話し言葉に手話を加えて説明していることを除けば、授業の様子は普通学級と変わりありません。同校の教育課程は聞こえる子どもたちと同じで、学年相当の学力を身につけていきます。生徒は聴覚口話法を習得しているため、全員の顔が見えるように机を馬蹄型(弧状)に配置し、話し言葉でコミュニケーションをとっています。

接続詞の「because」を学ぶ中学2年生の英語の授業では、MetaMoJi ClassRoomのノート上に単語を1つずつバラバラにしたテキストユニットがあらかじめ用意されていて、生徒は指先やタッチペンでテキストユニットをドラッグし、並べ替えて英文を作ります。このクラスではiPadは2人に1台で、2人が相談しながら文を作っていきます。この間、教室前方のディスプレイにはMetaMoJi ClassRoomのモニタリング機能によって全グループの画面が表示され、教員がこれを見ながらヒントを出したり、生徒自身がほかのグループの画面を見て考えたりしています。「テキストユニットを移動させるだけで英文がすぐに作れるので、2~3人のグループでも操作したり、話し合いながら何度もやり直したりできます。そのため、英語が苦手な生徒にとって取り組みやすいだけでなく、得意不得意に関わらず、新出表現の練習などにも有効だと感じています。」(川門前教諭)

単語の並べ替えによる英作文が一段落すると、1グループずつ口頭で発表したり、単語の並べ替えではなく自分の手であらためてその英文を書いたりと、さまざまな方法で理解を定着させていきます。教員が説明するときは生徒のiPadに「先生に注目!」という画面を表示して操作できないようにし、説明を聞くことに集中させます。

教員が説明するときは生徒のiPadに「先生に注目!」という画面を表示して操作できないようにし、説明を聞くことに集中させます。

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数学や自立活動でも、話し合い、言葉で考える授業を実施

半沢教諭が担当する2年生の数学の授業では、三角形の合同条件を学んでいました。この授業では、iPadは1人1台。全員の画面をモニタリング機能で前方のディスプレイに表示しているのは、英語の授業と同様です。

補助線を1本引くことで答えられる問題に取り組んでいましたが、ほとんどの生徒が縦に補助線を引いている中、1人だけ横に引いている生徒がいます。ひと通り解いた後、半沢教諭からの問いかけで、自分はどのように解いたのか、補助線を横に引いても解けるのはなぜかを、モニタリング画面を見ながら全員で話し合っていきました。このようにして、自分と違う解き方を見たりお互いに話し合ったりすることで、二等辺三角形の条件や三角形の合同条件を確認し、着眼点を変えて考えを深めます。

3年生の自立活動では、グループ実習にMetaMoJi ClassRoomが使われています。2〜3人のグループに分かれ、聴覚特別支援学校の発音の学習で使う教具についてレポートを作成する実習です。グループごとにMetaMoJi ClassRoomで教具の写真を撮り、どう使うか、何の役に立つかを書きます。グループごとに積極的に話し合い、MetaMoJi ClassRoomの描画ツールを自由に使いこなしてイラストで教具の使い方を描く生徒もいますが、文章で説明するのはなかなか難しいようです。教員は各グループを回り、「それはどういうことなの?」「それを文章で書いてみよう」と、思考を掘り下げて言葉で表現するように導いていきます。

生徒がお互いに学び合い、異なる意見を取り入れる姿勢が育つ

紹介した3つの授業のいずれも、表面的な浅い理解で終わらせず、思考して言葉で表現する学びを重視しています。生徒が手書きで自由に書き込める、モニタリング機能で全員の画面を共有できるといったMetaMoJi ClassRoomの特長が、こうした授業に役立てられています。国語科の佐坂教諭も、単元のまとめとして文章を書かせるシートをPDF化してMetaMoJi ClassRoomで使用すると、なかなか書けない生徒もほかの生徒の文章をきっかけに書き始められると言います。

「理解を深めるために、生徒同士で教え合い、学び合うことは重要です。ほかの人の画面を見た上で自分のわからない箇所を友だちに積極的に質問できるので、生徒同士の教え合いが活発になっています。まだあまり理解できていない生徒にとっても、グループワークをしたりモニタリング画面を見て話し合いに参加したりすることができて、助かっていると思います。また、友だちのやり方を知ることで、自分とは違う意見を取り入れる姿勢も育ってきました」(半沢教諭)

生徒も教員もMetaMoJi ClassRoomの利点を実感、さらに利用を広げたい

こうした授業の意義は生徒自身も実感しているようで、前述の3つの授業を受けた生徒たちからは「色を付けたり線を引いたりできて良い」「ほかの人の発表がわかりやすい」「相談しながら進められる」「ほかの人の意見を見られる」などの声が聞かれました。半沢教諭は学習内容によってiPadを使わない日もあるとのことですが、そういう日は生徒から「今日はiPadを使わないの?」と言われるそうです。

教員にとっても、MetaMoJi ClassRoomを使う授業には利点があります。半沢教諭は「モニタリング機能で、一人ひとりの思考の過程を観察できます。さらに生徒が課題に取り組んでいる間に、それを見ながらその後の授業の組み立てを考えられますね」と言います。生徒たちのノートが蓄積され、いつでもすぐ参照できるのも利点のひとつです。「たとえば、何回か前の授業で生徒が書いたノートを見直して、そのときの考え方などを振り返ることができます。また、生徒から質問を受けたときに、別のクラスや別の学年の教材を見せて説明することもあります」(半沢教諭)

平成30年度(2018年度)の時点ではまだ人数分のiPadはなく融通しながら使っているので、「今後は1人1台体制を目指し、MetaMoJi ClassRoomをもっと使っていきたい」と佐坂教諭は言います。半沢教諭は「実践を積み重ねてMetaMoJi ClassRoomで使う教材を増やし、他校と情報交換ができるようになれば」と意欲を語っていました。

・iPadはApple inc.の登録商標です。

中学部主事 佐坂 佳晃 教諭

中学部主事 佐坂 佳晃 教諭

半沢 康至 教諭

半沢 康至 教諭

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<本取材は2018年12月に行われました。画面キャプチャ、機能、肩書は取材時の情報にもとづきます。>

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